【白銀の黒帝:7】女神の使い魔と無職の少年

八木恵

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5章:傍観者編

神獣竜界の傍観者

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ここは、神獣竜界の深層の森に一軒やのログハウス。

シュンは、魔界の瘴気の森の間引きで、久しぶりに赤竜の肉をゲットし、庭でエールを片手にタバコをふかしながら焼いている。

「アーク、リン、そろろろ焼けんぞ」と呼ぶと、「出来たか。 ひさしぶりの赤竜だな」というアークに、「ひさしぶりだ」といってリンも出てきた。
俺が苦笑いしながら「やっぱ、きたな」というと、大魔王が「赤竜だからな」と現れ、シリルも「おれも食べたいぞ」ときて、元竜王も「食べたいのじゃ」といって現れる。

俺がみんなにエールを渡しながら、「結局、いつものメンバーだな」と苦笑いする。 アークも「だな」といいながらエールをのむ。

みんなで赤竜を満喫しながら、俺がエールをのみ「シリル、お前しょっちゅう、遊びにきてんけど、政務はいいのか?」って聞いた。
「大丈夫だぞ。 四天王にやらせてるぞ」といって、シリルは旨そうにエール飲みつつ赤竜を頬張ってる。 

「大魔王、魔王ってそれでいいのか?」と俺が聞いた。

シリルは、結局なんだかんだで魔界の魔王になった。 先代魔王は、ずっと魔界にいたが、このシリルは、しょっちゅう俺の所に来ている。

「シリルは、魔族に人気でな。 見た目が可愛いもんで、魔王っていっても自由奔放だ。 
 しょっちゅう、瘴気の森以外の他の森の間引きはしとるし、人間社会と魔大陸のダンジョンの間引きもしてるんで、特にダンジョン課が喜んでいる」って、大魔王だ。

そんな大魔王の言葉に、アークが笑いながら、
「シリルは、成長がとまったまんまだな」といい、
「ああ、羽は成長したが、身長はわれと同じままだ」というリンだ。

シリルの見た目はあの日以来、羽以外成長する事もなくとまったまんまだ。
本当に、面白い奴だ。 理由はさっぱりわからないままだ。

「だよな。 でもよ、シリル、なんでお前、瘴気の森の間引きはしねぇーんだ? 出来るだろ?」
「うん。 できるぞ。 他の魔族に比べて瘴気にあてられることもほとんどないぞ。 でも、シュンさんが楽しんでるから、楽しみを奪うわけにはいかないぞ」と言われた。
「確かにな」と納得だ。 隣でリンも「確かに」と納得するのだった。

ちなみに、学園卒業後シリルは、大魔王と共に魔界で生活していた。 
暫く魔界で生活しており、当代魔王が高齢というのもあり、またシリルが魔族で勝てないのは大魔王のみとなるが、大魔王との戦いも3日3晩続いたことから、魔族年齢の成人である15歳で魔王になった。
 
魔族の歴史上、最年少の魔王であり、見た目が少年のあどけなさを残した美少年のため、なぜか魔族たちに愛されているのである。 すでに、次元ゲートも習得し、本来の政務はある方法で対応し、魔族たちが変わりにやってくれるというのもあり、シリルは自由奔放な生活をしている。 

ここ神獣竜界の深層の森には、隠居組と2界の王がいるというなんとも不思議なメンバーであるが、のんびりとした時間を過ごしているのである。
人間社会の事は放置しているというか興味がないので関わっていないのである。

ほのぼのとした時間を過ごしているシュン達だったが、
白髪で瞳が金色の神々しさもつ眉目秀麗な青年が現れる。 みな、嫌そーな顔をしている。

「赤竜たべてるって時に、何の用だ?」って俺が嫌そうに言うと、青年が頬を掻きながら「おぬしが、人間社会を放置しておるもんじゃからな、一応情報をと思ってじゃ。 どうも、儂の娘が何かしようとしておるのじゃ。」と、ぬけしゃあしゃあという。

俺がタバコに火をつけて一服する。
「人間社会の中なら、おれら関係ねーだろ」
「下手したら、ここも魔界も巻き込むかもしれんのじゃ。 という事で、まだ秩序は乱れておらんが傍観してほしいのじゃ」といわれ、「あー面倒。 考えておく」とだけ答えておいた。

「あー今はそれでいい。 よろしくじゃ。 あ! ちなみに、シリルが成長しないのは、可愛いもんで、お前らも気にっておるし、魔族化はある意味異質じゃ。 なんで、この世の理から外し、不老にしたからじゃ」といって消える。

おいおい、すげー爆弾投下して、言い逃げしやがった。

それを聞いたシリル。
「はぁあああああーーーーーーーーー 聞いてないんだぞ!」と叫び「俺、背のびないってことなのか?」
俺達が爆笑しながら「「「そういうことだ(のじゃ)」」」といい、アークが「シリルも巻き込まれたな」と笑うのであった。

俺もそんなシリルを笑いつつ、「人間社会ね。 面倒だよなぁ~。 シリル、コリーはまだいるのか?」って聞いた。

赤竜をやけ食いしているシリル。 やけ食いしたくなるよな。
「いないぞ。 モグモグ 人間社会に嫌気さして異動願いでて、別の課にいんぞ。 ここの時間軸でいうと150年ぐらい前だぞ。」
まじかよ。 いないのかよ。
「ちぃ! あいつに調査させようかとおもってたのによ。 んじゃぁ、魔族は今だれも人間社会にいねぇーって事か?」って言って俺はエールを飲む。

「あ! いるぞ。 四天王に頼んで、コリーの後任をいれといたぞ。 名前は、えーと、ゲールだぞ」
「そいつは、大丈夫か?」って聞いたら、大魔王が「あー、カールの息子だ。 次代の四天王候補だ」という。

カールの息子ね。 俺はがニヤリとわらい。
「なら、大丈夫だな。 やつに調査させっか。 シリル、いっとけよ」
「うん、わかったぞ」といいながら、赤竜をまだほうばっているシリルであった。
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