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4章:学園編

シリル、学園の合格発表

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学園の合格発表の日。

シリルはコリーと一緒に合格発表をみて、合格していた事に少しほっとし、入学金の支払いや手続きをすると、学園長室に呼ばれるのだった。

何の用ようなのかと思いつつ、担当の人に案内され学園長室に入るシリルだ。
学園長の他にそこにいたのはいつもの私服で、タバコをふかすシュンだった。

「師匠、なんでいるんだ?」
シリルは、シュンを見て驚いている。 

「モーリス、こいつがシリル・カーティスだ、んでシリル座れ」
言われるがままに、シュンの隣に座るシリルだ。

「はじめましてじゃないが、儂がモーリス・フローシアじゃ。 シュン殿とシュン殿のお弟子さんに相談があってじゃな、今回お呼びだてしたわけじゃ。」

そう言って、モーリスはニッコリ笑いながら説明を始める。

「まず、カーティス君、合格おめでとう。
 実はじゃな、今年の入学生に王国の第二王子やら5大貴族の嫡男、子息、子女、それに騎士団長の嫡男やら宰相の嫡男やら、ほか上流貴族の子息・子女が多いのじゃ。 
 カーティス君が目立つとじゃな、貴族達の勧誘とかがあるのじゃ。 
 もちろん、カーティス君が貴族と関わりを持ちたいというのなら話は別じゃがの」

「貴族とか、関わってほしくないぞです。」

そういうシリルは必至に敬語らしく話つつも、貴族という言葉に反応したのか、それとも他者への関係について嫌なのか、嫌そうな表情で答えていた。

「そうだと思ったのじゃ。 あと、無理に敬語つかわなくてよいのじゃ」

「助かるぞ。 敬語、はなせないぞ」と、ほっとした顔になるシリルであった。

「それでじゃ、1年目は使い魔のクラスによってクラス編成がされるんじゃが、カーティス君に使い魔がいないというのは、儂らの中で秘密にして欲しいのじゃ。 
 使い魔がいないというのは聞いた事がないんじゃ。 たまに、使い魔と本人の得意属性とあわない子がおって、使い魔を顕現できないという子がおるんじゃ。 
 表向き、カーティス君は中級クラスの土の聖獣と契約しているが、使い魔が顕現できないという事にしてほしいのじゃ。」

「そうなのかだぞ。。 うん、わかったぞ」

俺シュンは、モーリスの話を聞きながら、使い魔がいないのは、人間だとシリルだけなのか?それとも、たまたまなのかなど考えていた。

一方、シリルが納得したのを確認したモーリスは、話しを続ける。
「それでじゃ、その申し訳ないのだが、目立たないようにじゃ、学力テストについては6割ほどの回答でしておいてほしいのじゃ。 
 あと、実技も学生の中レベルにしてほしいのじゃ。」

「うん? 俺は、学生レベルじゃないのかだぞ。。 まだ訓練しなくちゃなのかだぞ」
そういうシリルの言葉に困った顔をするモーリスだった。

「シリル、ちげーぞ。 モーリスが言っているのは、目立たないようにって話だろ。 
 つまりだ、学生している時は、手加減しろっていってんだ」
と俺は、タバコをふかしてながら、シリルをハリセンで叩くのだった。 痛そうにしているシリル。。

「モーリス、んで、正直、俺ら今の学生レベルってのしらねーぞ」
「カーティス君の担任は、グレッグ・ポーター先生といってな、魔法含め実技全般の担当なんじゃ。 
 彼には少し事情を話しておくんで、学生レベルについては彼から学ぶっていうのはどうじゃ?」

ポーターという名字を聞いて、俺は苦笑した。 モーリスも分かっていっているようだ。
「へぇ、ポーター君ね。。。 ならいいんじゃねーの。 なぁ、シリル」
「うん、教えてくれるんなら助かるぞ」 と、俺に叩かれた頭を摩りながらいうシリルだった。

「これで、学園内で目立つ事はないじゃろ。 
 ただ、授業でじゃ、ギルドの任務をうける実技があるのじゃ。 
 この学園で入学する子はみな正式なギルドカードを持っている子はいなくてじゃな、だいたいが入学時に初めて学生ギルドカードを作るのじゃ。 
 きっと、シュン殿のお弟子さんじゃ、正式ギルドカードをもってるじゃろ?」

「うん、持ってるぞ。 今、ランクCだぞ」
そう言って、銅色のギルドカードを見せるシリルに、モーリスは苦笑いしていた。

「その年齢で、ランクCとはさすが、シュン殿のお弟子さんじゃ。 
 じゃが、学園の授業では、その正式カードは使わず、学生カードを使ってほしいのじゃがよいか?」

「うん、了解だぞ」

ぼちぼち話も終わりかなと思い、俺はタバコの火を消す。
「話はおわりか?」
「ああ、今日の所は終わりじゃ。」
「んじゃ、帰るな」といって、俺とシリルは転移で学園室から去った。

シュンの集団転移を見たモーリスは驚愕した後、少し落ち着きを払うモーリス。
そして、彼らが去った場所を見て、
「伝承通りで、あの方にここの結界は関係ないようじゃ。 お弟子さんがどう学園生活を過ごすのかたのしみじゃ」とニヤリ笑いながら独り言をいうのだった。
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