【白銀の黒帝:7】女神の使い魔と無職の少年

八木恵

文字の大きさ
上 下
5 / 128
1章:召喚の儀

理不尽な仕打ち 後編

しおりを挟む
その日の夜、いつも気を失っているのに気づかないが、誰かがくる気配を感じた。 
シリルは動けない身体のまま、目をあけようとしても殴られて腫れていて開く事ができない。

「シリル、ごめんなさい。」
その声はか細く、シリルの母親の声だった。
それから、シリルの母親は≪ヒール≫ ≪ヒール≫ と何度も演唱し、徐々にシリルを回復させるのだった。

「母さん、もう殺して。」
「だめよ。生きて。」
そういう母はシリルの手をとり、そして母親の涙は頬をつたってシリルの手に落ちるのだった。

「俺、何もしてないのに、もう嫌だ。」
動けないしシリルは、握られた母親の手を掴み、かすれた声で嘆願するのだった。 

「きいて、シリル。 父さんはあなたを明日、森に捨てるといいているの。 私には何もできなくて、日々回復するだけ。。。 ごめんなさい。。」
そういう母は、涙声になり、シリルの手に何度も母の涙が落ちるのだった。

「マクレーン家代々つたわる、正当な後継者のみに受け継ぐ腕輪をもってきたわ。 
 もしかしたら、あなたの力になるかもしれない」
そういって母は、握っていたシリルの手に受け渡すのだった。

「この世界を恨んでもいいから、つよく生きるのよ。」
その言葉を最後に、母親は牢屋の鍵をあけたまま立ち去るのであった。

母親が去り、ようやく動けるようにななったシリルは、身体を引きずりながら起き上がり牢屋の壁に背にもたれかかるのだった。
「どうやって、強くなんだよ。」
その声には力はなく、目もうつろだ。 ただ、手にある腕輪を左手首に通すのだった。 
最初はぶかぶかだった腕輪がぴったりなサイズになる。

「はぁー、なんでサイズがあうんだ。 でも、なんもでてこねぇー ははは。 明日、死ねるか。」
乾いた声でシリルは呟き、牢屋から脱走する気力もなく、壁を背に眠るシリルは、自身の生をあきらめつつ最後の夜をむかえるであった。

◇◇◇
眠るシリルの前に、タバコをふかし、黒のビーニー帽子を被り髪の色は銀髪なのかグレーなのかわからないが容姿端麗でグレーのフード付きパーカに、黒のカーゴパンツ姿の17から18歳ぐらいの青年の姿が現れるのであった。 
そう、シュンである。 
俺は、ひさびさに、適合者が出たので、そいつの様子を見に久しぶりに人界にきた。

「適合者がでたと思ってきたら、牢屋かよ。。」
俺は、独りタバコをふかしながら、ごちる。 まさか、牢屋だとはな。。。 嫌な予感しかしない。。
目の前のガキは、酷い状態だ。

「顔もひでぇーな。 魔力の質は。。。ライの家系か? あいつの家系ってなんでこうなんだろうな。。
 骨折、火傷か、それにしてもくせーな」
と俺は愚痴りながら、ガキに回復魔術、洗浄魔術をかけ綺麗にした。 さて、このガキどうすっかな。

「俺、ガキの世話できんから、アークに頼むか。」
そう独り言をいって、俺は、ガキを小脇に抱えて転移する。

◇◇◇
翌日、牢屋から姿がないシリルに、母親は脱走したと思い、父親は不自然におもいつつも邪魔者がいなくなったこともあり、わざわざ捜索する手間を惜しみ ただ 書類上、死んだ事にするのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。  そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。  逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。  猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。 魔物が跋扈する異世界で転生する。 頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。 《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。 ※以前完結した作品を修正、加筆しております。 完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

処理中です...