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1章:召喚の儀

理不尽な仕打ち 後編

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その日の夜、いつも気を失っているのに気づかないが、誰かがくる気配を感じた。 
シリルは動けない身体のまま、目をあけようとしても殴られて腫れていて開く事ができない。

「シリル、ごめんなさい。」
その声はか細く、シリルの母親の声だった。
それから、シリルの母親は≪ヒール≫ ≪ヒール≫ と何度も演唱し、徐々にシリルを回復させるのだった。

「母さん、もう殺して。」
「だめよ。生きて。」
そういう母はシリルの手をとり、そして母親の涙は頬をつたってシリルの手に落ちるのだった。

「俺、何もしてないのに、もう嫌だ。」
動けないしシリルは、握られた母親の手を掴み、かすれた声で嘆願するのだった。 

「きいて、シリル。 父さんはあなたを明日、森に捨てるといいているの。 私には何もできなくて、日々回復するだけ。。。 ごめんなさい。。」
そういう母は、涙声になり、シリルの手に何度も母の涙が落ちるのだった。

「マクレーン家代々つたわる、正当な後継者のみに受け継ぐ腕輪をもってきたわ。 
 もしかしたら、あなたの力になるかもしれない」
そういって母は、握っていたシリルの手に受け渡すのだった。

「この世界を恨んでもいいから、つよく生きるのよ。」
その言葉を最後に、母親は牢屋の鍵をあけたまま立ち去るのであった。

母親が去り、ようやく動けるようにななったシリルは、身体を引きずりながら起き上がり牢屋の壁に背にもたれかかるのだった。
「どうやって、強くなんだよ。」
その声には力はなく、目もうつろだ。 ただ、手にある腕輪を左手首に通すのだった。 
最初はぶかぶかだった腕輪がぴったりなサイズになる。

「はぁー、なんでサイズがあうんだ。 でも、なんもでてこねぇー ははは。 明日、死ねるか。」
乾いた声でシリルは呟き、牢屋から脱走する気力もなく、壁を背に眠るシリルは、自身の生をあきらめつつ最後の夜をむかえるであった。

◇◇◇
眠るシリルの前に、タバコをふかし、黒のビーニー帽子を被り髪の色は銀髪なのかグレーなのかわからないが容姿端麗でグレーのフード付きパーカに、黒のカーゴパンツ姿の17から18歳ぐらいの青年の姿が現れるのであった。 
そう、シュンである。 
俺は、ひさびさに、適合者が出たので、そいつの様子を見に久しぶりに人界にきた。

「適合者がでたと思ってきたら、牢屋かよ。。」
俺は、独りタバコをふかしながら、ごちる。 まさか、牢屋だとはな。。。 嫌な予感しかしない。。
目の前のガキは、酷い状態だ。

「顔もひでぇーな。 魔力の質は。。。ライの家系か? あいつの家系ってなんでこうなんだろうな。。
 骨折、火傷か、それにしてもくせーな」
と俺は愚痴りながら、ガキに回復魔術、洗浄魔術をかけ綺麗にした。 さて、このガキどうすっかな。

「俺、ガキの世話できんから、アークに頼むか。」
そう独り言をいって、俺は、ガキを小脇に抱えて転移する。

◇◇◇
翌日、牢屋から姿がないシリルに、母親は脱走したと思い、父親は不自然におもいつつも邪魔者がいなくなったこともあり、わざわざ捜索する手間を惜しみ ただ 書類上、死んだ事にするのだった。
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