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5章:魔王領編

魔王城へいく前夜 前編

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勇者が旅に出て、もうすぐ4年だ。

この4年、何があったって。
まず、出立時の勇者一行の戦力が、馬鹿2組の戦力しかないなんて思ってなかったわ。
最初のほうはなかなか魔王領に入っても進行速度が遅いし、出立前に夜営の訓練したみたいだが、全然だ。

結局、俺と珍獣組で、魔物を討伐しつつ、拠点を作り。 そして、連絡が来れば魔物の氾濫対応だよ。 
勇者組は、そこで待機。
しかも、奴らは、夜間は見張りなんてせず、俺たちの作った簡易宿舎で寝てるし。
初めはテントだったよ。 俺が、風呂はいりたいし、ベットで寝たいで徐々に進化した。

それから、というよりもその間いろいろあった。 
魔王領の進行に加えて、魔物の氾濫の対応はもちろんの事、アルタイト王国のある街で疫病が発生した。 
国中に広がる前にラミと共に赴きラミの力で治した。
魔物の死体処理を放置した馬鹿な騎士団がいて、魔物がアンデット化してヴォルとグリと共に燃やしたりだ。 
いろいろありすぎて、まぁもうきりがない。 

しかもだ、俺たち珍獣組が、勇者一行から離れれば、彼らは拠点にいるだけ。 訓練しているみたいだけど、先へは進まない。 正直、最初のほうは呆れたが、アーサーに死なれても困るって事で、説得された。

そんでもって、いつのまにか俺は勇者一行のメンバーになっていた。
侵攻が遅いってので、入れられた。 貴族に文句いわれるのは俺ばっかりだけどな。 
俺のせいじゃなくて、結局、勇者一行が弱いし、俺たちが別の用件でいない時に先に進まないから、遅いのだがそんんな事、貴族連中に言っても意味がない。

その上、俺が文句を言いたいのは、食事もろくにつくれないやつばっかりだ。 
騎士団もしかり、勇者一行もだ。 
珍獣組の他にも、結局俺が飯を作る事になる。 
俺がいない時はどうしてたかなんて知らないが、何度か文句いわれた。 おかど違いだな。
面倒だがら、アーサーに文句いって、俺たちがいない間、暗部で料理作れる奴が拠点に入る事になった。

大なり、小なり、様々あったがこれが、この4年間の俺の活動だ。

◇◇◇
明日、俺たちは魔王城へ乗り込む事になった。 俺の部隊、珍獣組は後方支援に回る。

「シレラ、エイナ、レイナ、タイガ、それにギース、明日が決戦だ。 この4年近く俺を助けてくれてありがとう。 みな今日はゆっくり休んで、明日、死力をつくそう」ってユウトがエールをもって乾杯する。
「「「ユウト様、頑張りましょう」」」って女共。
「ユウト、がんばろうぜ」ってタイガ。 こいつ女好き、ラミが何度も誘われたっていってた。 
騎士団の女にも手をだしてる。 表面的には兄貴面してるけどな。

一方、ユウトは、シレラとエイナと寝てる。 そうそう、この4年の間に数回王都へ戻っている。 
装備の補充やらだ。 
魔武器あるのに、ユウトはオリハルコンの大剣つくったり、タイガはミスリルのバスターソード作ったり、女性陣も防具や、杖、タガー、レイピアなど作ってる、 俺以外みんなキラキラな装備だ。

その時、魔族、吸血鬼族、鬼族の奴隷をみたユウトがなんか憤怒して、1人吸血鬼族の美女を買って解放した。 
といっても、彼女がいく場所なんてなく、ご主人様とか呼ばれてそいつとも寝てる。 
レイナとはどうかは知らない。 
俺の手前、表立ってベタベタすることはないが、まぁセックスしてなくてもキスぐらいしてるっぽいな。
どの女が処女かぐらいみりゃわかる。 そんな事考えながら、お花畑達を傍観してた。

ユウトが俺の所にきた。 来なくていいのにな。 俺はエール飲んで、タバコふかしてる。
「ギース、君や君の部隊がいなければ、俺たちはここまでこれなかったよ。」って真剣な顔だ。
「任務の一環だ、気にするな」って言っておいた。
「明日、もし俺になにかあったら、彼女たちだけでも逃してほしい」って頭下げてきた。 彼なりに努力はしたみたいで、テッドぐらいにはなった。 努力は認めるよ。
「ああ、わかった」って言ったら「ありがとう」って満遍な笑顔をみせる。

そしてその日は、俺はさっさと風呂に入ってねた。
相変わらずヴォルと一緒だ。

俺自身だって明日どうなるかわからない。 ゆっくり休もう。
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