【白銀の黒帝：16】魔大陸へ留学

外伝１魔界 魔王種誕生

魔王種誕生

月日は経過し、ここは魔界。
現魔界の魔王は、魔王に就任したのが歴代魔王で一番若く成人年齢15歳で即位した。　
既に、就任して1800年近いのであった。

ただ、その魔王の容姿は、他魔族とは異なり、綺麗な紺色の髪に、金色の瞳で容姿は少年のあどけなさを残しつつ可愛い美少年で身長は163cm、しかも肌の色は陽褐色ではなく白く、ツノもない。　見た目年齢は、魔族でいうと6歳である。　そして名はシリルで、見た目が他魔族と異なるのは元人間で、魔族になったという異質な存在であるからである。

そして、少年のあどけなさを残した可愛らしい見た目の美少年にも関わらず、魔界の現役魔族の中で最強でもあるシリルは、そのギャップから魔族に愛されているのである。

ちなみに、魔界の魔王は、魔族の種族最強種である魔王種が代々魔王となる。　現在、魔界にいる魔王種は、現魔王のシリルと、先々代の魔王で隠居している大魔王のみである。　大魔王とは隠居した魔王の呼称なのだが、大魔王とシリルはとある事情により、この世の理から外れた不老でもある。

不老の魔王が統治している魔界は、代替わりの心配がない。　
あると言えば、愛され魔王が嫌になって引退宣言してしまう事ぐらいなのだが、魔族達はみな現魔王のシリルが嫌になって引退されないように余計な争いがなく平和な治世が続いている。

◇◇◇
とある日、魔王城のある城下町で出産をしている魔族の女性がいる。　
産婦が、「頭がでてますよー」、活きんでといって、妊婦が「うーん」というと、赤子が産まれ「おぎゃぁー、おぎゃぁー」と元気な赤ん坊である。

生湯につけて産着をきかせて助産婦が「元気な男の子です」といって母親に抱かせる。　
小児科医がやってきて、「おめでとうございます」といい、母親に「お子様の健康状態と種族の確認しますね」といって、検査機で検査する。

小児科医の手が震え出したのをみて、母親が「あのーこの子に何か」と心配そうな顔をすると、小児科医が「いえ、あのこの子の父親は？」と聞くのである。
「大魔王様です」という母親に、小児科医が「やはり」といって、母親に「魔王種です」というと、母親が「畏れ多いですわ」といい、その場で赤子は丁寧に保育器にいれられ運ばれるのだった。

この日、シリル以来の魔王種が誕生したのである。

ちなみに、魔王種が少ないため繁殖は魔王の責務であったのだが、もともと異質な現魔王シリルの責務ではなく大魔王の責務となっている。

◇◇◇
魔王種誕生は、即効で魔王城へ連絡がいくのであった。
もちろん大魔王にも連絡が行き、名を“ルチフェ”と命名される。

その後、母親と共に居住が魔王城となり生活の場があたえられる。
魔王種の誕生は、各集落の族長以上のみに通達がいくのであった。

もちろんシリルにも連絡が行くが特に興味が無くスルーしているのであった。