【白銀の黒帝：1】最強のギルド隊長は、人に興味なし

外伝Ⅰ出会い：1章：訪問者

最初の出会い

ジルとシュンが、訓練場にはいると、そこには、210CMの身長に、筋肉隆々でいかつい顔をした男がいる。　

「マスター、急に呼び出して、試験のために模擬戦しろって、相手はその子供っすか？」と飄々という男。
ジルが「急に呼び出して悪かったな。　イアン」と男にいい、「ああ、相手はこの子だ。　だが、手を抜くでないぞ。」というと、イアンが「ええ、子供だからっていって、手は抜きませんって。　しかも、その子かなり強そうっすよ。　俺も本気でいきますわ」というイアンだ。

ジルがシュンのほうに向かって「模擬戦じゃからな、殺してはダメじゃぞ。　軽い怪我で、魔術はあまりつかわないでほしいんじゃが」と小声でいうと、シュンは「うん。　さっき、アークにもいわれたんだ。　身体強化だけで、武器は木刀でやれって。　それに俺、戦闘では魔術はつかわないんだ」といい、近くにあった木刀を手にもち、イアンのほうへ向かう。　イアンは、大剣を模した木刀をもっている。

そんなシュンの言葉を聞いて、少しほっとするジル。　さすがにあの魔術を使われては、模擬戦の意味がない。

ジルの合図で試合開始。

開始早々、イアンがシュンに向かって剣をふるが、シュンは軽くいなし、イアンの腹部に蹴りがはいりイアンは飛ばされるもなんとかとどまる。　すかさず、シュンはイアンのほうの死角へむかい木刀を斬りつけるが、イアンがなんとかしのぐ。その攻防が1分～2分続き、イアンは既に息があがっている。　そしてイアンがシュンに向けて演唱破棄で上級の雷を放つ。　ジルはイアンの過剰攻撃に焦ってとめようとするが、シュンは、なんなく木刀で雷をはじき、イアンに向かって蹴りをいれるとイアンが倒れおきれない状態となった。　約5分もしないで、シュンの圧勝という形で終わる。

ジルは、シュンにマスター室でまっているように告げると、シュンはうなずきその場から転移で消える。

ジルは倒れて、やっと起き上がれたイアンに、「お主、大丈夫か？」と聞くと、イアンが「はぁはぁ、あ、あれ、子供っすか？　身長は低いっすけど、成人してるとかってないっすよね。　まじぃー強いっすわ。」と最後に蹴られた腹部をさすり、息をきらしながら、汗だくでいう。　

「はぁ、はぁ、俺が、数分で息あがるって、初めての経験で、俺自身結構今ショックっすよ。　しかも、多分っすけど、手を抜かれたのはこっちっすわ。　俺は本気だっていうのに」というのだった。

「儂も、お前が息きれたのを初めてみて驚いておったんじゃが、それほどまでの戦闘能力とはな。」といい、ジルが「イアン、さっきの子供のことじゃが、当面、誰にもいわないでくれ。」というと、イアンが「はぁはぁ、ええ、わかりました」といい、「俺、医務室いきます」といって、訓練場からふらふらになりながらも立ち去るのであった。

一方、マスター室に戻ってきたシュン。
「シュン、ちゃんと手加減したか？」とアークきかれ、シュンはフードを外して、無表情で「うん。　でも倒すのに5分もかかったんだ。」というと、「そうか。　お前もまだまだだな」といわれ、「うん。　訓練する」と答えるのであった。

もしこの会話を、ジルとイアンが聞いていたらおいおいって突っ込みがはいっていただろう。
この模擬戦が、シュンとイアンの初めての出会いであった。