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4章:学園編

閑話: オーランド公爵家の人々 後編

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その翌日でしょうか、私デニスは、パトリックに呼ばれました。
「旦那様が、ハロイド様への仕送りを減らすとおっしゃって月金貨2枚といっている。 
 いくら何でも公爵家の息子が我々より少ない賃金で良いのか? フロイド様は金貨15枚、アシュリー嬢に金貨10枚だ。 これは普通だが、今までだってハロイド様には金貨5枚だった。よく工面してるとしか。」っていうパトリック。

「パトリックさん、学園での食材費は確認しましたか?」

「ああ、異常としかいえない。 ジョンはこの赤字をどう補填してる? 
 あとでジョンに利用用途を聞いた上で改善させるつもりだ。 食材だけで、多い時は金貨月30枚近い。
 月金貨20枚支給してる。 それでも多いほうだが。」

「ええ、先日夕食時にフロイド様やアシュリー嬢が、夕食会、お茶会をしているという話はご存知で?」

「ああ聞いた。 それがなんだ?」

「夕食会は毎週15名、お茶会も10名です。 夕食会ではコースで出し、お茶会の茶葉は常に高級品。 
 そして甘味も5種類は最低要求されます。 
 足りないお金は全てハロイド様がもらっている仕送りを全てジョンに渡してます。 
 そして日々の食事は、ハロイド様は自炊し、夕食は厨房でジョンと賄いを食べてます。」

「つまり、ハロイド様は全く仕送りには手をつけず、自分でやりくりしてると。 
 それで、その食事会にはハロイド様は?」

「参加されるわけもないですし、招待もされてません。 
 婚約者のジュリアン様は食事会もお茶会も毎回出席してますが。 
 私は、何度も回数を減らすよう進言しましたが聞いてもくれません。 
 ジョンは、従者もいないハロイド様のために学園までついてきたんですよ!
 それが、今やフロイド様、アシュリー様のわがままで料理を作らされてます。 
 逆に疲れてるジョンに、ハロイド様が余った材料で作ってますよ。 」

「では、食事会やらお茶会の補填分をフロイド様やアシュリー嬢に請求するのは?」

「いいましたよ。 フロイド様もアシュリー嬢も月の仕送りでいろいろ購入してますから、ほとんど余ってないですよ。 なんでしわ寄せは全てハロイド様にいってます。 」って私は愚痴りました。

「わかった。 私のほうから旦那様に伝えておこう。 
 旦那様も奥方様も、ハロイド様の成績に不満を持たれている。 どう納得するのか。」

「はぁーー、あの方々達、わかっておられません。 ハロイド様の属性は無属性です。 
 魔法の実技は受けられないの忘れてらっしゃるんでしょう。 選択科目の魔法陣、統計は難易度高いんですよ。 それ故の結果ですが、順位しかみてない方々には意味ないですが。」

「そうだな。 月の食材費を増やすか回数を減らす方向で話そう」

結果、隔週ごとで人数も半分に減らす事になりました。 ハロイド様の仕送りは金貨2枚です。 
結局、わかってらっしゃらないようです。 この家の方々と言ったら、まったくもって溜息しかでません。 
以前クロイド様が言ってらっしゃった通りで、この家には、ハロイド様の居場所はないようです。
というより、ご両親たちが、ハロイド様の居場所を無くしているっていうのに気づいてないっていうのが一番の問題なのですが。。

もう!としか言えない自分に腹が立ちます。
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