【白銀の黒帝：4】精霊と無能者

八木恵

文字の大きさ

大中小

30 / 88

5章：学園都市編

学園都市へお引越し

しおりを挟む

シュンの転移で学園都市の家の前につく5人。
その一軒家は、先ほどまでいた建物と同じレトロな食堂だ。　
看板も『ボブの食堂』となっている。

リオンとレイモンドはそれを見て「まったく同じたてものじゃねぇーか！！」と叫んだ。　
シュン達はしてやったりで笑っている。
「馴染みがあっていいだろ。　が、ちーとだけ中がちげーぞ」といって建物の中にはいる。

食堂、厨房は同じである。　
奥へ進むと中庭があり、左が2階建て居住区、右側が事務所とカールの部屋。　
食堂と事務所の間に地下へ続く階段があり倉庫だ。　ただ、もう一つ扉がある。　
その扉が開くと、そこには訓練場、射撃場、遊技場となっていた。　
それを案内しながら、俺が「なぁ、変わっただろ。　んで、遊技場の酒も飲んでいいぞ。　ただ、一応お前ら未成年だから、俺らと一緒の時だけ飲んでいいかんな」とニヤリと笑うと、
「「やったー！」」と大はしゃぎで喜ぶリオンとレイモンドであった。

居住区のほうは、1階が2部屋あり間に書庫兼勉強部屋で、2階はシュンとリンの部屋でここは前の食堂と変わらないのであった。

こうして5人の新たな学園都市での生活が始まる。。

◇◇◇
リオンとレイモンドの学園の試験後、シュンとリンが3週間不在になる事から、食堂は2か月後からオープンする事になった。

その間、学園都市の散策、商会、商業ギルドへいったり、
リオンとレイモンドは試験勉強、訓練場で訓練したり学園都市のギルドで討伐依頼を受けたり、迷宮都市へ転移してダンジョン中級へむかったりしていた。

そんなある日の夕食、全員でエールをのみながら歓談中。

「俺ら、一応入学金の金貨30枚以上稼いだんすけど、生活費とか武器とか全部　師匠達が払ってくれてるじゃないっすか。　
俺もレイも少しは稼げるようになったから家賃とかはらったほうがいいんじゃ？　
食堂っていっても、あんま利益でてなさげですし」
「うん、僕もずっと気になってた。」というリオンとレイモンドあった。

確かに、生活費らしきものは、俺は受け取っていない。　
カールには、金貨100枚渡して、足りなくなったら渡している。　

「気にしねーでいいぞ。　結構金あんだ。　入学金だって、目標のために言っただけだしな。」と俺は、エールを飲みながら言った。　

「結構あるっていっても、限度ってのが」というリオン、心配しているレイモンドだ。

そんなに心配する事か？　俺が、タバコに火をつけて一服する。
「何ていうかな、増えるばっかで、へらねーぇし。　食堂も道楽でやっているだけだしな。」
「ああ、シュンだけの財産で、たぶんこの国買えるぐらいはある」と補足してくれるリン。

察しがいいな。　だが、そんな言葉に、リオンとレイモンドはポカーンと空いた口がふさがらないままでいる。　そんな驚く事か？

「なんか、使い道ねぇーし、特に金に興味ねぇーから、あんま気にする事ねぇーし。　
　今まで通り必要な物は買うし、俺、本を買う以外金の使い道ねぇーしな。　
　おめぇーらも、贅沢するわけじゃねーし、金は、あんま気にすんな。」というと、頷くリオンとレイモンドだ。　

ただただ、シュンの資産に驚くばかりであった。　
カールは、うすうす気づいていたため、苦笑するしかなかった。

この時代でも、迷宮都市の闇市に換金所が存在していた。　
そこで、魔石を定期的で売っており、また資産は増えているのであった。　
しかも、数百年前と同様で最初は脅し手数料を安くし、最終的には上客となり手数料は0.5割となっている。　

食堂とカフェの仕入れは、卵と生乳、調味料、フルーツ、野菜等がほとんどで、酒、穀物、1部食料、肉はアーク農場産なので仕入れる品も少なかったりする。　
魚も肉も狩りに行ったりするので、結構な利益があるのであったが、リオンとレイモンドは知らないのだった。。

元々が自給自足のシュンだ。　
シュンとリンは今となってしまえば、人間社会にいるより、森での生活が大半をしめる。　
結局、お金はいらないのであった。

しおりを挟む