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2章:少年期

モーゼスの実家へ

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モーゼス、ゼバス、俺は、今、馬車に乗っている。 
理由は簡単だ。
実家に戻る事を拒んでいたモーゼスに対して、実家から強制帰還のためお迎えの馬車が来たからだ。

「これで西の街とも当分おわかれなんだね。」と哀愁いっぱいのモーゼス。
「なぁ、ゼバス。 モーゼスの頭を殴っていいか?」って俺。
「ええ、是非殴ってください」っていうのは、含み笑いをしているゼバス。

「ルカスにゼバス、酷いじゃないか!」ってモーゼフ。 別にまだ殴ってない。
「いやいや酷いのはお前だろ。 お前だけ、行けばいいのに俺たちまで道連れにしやがって!」
「僕はね、僕の研究を1番理解してくれる同士を置いていけるわけないじゃないか。」って出たよモーゼスの勝手な理論。
「素直になりやがれ! どうせ独りで行きたくねぇーだけだろ!」
っていいながら、ペシペシ軽く叩いて置いた。

「痛いな。 もうそうだよ。 独りで行きたくないからだよ。」と正直になるモーゼス。
「モーゼス坊ちゃんは、いい大人なのに、独りが寂しいとは、このゼバス残念でなりませぬ。」と嘘泣きかハンカチで目頭を拭うゼバスだ。 いや、絶対泣いてないのが横眼で見ればわかる。

「嘘泣きはやめてくれ、ゼバス。 ルカスとゼバスを連れてかないと、僕は道中、前の馬車で、しかも兄貴の使者と一緒だと思うと嫌だったんでね。 僕は、ルカスとゼバスといる時が楽しいんだよ。」って開きなおったモーゼスだよ。

「って、全部お前のわがままだろー」って突っ込んでおいた。

俺たちがおちゃらけてるのも、馬車の中は俺たちだけだからだ。
勘当されたっていっても、なんだかんだで、貴族のモーゼスだ。 そんな、モーゼスに対して、文句言えるのも、この状況だからだ。

ちなみに、モーゼスの実家は、西の街から南へ馬車で1週間ほどらしい。 点々とある小さな街の宿に宿泊しながら2週間ほどかけてやってきた。

◇◇◇
「モーゼス様、リンドバーグ伯爵領にはいりました」

そうやって声をかけて来たのは、馬に跨った護衛騎士の人。

「ルカス、見てご覧よ。」
ってモーゼス言われ俺は窓から顔を覗かせた。 そこには、小麦畑が一面に広がり、脇には水路がある。 
風車があり、風で風車が回ってた。
道中は、荒れた畑ばっかりだったが、ここだけ風景が違う。
感動してた。

「リンドバーグ伯爵領が、豊作になったのも全てモーゼス様の発明のおかげです。 偉大なる発明家のモーゼス様の助手の立場をわきまえろよ 坊主」
って、騎士の人が自慢気にいいながら牽制された。

ちょっと俺の感動を返せやぁって心の中で愚痴る。
モーゼスもゼバスも苦笑いだ。

俺が座りなおすと、
「本当、困るよね、彼ら。 水路も風車もルカスの発明だし、僕はただ実験として父に伝えただけなのに。 全くもって信じないんだもんね。 でも、僕も手紙だけしか知らなかったけど、実際みると感銘だね」ってモーゼスがいう。

「確かにな。 モーゼスも改良手伝ってくれたし。 にしても、俺もこうやって見れて嬉しいな」って笑った。

「私もです。 危険な者ばかり作ってたモーゼス坊ちゃんの研究のごく一部が役立つ日がくるとは。。」ってゼバスも笑ってた。

「あはは、そうだね。 まぁ酷いいいわれ用だけど、今も危険なものは作ってるけどね。 とは言え、ルカス専用だけど」
そういうモーゼスの言葉に笑いつつ、俺たちはリンドバーグ伯爵邸へ向かった。
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