【白銀の黒帝 23】俺の職業は、最弱と村人、そして村人はの俺は。

八木恵

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1章:プロローグ

閑話:皇国の皇帝陛下の回想③

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最愛の妻を抱きしてまたまま、誰かが部屋に入ってきた。
儂は、妻の死を受け入れたくなくて、ずっと抱きしめたままだ。

「陛下、気を確かに」と言われたが儂は反応したくなかった。
声の主はゼバスだ。 その後、すぐに儂の頬に痛みが走った。

「陛下、あなたがしっかりせねば、王妃がむくわれませんぞ!」ってゼバスに怒鳴られた。

儂は、ゼバスに頬を叩かれて、そう言えば床に倒れたんだったな。
その後、ゼバスに胸倉をつかまれて「しっかりしなさい!」って怒鳴りつけられた。

ゼバスのおかげで、我に返る事ができた。
「あはは、ゼバスに怒鳴られたのは子供の時依頼だな。 すまぬ苦労かけた、我は大丈夫だ。」って言って、起き上がり、儂は、泣く赤子のほうに向かった。 愛する妻に託された子供達だ。

「いかなる処罰も」ってゼバス。
「よい、儂とあやつの子供達だ。 ゼバスも来い」って言って、ゼバスと一緒に最愛の妻との子供達を見た。
「双子の男子で。 髪色が、金髪と黒髪。 瞳の色はルビ色にトビ色とはまた珍しい。」ってゼバスだ。
「ああ、でもよく見ると、金髪の子は妻に、そして黒髪の子は儂と同じだ。」
儂も髪の毛の色が黒で、瞳の色がトビ色と、皇国では珍しい色あいだ。
「ええ、黒髪の子は、きっと将来陛下似になるかと。 そして金髪の子は、きっと王妃様に似る事でしょう」ってゼバスだ。
ああ、儂もそう思う。
「ゼバスよ。 儂は、あやつと約束したのだ。 この子達をあやつと同じくらいに愛するとな。 金髪の赤子は、エルビィンだ。 黒髪の赤子はルカスだ。 妻が付けた名だ。」といいながら、儂は赤子の手を指でさわると、双子はぎゅっと握り返してきた。
そして、泣いていた赤子達は安心したように、眠りだす。

「儂を親と認識したようだ。」と泣きはらした目のまま、嬉しそうに微笑んだ儂だ。 隣にいた、ゼバスも微笑んでいる。
「陛下、ステータスの確認は?」ってゼバスだ。
そうだ、ステータスを確認せねば。 本来は乳母がするが、今は、儂とゼバスだけしかこの部屋にはおらん。
「そうだったな。 ゼバス」って言って、儂は、ゼバスに金髪の子エルビィンのステータスを確認させた。
「レベル 3、職業 聖騎士、聖人。 え! 2職とは、素晴らしい。」と絶賛するゼバス。
「エルビィン、すごいな。 儂は、皇帝の前は聖騎士だったのにな。」といいながら、儂はエルビィンの頭をなでた。

次はルカスの番だ。
「陛下! レベル ー20、職業 村人」ってゼバスが言う。
そのステータスに儂もゼバスも驚愕した。 なぜなら、レベルがマイナスなんて聞いたこともないし、皇族の家系から村人は過去いない。 
「ゼバス、今のは本当か?」って儂だ。 機械の故障かもしれない。
そして、ゼバスもわかったかのように、違う機械で再度計測したが結果は同じだった。
儂は妻と、子供達を妻と同じように愛すると約束した。 だが、ルカスのステータスカードが発行されてしまった今、ルカスを皇族のままにはしておけん。
「ゼバス、儂とお前の仲じゃ。 儂の願いはわかるか?」
「はい、このゼバス、ルカス殿下と共に姿を消します。」ってゼバス。
「任せた。 ルカスには、正妃の指輪を渡す。 平民でもよい、ルカスを生かせ。」って言った。

このまま、ルカスが、平民でもよいから幸せに暮らす事を儂は願った。
そして、儂は、手元にあった硬貨を全てゼバスに渡し、ゼバスは嵐の中、部屋の隠し通路を通じてルカスを丁寧に抱き去るのを見送った。

その後、儂は、最愛の妻である王妃の死と、双子のうち独りは、生まれてすぐなくなったと部屋の外で待機している者達に伝えたんだった。
~・~・~

嵐の日には、あの日の事を思い出す。 
ルカスを手元において育てたかったが、職業村人では皇族としても認められず、きっと不幸になる。
それをよく思わない家来たちにより暗殺される危険性だってあった。
そしてきっと、今ごろルカスはゼバスと幸せに暮らしていると信じてる。
ゼバスからの便りがないという事はきっと生きている。

「陛下、陛下」って今の執事長だ。
「すまぬ、考え事をしておって」って儂の言い訳だ。
「陛下、嵐の日にはどことなく思い詰められます。 何かあるのですか?」
「いや、ただ単に嵐が嫌いなだけだ」って儂は苦笑いした。
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