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1章:プロローグ

閑話:皇国の皇帝陛下の回想②

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儂がゼバスと共に正妃の所へつくと、そこには疲れ果て、いつもより色白の正妃がおった。
どんだけ苦労したのかと儂は、生まれた赤子など無視して、愛する妻の元へ駆け寄った。
頭を撫でながら正妃の手をとり「われらの子を良く生んでくれたな。」って言った。
「はぁはぁ、わ、わたくしは陛下の側にるだけの女。 あ、あなたに、何も遺せなくって。。」って、力なく言う妻。
「何をいってる。 我の側にいるだけで良いのだ。」って儂は本心を言った。

だが、妻の顔色は徐々に血の気がなくなる。。 どういう事だ。
「おぬしら何をしてる。 はやく治癒を!!」って儂は叫んだ。
しかし、周りの産婆も治癒師も下をむいてただ首を横にふってる。
「あなた、わ、わたしは、もう手遅れなの。。 だ、だから、どうか子供達をおねがい。。 さ、最後は、あなたの胸に抱かれたい。」って、力なくいう儂の最愛の妻。 もう儂の手を握っている、妻の力が徐々になくなっている。

「お前ら、下がれ! 頼むから儂と妻を2人にしてくれ!」
という言葉を聞いて、皆を退出させた。 儂は皇帝だ、人前で泣く事は許されぬ。

もう意識が朦朧としている、妻を儂は思いっきり抱きしめた。
「なぁ、頼むよ、儂を独りにしないでくれ。」って言って、儂は頬には涙がつたっていく。
「あ、あなた、私達の子供達。 ふ、ふたごなの。 名はエルビィンとルカス。 成長したあの子達とあなたと一緒にすごしている光景が、いまも見えるわ。」って妻が最後の言葉のように言ってくる。 頼むから儂を独りにしないでくれと心で叫んでいた。
「わかった。 名はわかった。 だが、儂は、儂は。。」
「あ、あなた、愛してる。 私のぶんもあの子達を愛してあげて。」って、微笑む妻だ。
「あ、わかってる。。 」と返事すると、満足したのか、そのまま息を引き取る妻だ。

徐々に冷たくなっていく妻の身体を儂は抱き続けた。
外にいる家来どもに声が聞こえる事をさけ、儂は声を殺して泣き続けた。

あーそうだ、双子の子供達。
ベビーベットに寝かされている子供達の鳴き声が雷鳴の中むなしく聞こえていた。
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