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3章:精霊の塔

精霊の塔、22時~02時

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Side:精霊の塔のギルト

トムが、時計をみると既に22時10分であった。 
トムは受付におりて、待機していた数名の社員に伝える。
「今夜もおつかれじゃったな。 転移魔法陣で、臨海国家のギルドに転移して帰宅してくれ」というと、すでに帰り支度をしていた社員たちが「「お先に失礼します」」」といって、転移魔法陣のある部屋へむかっていく。

それを見送って、トムが戸締りをしようとすると、各国の軍服をきた兵士たちが来るのだった。
「誰もでてこない! 臨海国家へ連絡してくれ!」という兵士。
「同じくこちらも誰もでてこない、皇国に連絡を」
「いや、うちが先だ。 王国に連絡を」
「魔道国家にも、誰もでてきていないのです。 しかも朝からです」とおのおのが言う。

「朝からでてこないのに、なぜ今更じゃ!」と叫ぶトム。
既に、社員たちは帰宅してしまっており、こちらとしても対応する人員がいない。
「とりあえずギルド本部に連絡する」といい、緊急連絡をギルド本部に流し、ギルド本部から各国へ通知するようにするのだった。


トムは、ギルド本部からの連絡待ちのため、ひたすらマスター室にいる。 
他兵たちは各国の施設へ戻り、緊急会議や情報収集にむかったのであった。

◇◇◇
Side:セドリック

大喝采中に22時を迎えた兵たちは、22時になった事に気付いていない。
「22時すぎている。 なぜ、外へでれない!」と時計をみたセオドリック。 
その言葉に、みな時計を確認している。 
「これは異常事態だ、みな急いで下にさがるぞ!」と指示をするセオドリック。
「下の階にいるもの達もみな1階にむかうよう連絡してくれ!」といい連絡を促しながら、みなで下の階に移動を始める。
すると徐々に床や壁がゆれだし、うまく進めなくなる。

「みな、おちついて進め!」っていうセドリック。
「「「はい」」」という返事はあるものの皆なかなか揺れる床で進めない。 
連絡係の兵の1人が、連絡を受けて青ざめている。
「副騎士団長! 1階に到着した部隊から連絡がありました。 入口が封鎖されているそうです。」
「1階にいる部隊に、入り口をこじあけるよに命令しとけ!」と叫ぶと、「はい」といって連絡をする。

セドリック達がなんとか30階層までもどった時、時刻は既に2時に近い。 
そこから、セドリックがみた景色は残酷であった。 
壁が迫ってきて、前にいる兵たちは押しつぶされていく。 
皆、散らばりながらも隙間をいくが、必ず行き止まりになり押しつぶされていく。 
セドリックもまた、拳大の精霊石に魔力をながし、風属性が付与されたバスターソードで壁を切るが、まったく傷をつける事もできず、意味をなさない。 
火属性の大剣とバスターソードを両手でもちなんとか狭まる壁を押さえて、生き残っている兵を通すも、皆、下の階へ続く階段が狭くなっていき押しつぶされていく。 
行き場を失ったセドリックと他生き残り達。 
その時、セドリックの火属性の大剣が折れる。 
「ふざけるなー」という大声を上げるセドリック。

これが彼の最後の言葉となる。
そして、”ぶち”っという音とともに壁とも床ともわからぬものに押しつぶされ、圧死するのであった。

◇◇◇
Side:シュン達

22時を過ぎたあたり、
エールを片手にタバコをふかしてる俺。
「やっと気づいたみてーだな」
「ああ、遅くとも午後か夕方にはきづくと思った」ってリン。
「誰も生きているって思ってないからだぞー」
「シリルは、そういうところは抜けないな」と突っ込むのでリンである。

「まぁ、エールでものみながら、眺めてようぜ。 どうなんかは予想できねぇーからな」
シリルもエールをのみながら「だぞー」といい、リンが「ああ、共食いとかするのか」といいながらエールをのむ。 

「どうだろうな、合体すんかもな」
「自爆だけはやめてほしいぞ。」
「それはねぇーな」って俺はニヤリ笑うのだった。

2時。
俺はがニヤリと笑う。
「始まるみてーだな」
「合体か?」ってシリルは目をかがやかせながら言ってる。
「共食いに1票」っていうリンの言葉に、俺たちは爆笑するのである。
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