【白銀の黒帝:10】臨海国家と精霊の塔

八木恵

文字の大きさ
上 下
18 / 23
3章:精霊の塔

精霊の塔、22時~02時

しおりを挟む
Side:精霊の塔のギルト

トムが、時計をみると既に22時10分であった。 
トムは受付におりて、待機していた数名の社員に伝える。
「今夜もおつかれじゃったな。 転移魔法陣で、臨海国家のギルドに転移して帰宅してくれ」というと、すでに帰り支度をしていた社員たちが「「お先に失礼します」」」といって、転移魔法陣のある部屋へむかっていく。

それを見送って、トムが戸締りをしようとすると、各国の軍服をきた兵士たちが来るのだった。
「誰もでてこない! 臨海国家へ連絡してくれ!」という兵士。
「同じくこちらも誰もでてこない、皇国に連絡を」
「いや、うちが先だ。 王国に連絡を」
「魔道国家にも、誰もでてきていないのです。 しかも朝からです」とおのおのが言う。

「朝からでてこないのに、なぜ今更じゃ!」と叫ぶトム。
既に、社員たちは帰宅してしまっており、こちらとしても対応する人員がいない。
「とりあえずギルド本部に連絡する」といい、緊急連絡をギルド本部に流し、ギルド本部から各国へ通知するようにするのだった。


トムは、ギルド本部からの連絡待ちのため、ひたすらマスター室にいる。 
他兵たちは各国の施設へ戻り、緊急会議や情報収集にむかったのであった。

◇◇◇
Side:セドリック

大喝采中に22時を迎えた兵たちは、22時になった事に気付いていない。
「22時すぎている。 なぜ、外へでれない!」と時計をみたセオドリック。 
その言葉に、みな時計を確認している。 
「これは異常事態だ、みな急いで下にさがるぞ!」と指示をするセオドリック。
「下の階にいるもの達もみな1階にむかうよう連絡してくれ!」といい連絡を促しながら、みなで下の階に移動を始める。
すると徐々に床や壁がゆれだし、うまく進めなくなる。

「みな、おちついて進め!」っていうセドリック。
「「「はい」」」という返事はあるものの皆なかなか揺れる床で進めない。 
連絡係の兵の1人が、連絡を受けて青ざめている。
「副騎士団長! 1階に到着した部隊から連絡がありました。 入口が封鎖されているそうです。」
「1階にいる部隊に、入り口をこじあけるよに命令しとけ!」と叫ぶと、「はい」といって連絡をする。

セドリック達がなんとか30階層までもどった時、時刻は既に2時に近い。 
そこから、セドリックがみた景色は残酷であった。 
壁が迫ってきて、前にいる兵たちは押しつぶされていく。 
皆、散らばりながらも隙間をいくが、必ず行き止まりになり押しつぶされていく。 
セドリックもまた、拳大の精霊石に魔力をながし、風属性が付与されたバスターソードで壁を切るが、まったく傷をつける事もできず、意味をなさない。 
火属性の大剣とバスターソードを両手でもちなんとか狭まる壁を押さえて、生き残っている兵を通すも、皆、下の階へ続く階段が狭くなっていき押しつぶされていく。 
行き場を失ったセドリックと他生き残り達。 
その時、セドリックの火属性の大剣が折れる。 
「ふざけるなー」という大声を上げるセドリック。

これが彼の最後の言葉となる。
そして、”ぶち”っという音とともに壁とも床ともわからぬものに押しつぶされ、圧死するのであった。

◇◇◇
Side:シュン達

22時を過ぎたあたり、
エールを片手にタバコをふかしてる俺。
「やっと気づいたみてーだな」
「ああ、遅くとも午後か夕方にはきづくと思った」ってリン。
「誰も生きているって思ってないからだぞー」
「シリルは、そういうところは抜けないな」と突っ込むのでリンである。

「まぁ、エールでものみながら、眺めてようぜ。 どうなんかは予想できねぇーからな」
シリルもエールをのみながら「だぞー」といい、リンが「ああ、共食いとかするのか」といいながらエールをのむ。 

「どうだろうな、合体すんかもな」
「自爆だけはやめてほしいぞ。」
「それはねぇーな」って俺はニヤリ笑うのだった。

2時。
俺はがニヤリと笑う。
「始まるみてーだな」
「合体か?」ってシリルは目をかがやかせながら言ってる。
「共食いに1票」っていうリンの言葉に、俺たちは爆笑するのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...