【不遇転生:1.5】元王族 ~また王子に転生したらしいけど、王子とか国王とかもう勘弁~

八木恵

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2章:リステ小国編

俺のバディー

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Side:ケネス
アルフと出会ったのは、保護した子供をリストラント王国からリステ小国のアイザック公爵家へ受け渡す任務だ。 正直、ダブルナンバーの仕事かよって思ったが、その子供がリストラント王国で秘密裏にされている王子だと。

迎えに行く途中、マスターからの伝令で、その子供が組織にはいりたい、しかも実働希望という事で、急遽試験も請負った。

船の移動中に、実力を確認した。 諜報のXから、油断してないのに拘束されたとも聞いてたけど、7歳かよっていうほど気配の消し方、実力も申し分ない。 これ、ダブルの実力だ。 まだ、細かい指導は必要って事で、俺はそのままアルフの家庭教師として訓練、実践を共にする事になった。 勉強、こいつまじ天才ってか歴史、地理以外教えることはなかった。

成長する度に、暗殺じゃ化け物じみた活躍だ。
人攫いの奴隷商の暗殺任務。 奴隷商のみならず、そこにいる奴隷も殺す。 俺だって最初は子供を殺すのは躊躇した。 けど、生き残ってもこの子達の行き場は別の奴隷商だ。 人攫いの奴隷は、病気になっていたりだ。

なのにアルフは、平然と迷いなく殺した。
「お前、平気なのか?」って思わずきいた。
「行き場のない、苦痛の死しかないなら、楽に死なせたほうがいいだろ」っていう。
確かその通りだ。 死体もみな一撃で、本人は苦痛もなく死んだんだろう。 切り口でわかる。

そんなある日、ダブル後半の10代前半の若手の指導に俺達はついた。
ある貴族の暗殺だ。 一家皆殺しだ。 俺達はいつもどおりに殺す。

が若手が、7歳ぐらいの子供を殺せず、震えていた。
アルフが、ため息をつきながらその子を始末した。

「子供は殺せないのか?」って俺が聞いた。 アルフは表の家に帰らなきゃいけない。 実際、アルフだって、12歳になるかならないかだ。 若手より、若い。
「はい、私、孤児院出身で、孤児院へのお金を送るのにこのギルドに入ったんです。」
「実働やめて、諜報だっていいだろ。」
「実働じゃなきゃ、お金が足りません。」っていう。
確かに、実働は報酬が諜報より数十倍以上だ。
「子供を殺せるよになるんだな」

そして後日、こいつはやらかした。
俺達は見守るだけで、ある家庭の暗殺だ。 諜報部隊でダブルスパイしてた一家、夫婦とも諜報で、子供が1人いる。

そいつのみに行かせた。
戻ってきて「任務完了しました。」っていう。
「子供は殺したのか?」ってアルフだ。
「はい」って答えた。 駄目だな。 その場でアルフが処分した。
隠し部屋にいた子供もアルフが殺した。

「嘘ついたら、この世界では終わりだ。」って冷たい声だ。

アルフは暗殺任務時は、冷酷無慈悲になる。 なのに終われば、今だと一緒に飲みに行く。 日中は、屋敷では優等生だ。 
俺達のいる世界、みないろいろな顔をもつ。
だが、アルフ以上に実力もあり、ここまで幾つもの顔をもつ奴は知らない。
もうバディー組んで7年。 見限られないように俺も努力だな。

暗殺に関していえば、既に裏ギルドで1番だ。 本人気づいてないみたいだけどな。
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