上 下
33 / 55
4章:食堂経営編

食堂にきた、ひ弱な男①

しおりを挟む
それから数週間後、
夜の食堂営業時間に1人の冒険者ではあるが、細身で気が弱そうな20代半ばくらいの男が来店した。 
カールが対応して1人だという。 
ちょうど席は埋まってしまったので、カウンターに案内する事になった。

厨房で料理を作りながら俺は、その男の様子を観察していた。 
挙動不振だ。 出来た料理を出し、リンとカールに配膳させる。
カウンター席に座った男は、下をむいたま何もたのもうとしない。。
「何を食いたいんだ?」って聞く俺。
「すみません。 僕 ほとんどお金なくて、今、銅貨3枚しか。。 
 ここのエールが美味しいって聞いてせめて最後にと思って」っていう男。
 
なんか、訳ありか。。 
「ちょっと待ってろ」といって、俺は厨房にいき、5分後にチャーハンとエールを男に出した。

すると、男が驚いている。 まぁ、そうなるな。
「賄いだ。 金はいらねーよ 食いな。」と俺が言う。
「ありがとうございます。」といって食べ初めて、泣きながら「美味しいです」と連呼する男だった。

「あのぉー。どうやってお返しすれば?」って男。
「冒険者なんだろ? ダンジョンに潜って、金できた時にでも、食べにきてくれればいいよ。」と俺が言うと、男がポツポツと語りだす。 

自分は、無属性の次元ボックスが使えるが戦闘能力は低く今まではパーティ仲間に重宝され荷物持ちをしていた。
報酬も6人パーティーで均等に分けていたが、半年前から急に方針が変わり討伐した分となり、自分は、それから1銭も稼げなくなってしまう。 
今は、たまにある荷物運びの日雇いの仕事を請け負って、なんとか今日までやってきたとの事だ。

するとちょうど良いタイミングで、ボブの冒険者者仲間が4人が来店。
ちょっと暗い話を聞いてしまったし、俺としてもどうする事もできないから困ってた。
「シュンちゃん、リンちゃん、来たぞ!」と入店してきた。
「ん、どうした? しけた面したあんちゃんは?」といいながらテーブル席に座る4人。

彼らは案内せずとも、勝手に開いている席に座る。

リンが彼らに男の事情を説明する。
「あんちゃん、こっちきな! 俺らと一緒にのもう!」って誘い、その男を囲いながら食べたり飲んだりしている。

閉店時間も近くなり、リンが店の看板を”Close”にかえると客はボブの仲間たちと男だけだった。 
俺は、賄いを用意し、カールに渡し、俺とリンはカウンターで、カールも近くで食べ始める。 
もちろん、エールを呑みながら。 

「シュンちゃん、俺たちよ、あんま魔法の事詳しくねーけど、次元ボックスって珍しいんだよな?」ってボブの仲間の1人が聞いてくる。
「ああ、無属性の派生だ。 俺も最近の事情は知らねが珍しいんじゃねぇ。」って俺。
「ほれ、聞いただろ。 あんちゃん、元気だせよ。 珍しいってさ。」って励ましている。

「そうなんですか! 僕 まともに魔法を習ったことなくて。。無属性ってあんまり学校で教えてくれなくって」っていう男。
「シュンちゃん、そーなの?」と聞いてくるボブの仲間。
「ああ、無属性って身体強化で終わりじゃね。 念話とかも学園じゃ教えねぇしな。 
 次元ボックスだって、センスの問題だ。 理論が難しいからな。」
 「さすが、元魔法師、詳しいね」って言われてしまった。

俺が言っている内容は、たぶん詳しいレベルではないが誰も突っ込まないので俺は、そのままスルー。

「あんちゃん、荷物持ちはできるだろ?
 俺達、週2日ぐれいしかダンジョンに潜らねーが荷物に今こまってんだ。  
 ボブっていう今は王都にいっちまった奴がマジックバック持ってたんだけどよ、引退しちまってよ。 
 それでだ、これも何かの縁だ。 
 俺ら報酬折半だ。 毎日じゃねーが、俺らと組むか?」というボブの仲間。
「いいんですか? よろしくお願いします。」と返事する男。
どうやら、ボブの仲間と組むようだ。

「シュンちゃん、こいつに無属性の他の魔法を教えるってことできねーか? なんか宝の持ち腐れみてーでよ」と聞かれる。
「面倒だ。 んーでもな、ちょっと教えるでならいいか。 お前、ポーター君でいいや、月曜の朝10時にここに来い。」っていう俺。
 「いいんですか? わかりました。 お願いします。」と返事するポーター君。

その後、時間も時間って事で、皆、会計を済ませて帰っていった。

◇◇◇
「シュン、珍しいな。 どうしたんだ?」
「そうですよ、シュンさんが人間に教えるなんて。」とリンもカールも俺の珍しい行動に驚いていた。
そうなるよな。 任務以外で誰かに教えるって事しないからな。 (リン以外)。
「あー、魔力の質が良かったからだ。 が、あの年齢だ、鍛えても、魔力量も増えんだろ。 
 自力で無属性の派生の次元ボックス使えるんだ。  転移と魔弾が使えるようになるかなってな。」と俺が言う。
「「なるほど」」と納得するのリンとカール。

俺がポータ君に食事を無料で提供してやったのも、結局、魔力の質だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

【白銀の黒帝:4】精霊と無能者

八木恵
ファンタジー
『白銀の黒帝』の4作目。 人界から拠点を強制的に神獣竜界になったシュンこと『白銀の黒帝』。 一方、人界では、女神信仰により、ステータスの導入、そして精霊が生まれていた。 人間は精霊の儀で精霊と契約する事で、精霊魔法を使えるようになる。 これは、精霊と契約できなかった2人の無能者と呼ばれる少年たちと、なんの因果かシュンが彼らを弟子にする物語。 ※R18は保険です ※「小説科家になろう」にも掲載しています ※誤字脱字が多いかもしれませんがご了承ください。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

ちゅー
ファンタジー
なんの変哲も無いDVDプレーヤー それはAVの世界へ転移させられる魔性の快楽装置だった 女の身体の快楽を徹底的に焦らされ叩き込まれ心までも堕とされる者 手足を拘束され、オモチャで延々と絶頂を味わされる者 潜入先で捕まり、媚薬を打たれ狂う様によがる者 そんなエロ要素しかない話

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...