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3章:迷宮都市編

リンのケーキをめぐって。。

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それから数週間後、王宮に戻った使者は第3王女に酷く叱咤され、圧力をかけて食堂を潰せといいだす。  
二度といきたくない使者は、王宛の手紙を預かったことをつたえるも、一介の平民がと罵り、その手紙を破こうとするが破けないし、燃やそうとするも燃やす事も出来ない。

そして癇癪をおこした王女は、手紙と使者を連れ王のいる部屋へ乗込み、どうにかしてそのケーキ職人を自分のものにしたいと訴え、手紙が開かない事にも苛立ていると伝える。

王は、我儘な娘にイライラし、手紙の封をみた瞬間一瞬青ざめ、使者以外の者を退かせて説明を聞く。
そして封を開き内容を確認する更に青ざめてく王。 そして、急ぎ宰相を呼びだす。

即日、箝口令と迷宮都市の管轄貴族へある王命がいく。
“迷宮都市貴族へ『ボブの食堂』の住民への詮索、干渉、勧誘、及び命令、過度な接触を禁止する。 
破った場合、家を取り潰す”

そして第3王女は、王家より勘当され身分を平民にされ、修道院行きとなったのだ。

たかが食堂の住民に対しての処置に反感はあるものの、
王女が勘当されかつ身分は平民にされている事によって表立って反感する貴族はいなかった。

こうして、リンのケーキから発端した、王家の『ボブの食堂』への介入は、国王の異例となる王命で終わりを告げる。

◇◇◇

国王が開封した手紙には、こう書いてあった。

【我、0番隊隊長 白銀の黒帝の縁者である。 
 迷宮都市の『ボブの食堂』で静観しているが、昨今王族、貴族の干渉が激しい。 
 我の邪魔する場合容赦なく誰構わず処分させてもらう。 
 古の盟約を守り続けるのであれば、こちらは何もしない。 】

 
その日の夜、バルコニーに出た王は、溜息をつく。
「わしの代で現れるとはな。」とごちると、
「別に何かがあってきたわけじゃねぇーよ。」と声がした方へ振り向くと、
そこには0番隊隊長コートでフードを被った男がいた。 

王は気づき「わざわざお越しいただくとは、黒帝の縁者様」と深く深くお頭を下げて礼をする。

「へー 正装で来たがちゃんと伝わってんだな。 今回は、まともな王みたいだな。 
 まぁ、今回は偶然だ。特に目的もねぇー。 ただ結構、今の生活を楽しんでんだ、邪魔されたくねぇーんだよ。」という俺。
「ええ、承知いたしました。 私めがお忍びでお邪魔するのもやはり駄目でしょうか? 噂の料理と酒がね。」という王。 

「ああそうだな、護衛もなく、ただの中年オヤジが客としてくるんだったら、ちゃんともてなすよ。 じゃぁな」といって俺は転移した。


愚王ばかりだが、たまにはまともな王もいる。  
この出会いが今後どうなるかは、今は誰もしらない。
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