【白銀の黒帝:21】元皇族らしけど、自由に生きたい

八木恵

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3章:セロウノ大陸編

長期休暇にはいった

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前期も無事終わり、俺の成績は総合21位だった。 
全教科満点なのだが、Sクラスの順位のあとにつけられるらしい。 

休暇は2ヶ月あり、俺は最初の数週間を迷宮都市で過ごし、ギルドランクをBにしてもらい、前期あまり行けなかった中級ダンジョンへいった。 中級ダンジョン61階層で、虫エリアにはいり、蜘蛛の多さに格闘しつつなんとか数日かけて61階層はクリアした。 アウルは雷鳥の所へ帰している。

その後、魔の森で1週間ほど過ごして今、魔大陸のオヤジの所にきて、先代狸ジジイもいれて話をしている。

出島の見取り図をみせながら、俺はエール飲んでる。
「ここが学園エリアで、奥が軍事関連エリアになってぇんだ。 そんで、学園の校舎棟から軍事エリア内が常に夜間神級の結界で、中央が結界棟になってるみてぇーだな。せめて上級ならよ、魔術使えそうなんだが、最上級だもんで魔術使えねぇ。 まだ軍事エリアまでは踏み込めねぇ。
でもよ、魔術研究所って、この結界内にあんなら、地下しか考えられねぇんだけど」っていう俺。

オヤジもエールをのんでる。
「やっぱ地下だろうな。 んで、学園長室は見つかったか?」と聞かれ、俺は首を横にふった。
「まだ確信じゃね。教員棟にもよ、教室棟、図書館とか、特別棟とかも探したんだけど、ねぇーの。」といい、「ただな、建物の構造的におかしいなってのが、教員棟の最上階。 ここ、んでこの前の対抗戦、とっと負けて隠し扉までみつけた。 んでよ、認証魔法陣、これ魔大陸のじゃないかって思うんだけどよ、俺あんま魔大陸の手法しらねぇからコピーしてきた」といって、オヤジと狸ジジイに渡した。

「なんで、魔大陸だって思ったんだ?」ってオヤジに聞かれた。
「前にシュンさんが、魔法陣ってその人の癖が出るんだって。 例えばよ、魔術つかうのに魔法陣を覚えて発動すると皆同じだけどよ、自分でロジック組むやり方の場合どうしても良く使う方程式とかがあってよ、それがその人の癖な。 んで、種族認識の魔法陣とこの認証のベースが似てたんでそうじゃねぇかなって思っただけだ。」

「良く学んでおるのじゃ。 ちなみに、過去の魔法陣から最新の魔法陣については、魔大陸では特許という形で保管されておってな、魔法陣の汎用性や技術レベルに応じて開発したものや、開発者が死亡後にその魔法陣が改良されて承認されるとじゃ、特許料が微々たる金額じゃが支払われておるのじゃ。一般的なやつは、もちろん無料じゃ。」という狸ジジイ。

ほうほう、そんな仕組みなんだな。 でも俺、嫌な予感しかしない。

「もしかして、その特許料を支払う魔法陣が人間社会に流出してるとか言わねぇーよな。」
「察しがいいな。 その通りなんだよ。 だから、俺ら調べてんだが、それに気づいたのが種族判別の魔法陣だ。」っていうオヤジ。 そして、狸ジジイが、大量のファイルを山積みにしてる。
「魔法陣と管理番号、開発者、管理者が書いてあるんじゃ。 さきほど、ギースが癖があるっていってたじゃろ。 お主の思う癖事にファイリングしてくれ。 まだ一部じゃが」って平気で言ってきた。

まてまて、なんで俺が。
「もしかして、研究所チームみたいになっててだな、それごとに上手くファイリングできりゃ、内通者がわかるかもなんて考えてねぇーよな。」
「話しが速くてたすかるのじゃ。 この世界で、今、魔法陣の癖っていうのがわかるのはギースぐらいじゃ。 わしは出来の良い孫もって幸せじゃ」と嬉しそうに笑っているよ狸ジジイ。

「いやいや、孫じゃねぇーし、40年も調べてんのにわかんねぇんだろ。」って俺。
「確かにこの狸ジジイの孫は、ギースじゃないな。 ちゃんとした孫はいるしな。 それでよ、黒幕はもうだいぶ前からわかってんだ。 ただ証拠がねぇ。 ちなみに、この魔法陣のファイルもやっとこ、こっちに入手できてんだ。」ってオヤジ。
「わしの子は、デオだけじゃ。 あんなお花畑と浪費家と一緒にせんでほしいのじゃ。」といっているよ狸ジジイ。
 俺は意味がわからないから、聞かないふりをしながらタバコに火をつけて一服。
「とりあえずやりゃいいんだろ」って言っておいた。 今朝も模擬戦で負けたし。。
「誰か手伝いいるか?」
「いらない。 なんでこうなるんだとか聞かれると面倒だから1人でやったほうがいい。 どっかの森で小屋の中でやるわ」といってファイルを次元ボックスに入れていく。

「んじゃぁ、俺いくな。」
「ああ、わりぃーな。」ってオヤジ。 
「俺の自由が早まると思えばそれでいい」といって、俺は転移して魔の森へ行く。 一番安全だし、落ち着くからな。

一方、ギースが転移したあと残されたデオドルと狸ジジイこと先代魔皇帝のヘルムート。

「ギースは、何したいのじゃ?」
「魔大陸の未開地を巡って、神獣と模擬戦するんだとよ」笑いながらいうとデオドル。
「馬鹿なのか、それとも、いや親子じゃな」と苦笑いするヘルムートこと狸ジジイであった。
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