130 / 185
6章:王都学園編 第2章
閑話 インズ国
しおりを挟む
ノース国との敗戦から半年以上が経過している。
旧アルタの反乱はオズベルトが鎮圧し、なんとか餓死者を減らすことができたが、旧ウドスも水害が連続していて、難民が増えている。
インズ、そしてインズノースで受け入れているが、食料不測になるのは時間の問題だ。
そして最近父上の様子がおかしい。 母上は相変わらず礼拝堂だ。
「オスカー殿下、国王様がお出かけに」というヤンの声だ。
「こんな真夜中に。 行くぞ」といって僕はヤンとロイを連れて、父上の跡を追った。
父上は王宮から離れた鉄格子の扉をあけ洞窟にはいっていった。
「お前達、ここがどこか知っているか?」と小声で聞いた。
「いえ、ただ立入禁止とだけ。」と答えるヤン。
顔を見合わせて、僕たちはその洞窟内部に侵入した。 そこには、下に続く階段がありかなり深い。 深部につくと父上が灯りを灯して、見えるのは、異形の姿の像。 それは羊の角が両頭部から生えており、目の形はギロリととし、口には長い牙が生えている。 耳はとんがっていて、巨大なコウモリ型の羽をたくわえ、屈強な身体つきに両手両足からは長い爪を蓄え、しゃがむ姿で鎮座している。 真黒なそれは像とはわかるが今にも動きだしそうだ。 ただその像は年季が入って風化しているのか所々にひびがはいっている。
「答えよ、大悪魔アークデーモンよ、われとの取り引きは成立したはず。 なぜ、我が国は今、衰退してるのだ。」と国王が叫ぶ。
『あの日邪魔が入ってあの者の魂を奪えなかった。 だが、五感、声帯、痛覚、皮膚感覚と憎い神の加護を奪う事でおまえとの取り引きを成立させた。』とその声は禍々しく低い。
「では、どうすればこの国を救えるのだ」
『あの者を殺せ』
「やはり生きているのか!!」
『ああ、だがわれの配下も既に5人殺されており奪った者を取り返された。 簡単ではないがな。 ククク』
「なら、われに力を」
『人間よ、悪魔との取り引きは1回だけだ。 既にお前との取り引きは成立した。』
「くそ、このまま滅びるのか」と項垂れる国王。
『ククク、そこに3人いるぞ』
国王が振り向くと、そこには息子のオスカーとオスカーの近衛兵のヤンとロイがいた。
「お前達、なぜここにいる!」
「父上、あなたは悪魔と取り引きをしていたのですか! なぜです?」
そう追及され、真実を話すしかない国王だ。
「16年前、長い間続く小国やウェスト国との戦い、そして天候不良や相次ぐ災害でインズ国はもはや滅ぶしかなかったのだ。 神に願い続けても状況は変わらずだ。 神に救いを求めるのが馬鹿馬鹿しくなったわしは、ここに来て悪魔と取り引きをした。 この国の繁栄と豊潤を引き換えにわしから奪えるすべてを奪えと。 そして、16年前に産まれた赤子は、産声を上げずで5感覚を失っていた。 しかも黒髪で、瞳の色は金色だ。 わしは産婆に命令して、魔鏡へはいる川に捨てさせた。 生きているはずがないのに。」
「父上、その者に心辺りがあります。」
「なんだと! どこにいる!」
「はい、現在イースト王国に。 ヤン、ロイ、名前は覚えているか?」
「オスカー殿下、ユリアン王妃様が聞いており、確かノアール・ギブソンという名前です」
「父上、このオスカーがその者を殺します。 では、いくぞヤン、ロイ」
『ククク、力が欲しい場合はお前ら3人ならいつでもこい。』
「悪魔との取り引きはしない」といって僕はヤンとロイと洞窟をでた。
旧アルタの反乱はオズベルトが鎮圧し、なんとか餓死者を減らすことができたが、旧ウドスも水害が連続していて、難民が増えている。
インズ、そしてインズノースで受け入れているが、食料不測になるのは時間の問題だ。
そして最近父上の様子がおかしい。 母上は相変わらず礼拝堂だ。
「オスカー殿下、国王様がお出かけに」というヤンの声だ。
「こんな真夜中に。 行くぞ」といって僕はヤンとロイを連れて、父上の跡を追った。
父上は王宮から離れた鉄格子の扉をあけ洞窟にはいっていった。
「お前達、ここがどこか知っているか?」と小声で聞いた。
「いえ、ただ立入禁止とだけ。」と答えるヤン。
顔を見合わせて、僕たちはその洞窟内部に侵入した。 そこには、下に続く階段がありかなり深い。 深部につくと父上が灯りを灯して、見えるのは、異形の姿の像。 それは羊の角が両頭部から生えており、目の形はギロリととし、口には長い牙が生えている。 耳はとんがっていて、巨大なコウモリ型の羽をたくわえ、屈強な身体つきに両手両足からは長い爪を蓄え、しゃがむ姿で鎮座している。 真黒なそれは像とはわかるが今にも動きだしそうだ。 ただその像は年季が入って風化しているのか所々にひびがはいっている。
「答えよ、大悪魔アークデーモンよ、われとの取り引きは成立したはず。 なぜ、我が国は今、衰退してるのだ。」と国王が叫ぶ。
『あの日邪魔が入ってあの者の魂を奪えなかった。 だが、五感、声帯、痛覚、皮膚感覚と憎い神の加護を奪う事でおまえとの取り引きを成立させた。』とその声は禍々しく低い。
「では、どうすればこの国を救えるのだ」
『あの者を殺せ』
「やはり生きているのか!!」
『ああ、だがわれの配下も既に5人殺されており奪った者を取り返された。 簡単ではないがな。 ククク』
「なら、われに力を」
『人間よ、悪魔との取り引きは1回だけだ。 既にお前との取り引きは成立した。』
「くそ、このまま滅びるのか」と項垂れる国王。
『ククク、そこに3人いるぞ』
国王が振り向くと、そこには息子のオスカーとオスカーの近衛兵のヤンとロイがいた。
「お前達、なぜここにいる!」
「父上、あなたは悪魔と取り引きをしていたのですか! なぜです?」
そう追及され、真実を話すしかない国王だ。
「16年前、長い間続く小国やウェスト国との戦い、そして天候不良や相次ぐ災害でインズ国はもはや滅ぶしかなかったのだ。 神に願い続けても状況は変わらずだ。 神に救いを求めるのが馬鹿馬鹿しくなったわしは、ここに来て悪魔と取り引きをした。 この国の繁栄と豊潤を引き換えにわしから奪えるすべてを奪えと。 そして、16年前に産まれた赤子は、産声を上げずで5感覚を失っていた。 しかも黒髪で、瞳の色は金色だ。 わしは産婆に命令して、魔鏡へはいる川に捨てさせた。 生きているはずがないのに。」
「父上、その者に心辺りがあります。」
「なんだと! どこにいる!」
「はい、現在イースト王国に。 ヤン、ロイ、名前は覚えているか?」
「オスカー殿下、ユリアン王妃様が聞いており、確かノアール・ギブソンという名前です」
「父上、このオスカーがその者を殺します。 では、いくぞヤン、ロイ」
『ククク、力が欲しい場合はお前ら3人ならいつでもこい。』
「悪魔との取り引きはしない」といって僕はヤンとロイと洞窟をでた。
10
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売中です!】
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる