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3章:ノース国編

閑話 ユナとある青年

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Side:ユナ

なにあの人間。 女性を蹴り飛ばすし、川に流されている私を置き去りにして。 って、あの人間の容姿は整っていてあの金色の瞳には吸い込まれそうだった。 なのに、私のことは一切見てない。。

あぁーもう駄目、川の水が冷たく過ぎて力がはいらない、意識が遠のいていく。

◇◇◇
Side:???
父上の命で、ノース国侵略の進行調査のため、僕は魔境を迂回しつつ山道へはいる森を進んでいた。

「オスカー殿下、この先へ向かった先遣隊からの報告ですが、昨日までの土砂降りと落雷で、山道が落石で埋まってるようです。」

いきなりの大雨と落雷で、僕達は1週間ほど森の中で身動きができない状態だった。

「そうか。 撤去には人員がいるな。 ひとまず、先遣隊の合流をまってから1度インズエンドへ戻ろう。」

「はっ、では馬の休憩も兼ねて川へ移動しましょう」って僕の近衛兵がいう。
「そうしよう」っていって川辺に移動した。

すると川辺には白いワンピースに長い銀髪の10代中旬の少女が倒れていた。
思わず僕は周りの静止を無視して馬から飛び降り彼女の元へ駆け寄った。

意識はないが息はしている。
肌は白くて、ぷっくりとした唇は血の気を失い紫だ。 手足も細くて長い。 とても儚く可憐だ。 
僕は着ているマントで彼女を包み回復魔法を唱えた。 血の気がもどり唇もほんのりピンク色になった。

その後、先遣隊と合流して、インズエンドに戻った僕達。
僕が泊まる宿の部屋のベットに彼女を寝かした。 周りは反対したが、僕は手元に置いておきたかった。

僕の父は、繁栄と侵略ばかりを目指す。 母は優しいけど、王宮の礼拝堂でなにかを祈っている。
僕を見てくれない。 婚約者だっているが、それもこれも僕がインズ国の王太子だからだ。 気の許せる者は、近衛いる双子だけ。

彼女の寝顔をみていた。
「うぅーん」といって目を開けた。 目は大きく瞳の色はルビーのようだ。 目があった瞬間、僕は彼女を側に置きたいって思った。 
「あの、ここは?」って透き通った可愛らしい声だ。
「ああ、ここはインズ国にあるインズエンドっていう街の宿だよ。 川辺で倒れてたからここまで連れてきたんだ。」
すると、彼女の大きな瞳から涙が溢れて、こぼれ落ちる。
「死ぬかと思ったんです。 生きてて良かった。」と零れ落ちる涙をぬぐう事なく、「助けていただいてありがとうございます。」とお礼をいってきた。

あまりの儚さに抱きしめてしまった。
泣き止んだ彼女は、ユナって名前で年齢は14歳で僕より1つ上だ。
記憶が曖昧だけど、男性に川に突き落とされたらしい。 
こんな儚く綺麗な少女を突き落とすってどういう事だと僕は憤慨した。

食事を用意してもらい、スープを飲ませた。
ユナは孤独だったようで、寂しがり屋みたいだ。 その日の夜は一緒に寝て欲しいと頼まれてお互い抱き合いながら寝た。 一線は越えてないし、添い寝だ。

数日たってもユナはベットから起き上がれない。
「ユナ、食事も食べてるけど、まだ動けない? 僕、心配だよ」とベットの中でユナを抱きしめている。
彼女が泣いている。
「オスカー様、私 吸血鬼族なんです。 嫌わないで。 殺さないでください。」
あー、だから僕以外には怯えてたのか。。
「僕はユナの事大好きだよ。 嫌わないさ。 僕の血を飲めばユナは元気になるの?」
「はい。 でも、ほんの少しでいいんです。」
「ユナに血吸われたら、僕も吸血鬼になるの?」
「いえ、それはないです。 吸血鬼族の真祖は亡くなり、私が最後の生き残りなんで。」
「そうか、僕の可愛いユナ。 血を飲むのは僕だけにして。 」
「はい。勿論です。」って可愛い笑顔をむけた。 僕のクビ筋から血を飲むユナ。 はぁはぁと息が荒い。
「オスカー様の血は、とろけそうな味です。」っていい火照った身体を僕に預けた。

眠るユナを抱きしめながら、ユナが吸血鬼には驚いた。 
でもこれでユナは僕から離れない。 
僕の血を飲んだ者は、僕に逆らえないし依存する。 命令とかできないけど、僕を害する事はできない。 
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