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2章:少年期(イーストエンドでの生活)

エイダス公爵令嬢の侍女とフィル

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俺とザックは、夜、フィルが泊まる高級宿屋の外にいる。

フィルの部屋は、一階だ。 俺らはフィルの部屋の窓の近くまできて中の様子を探っている。

そしてフィルの部屋からは、男女の情事の声と特有の音が響き渡っている。 俺はザックに耳を塞がれている。
「ザック、耳塞いでもおれ感覚的に何がおきてるかわかるぞ」って小声でいう。
「フィルのやつ、結婚したばかりなのにいきなり不貞かよ。」っていうザック。
「もうフィルは置いてこうぜ」っていうザックだ。
「ザック、フィルの部屋から匂いするか? あと、血は?」
「甘い匂がするな。 あと唇から血がでてるな、女のほう。」
「そうか。 じゃぁフィルは魅了されて、さらに欲情させられてる状態だ。 たぶん、フィル自身は、愛おしい人としてるつもりだ。」って俺がいう。

「フィル、あなたは数日ここでノアールをまつのよ。 それで、ノアールにこのチョーカーをプレゼントするの。 ちゃんと首につけてあげるのよん」って女の声がする。
「ああ、わかったよ。 アイサはどこに行くんだい?」
「ジェシカ様の所よ。 フィル、私達夫婦はジェシカ様に拾ってくださったのよ。 私は侍女で、あなたは護衛騎士。 頻繁に夜来れないけど、こうして時間がある時は夜だけ夫婦でいられるの。 忘れた?」
「ああ、そうだった。 アイサ愛してるよ」
「フィル、私もよ」っていって少し経って女はいなくなった。

「アイサってイーストエンドにいるフィルの嫁の名だ。 抱いてた女は令嬢の侍女だ。 どういう事だ?」
「フィルは魅了状態だっていっただろ。 んで幻惑されて、しかも命令をされてんだ。 ザック、俺にはわからねぇーが、取り敢えず窓開けて風上にいこう」
「ああわかった。 甘い匂をフィルの部屋から無くせばいいんだな」っていうザック。 俺が頷くと、ザックが俺を抱えて移動する。

いちおう布で口と鼻は抑えている。 ザックがしてくれてる。
暫くして「ノアール、匂いは消えた。」って抱き抱えくれてるザックがいう。
「フィルは、移動してないけど、寝てるのか?」
「ああ、寝てる。」

「侵入して、フィルにかけられてる魔法解除するけど、フィルが騒がないようにしてくれ」
「ああ」っていって俺とザックは部屋に侵入した。

魔法解除したら目を覚ましたフィル。
「ザックにノアール」って小声でいったけど、「わぁ」って所でザックがフィルの口を塞ぐ。
「フィル、いいか冷静になれ。 お前は、今、危険な場所にいる。 よーく聞け、お前はエイダス公爵令嬢に魅了されて、侍女によって幻惑され、命令された。」
というと、フィルはこくこく頷いている。

「よし、落ち着いてるな。 ノアールは目が見えないから令嬢に魅了されなかった。 俺は、ノアールの近くにいたため、あの時ノアールが咄嗟に耐性の魔法をかけた。 で、俺らは荷馬車とともに置いてかれたが、ノアールの身体能力ならここに先回りできる。 普通の人間なら徒歩で2日だ。 で、ようやくお前を助けに来た。 お前にかけられた魔法はノアールが解除した。 もう小声で話せるな」

ってザックが口を塞いだフィルから手を離した。

「もう正常だ。 俺はアイサに。。」
「もうそれはしょうがない。 アイサにお前が話すなら俺も事情をいう。 ノアール曰く強力すぎて俺も入る事ができなかった。 問題はこれからだ」
「ザック、すまん。 あー、このチョーカーをノアールにつけろって言われた。」といってザックに渡す。
「俺には普通にしか見えないんだが、ノアール触ってみろ」って言われて触った。
≪奴隷の首輪だ。≫ はいサタンありがとうよ。
「奴隷の首輪。」
「いやちょっとまてよ、ノアールに首輪つけてどうするんだよ!」っていうザック。
「しぃ、静かにザック」ってフィルだ。 ちょっとザックの声が大きかったからだ。
「ああ、悪い。 でも、なんでだよ?」ってザックは今度は小声だ。
「俺が考えられる理由は1つだ。 ここの令嬢は、目見のいい騎士に侍女ばかりだ。 本人もイースト王国で一二を争う美女だ。 ノアールに魅了が効かず側に置くのなら奴隷の首輪が早い。 しかもこの形で、ベルグ様からノアールが令嬢の所に行くといっても不自然じゃないしな。俺も危うくベルグ様からここの令嬢の護衛騎士になると転属願いを出す所だった。」
「なるほど、見た目でノアールをか」っていうザック。
「なぁあ、見た目ってどういう事だ? 俺、黒髪で瞳の色が金色なんだろ。 黒髪は珍しいかもしれないが。。」
「…ノアールは、自分の容姿はわからないだろうが、まぁなんだ将来美丈夫になるだろうぐらい顔立ちがくっきりして整いすぎてんだ。」
「ふーん、よくわからないけど、令嬢をなんとかするしかないよな。 この後どうする?」って俺。
ちょっとした作戦会議をした。

◇◇◇
翌朝、フィルは、ジェシカの見送りをしている。
「お嬢様、いってらっしゃいませ」

「ええ、フィル先に王都に行きますが、王都でまってますわ。」
「はい、ガーネット伯爵様にご挨拶後に、お伺いします。 差し出がましいですが、お嬢様にこちらを」といって、ルビーの宝石であしらったネックレスを渡す。

「まぁ。素敵ですわ。 フィル。 これはどうしたの?」
「伯爵の夫人に頼まれて用意しました。 お美しいお嬢様にこそ相応しく」
「普段使いにちょうどいいわ、早速つけさせていただくわ。」といって侍女にいい、今つけているのと交換してつけた。
「どう? みんな似合ってる?」ってジェシカが、フィルも含めた周りの護衛騎士に見せているようだ。
「「「お美しいお嬢様にお似合いです!!」」」って、全員が声合わせていっている。  

「では、行きましょう」っていって宿を出て馬車にのっていった。

「ふぅー、終わったよ。」ってフィルの声は脱力した感じだ。
「フィル、なかなかの演技だったぞ」というザック。
「早速、ネックレスつけるとはね。 俺みたいな被害者がでない事をいのるよ。」ってフィル。

(さっそく付けるとはな。 もう2度外せない。 外したと思えば透明化するしな。 ベルグ、マリーや俺達に手出しはできないし、まぁあとは勝手に身を滅ぼすさ。)
≪だな。≫
(珍しくサタンがあの周りの人間の魂に興味がないんだな?)
≪タイミングがあればだが、これから王都だいくらでもいる≫
(そういうことか)


それから、俺達はのんびり朝食を食べてから王都にむかった。
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