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第八章
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「――木本和葉だな?」
和葉は学校帰りに見知らぬ男に声をかけられた。口にハンカチを押さえつけられる。何かの薬品が染みこませてあったのだろう。
意識がもうろうとしてくる。
和葉は意識を失った。
(ここはどこ?)
和葉は地下牢で目が覚めた。手は鎖で拘束されて、動かすことができない。部活を終えて自宅に帰る途中だったはずだ。そういえば、帰宅途中に何者かに薬で眠らされたことを思い出す。
コツリ、コツリと足音がこちらに向かってくる。
コツンと和葉がいる部屋の前で止まり、ドアが開いた。
歳は四・五十代といったところだろうか?
一人の男性が横に立っている。
濁りきった瞳が和葉を見ていた。
(気持ち悪い)
値踏みをするような視線を向けられる。
そのじっとりとした視線に鳥肌が立つ。
「かわいい顔をしているじゃないか」
「あなたは、誰?」
「私? 夏樹の飼い主と言えば分かるかな? 私には名前がない。ボスとだけ呼んでくれればいい」
まさか、闇組織のトップに会うとは思ってもいなかった。
(でも、やれることをやらないと――私が足手まといになってはいけないわ)
そんなことを考えているとボスが注射器を手にとるところだった。ボスは和葉の腕に注射器を刺す。液体が注入される感覚に身体を震わせる。
身体の中にじんわりと液体が回っていく。
「何をしたの!?」
「ふふ――気持ちがよくなる薬だよ」
(さぁ――堕ちればいい。私の手の中に来い)
「今すぐ、解放して――そうでなければ痛い目にあうわよ?」
「ダメだ――お前は私のものになるのだからな」
「私は誰のものにもならない。私だけのものだわ」
「その気の強いところが気に入った。夏樹にはもったいないな」
「夏――桜井さんは関係ないわ」
夏樹と呼びそうになり、途中で言い直す。下の名前で呼んでいい関係ではない。その関係は幼い頃までで、すでに終わっている。
破綻している。
「嘘だろう? 本当は気になっているくせに。あいつをボロボロにしてやってもいいぜ?」
「――やめて」
和葉の悲鳴のような声がその場に反響する。
「ああ――そうでなくても、あいつはもうボロボロだな」
(そろそろ、夏樹は使えなくなりそうだな。まぁ、代わりはいくらでもいる)
「桜井さんに何をやったの?」
「人体実験さ――任務前には気持ちを高揚させる「薬」を投与することになっている」
「信じられないわ!」
「まさに、自分がその目にあっているのに?」
「私は耐えてみせる――あなたの手の中には堕ちない」
「それはそれで、見物だな」
「それに、私は解放しないと痛い目にあうと警告をしたわよ?」
「ふん――私に勝てると思っているのか? できるものならやってみろよ」
「強がることしかできないなんて、可哀想な人ね。怖さで人を支配することしかできない男なんて情けない」
「――この女!」
ボスは和葉の上に乗りかかる。
幸い、拘束されているのは、手だけで足はされていない。どうやら、自分を甘く見ているらしい。ならば、今の力を見せつけてやればいい。
実際、痛い目にあわせるしかないだろう。
少し苛立った和葉はボスのお腹に蹴りを放つ。いきなりの反撃にボスが吹き飛ばされる。ボスはそのまま壁に衝突して、意識を失ってしまう。
改めて、空手を昴から習っておいてよかったと思った。
緊張もあってか、和葉も意識を失った。
*
「あ、目が覚めた?」
和葉は一人の青年に声をかけられた。少し茶色がかった髪やブラウンの瞳が夏樹と似ている気がする。夏樹を優しくしたような感じだった。
和葉は身体を起こす。気がつけば地下牢からフカフカな布団に寝かされている。鎖で傷ついた両手首も、手当をしてあった。
どうやら、この青年に連れてこられたらしい。
服も綺麗に整えられている。
「――桜井さん?」
恐る恐る青年に問いかけてみた。
「ふぅん――第一声にその名前が出るなんてね」
ブラウンの瞳がスッと細められる。
その瞳はどこか、楽しそうな光が宿っていて――。
「――誰ですか?」
「僕は矢野秋。夏樹とは従兄弟で、ここに潜入している警察官だ」
そう言って警察手帳を見せる。まさか、警察関係者だとは思いもしなかった。だとすれば、昴ともつながりや交流があるだろう。
「従兄弟。確かに似ていますね。それと、私を誘拐した理由は何でしょう?」
「知りたい?」
秋がにっこりと笑う。
その笑顔は何を考えているか分からない。
「知りたいです」
「最近、眠れてないでしょ? 少しでも、休んでほしかった。夏樹が言う木本さんにも会ってみたかったしさ。それと、安心して。注射の中身はビタミン剤にすり替えておいたから」
「隠さずに本当の理由を教えてください」
和葉は直球に聞いてみた。
(きっと、裏には何かがあるはずだわ)
あの笑顔――秋の感情が読み取りにくかったからである。
「本当の理由? ボスに一度会わせて、安心させ油断させるためだよ。性格を再確認する意味も込めてね。お陰でボスが夏樹のことをどう思っているか分かったし。悪いけど君を利用させてもらった。それにしても、あのボスを蹴り飛ばすとはかなりのじゃじゃ馬娘だな」
「あの……あれは忘れてください。見なかったことにしてください」
和葉の顔が真っ赤になる。
秋のその様子をモニター室で見ていたという。
「まぁ、自分の身を自分で護れるだけいいか。木本さん。よかったら、うちの組織(チーム)に来ない? 丁度、戦える人を募集中していてさ」
「私が?」
「うん。正義感がありそうだし、いいと思うけど」
「考えさせてください。私のことはいいとして。矢野さん。それより、桜井さんは?」
「気になる?」
「――はい」
秋が使っている秘密の道を歩きながら話をする。
二人の姿を月明かりが照らし出す。
「今、夏樹にあう薬の開発が終わったところだよ。木本さんは夏樹のことが好きなの?」
飲んでいたお茶が気管に入る。
ゴホゴホと咳をする和葉の背中を秋がさすった。
「矢野さん――ストレートすぎです」
「――ごめん」
「本音を言えばまだ、桜井さんのことは怖いです。生きるためとはいえ、人を殺していますよね? でも、逃げてばかりはいけないと分かっています。だから、夏樹のことは「家族」として見ていこうと思います」
「そっか――木本さんみたいな人が、夏樹の恋人でいてくれたらと思ったけれど」
「役に立てなくてごめんなさい」
「別に木本さんが謝る必要はない」
それでも、秋が多少――寂しそうな表情になる。
何か思うことがあるらしい。
血のつながりがある故か――。
従兄弟ならではの勘がひっかかるところがあるのだろう。こういう部分には、意外と敏感らしい。
気がつくことができるらしい。
内心軽そうに見えても、夏樹を心配していることがよく分かる。
大切にしていることが伝わってきた。
「矢野さん?」
「――何でもない」
左に曲がるといつも通学に使っている道に出る。だからこそ、秋はこの通路を案内したのだろう。じゃあ、僕は仕事に戻るからと来た道を戻る秋を見送った。
*
「和葉!」
「父さん」
昴の焦った声に和葉は振り返る。
秋からここにいるという連絡が入ったとのことだった。
「無事でよかった。和葉まで失ったら俺は――」
生きていられないと和葉をきつく抱きしめる。その温かさに生きていることを実感した。和葉は苦しくなり昴の背中をバシバシ叩く。
ようやく、解放された。
「私は大丈夫よ。生きているわ。それに、矢野さんに会ったわ」
「秋君に?」
「矢野さん。桜井さんのことを心配していたわ」
和葉が呟く。
その呟きは夜の闇へと吸い込まれていく。
「秋君はああ見えて優しいからな」
「ねぇ、父さん」
「どうした?」
「私はね。桜井さんがいなくなっても、受け入れようと思うの」
「――和葉?」
「私は桜井さんの意思を尊重したい。ただ、それだけよ」
和葉は昴を見つめる。
「――そうか」
二人の間に沈黙が落ちる。
その沈黙は嫌なものではなかった。
和葉は学校帰りに見知らぬ男に声をかけられた。口にハンカチを押さえつけられる。何かの薬品が染みこませてあったのだろう。
意識がもうろうとしてくる。
和葉は意識を失った。
(ここはどこ?)
和葉は地下牢で目が覚めた。手は鎖で拘束されて、動かすことができない。部活を終えて自宅に帰る途中だったはずだ。そういえば、帰宅途中に何者かに薬で眠らされたことを思い出す。
コツリ、コツリと足音がこちらに向かってくる。
コツンと和葉がいる部屋の前で止まり、ドアが開いた。
歳は四・五十代といったところだろうか?
一人の男性が横に立っている。
濁りきった瞳が和葉を見ていた。
(気持ち悪い)
値踏みをするような視線を向けられる。
そのじっとりとした視線に鳥肌が立つ。
「かわいい顔をしているじゃないか」
「あなたは、誰?」
「私? 夏樹の飼い主と言えば分かるかな? 私には名前がない。ボスとだけ呼んでくれればいい」
まさか、闇組織のトップに会うとは思ってもいなかった。
(でも、やれることをやらないと――私が足手まといになってはいけないわ)
そんなことを考えているとボスが注射器を手にとるところだった。ボスは和葉の腕に注射器を刺す。液体が注入される感覚に身体を震わせる。
身体の中にじんわりと液体が回っていく。
「何をしたの!?」
「ふふ――気持ちがよくなる薬だよ」
(さぁ――堕ちればいい。私の手の中に来い)
「今すぐ、解放して――そうでなければ痛い目にあうわよ?」
「ダメだ――お前は私のものになるのだからな」
「私は誰のものにもならない。私だけのものだわ」
「その気の強いところが気に入った。夏樹にはもったいないな」
「夏――桜井さんは関係ないわ」
夏樹と呼びそうになり、途中で言い直す。下の名前で呼んでいい関係ではない。その関係は幼い頃までで、すでに終わっている。
破綻している。
「嘘だろう? 本当は気になっているくせに。あいつをボロボロにしてやってもいいぜ?」
「――やめて」
和葉の悲鳴のような声がその場に反響する。
「ああ――そうでなくても、あいつはもうボロボロだな」
(そろそろ、夏樹は使えなくなりそうだな。まぁ、代わりはいくらでもいる)
「桜井さんに何をやったの?」
「人体実験さ――任務前には気持ちを高揚させる「薬」を投与することになっている」
「信じられないわ!」
「まさに、自分がその目にあっているのに?」
「私は耐えてみせる――あなたの手の中には堕ちない」
「それはそれで、見物だな」
「それに、私は解放しないと痛い目にあうと警告をしたわよ?」
「ふん――私に勝てると思っているのか? できるものならやってみろよ」
「強がることしかできないなんて、可哀想な人ね。怖さで人を支配することしかできない男なんて情けない」
「――この女!」
ボスは和葉の上に乗りかかる。
幸い、拘束されているのは、手だけで足はされていない。どうやら、自分を甘く見ているらしい。ならば、今の力を見せつけてやればいい。
実際、痛い目にあわせるしかないだろう。
少し苛立った和葉はボスのお腹に蹴りを放つ。いきなりの反撃にボスが吹き飛ばされる。ボスはそのまま壁に衝突して、意識を失ってしまう。
改めて、空手を昴から習っておいてよかったと思った。
緊張もあってか、和葉も意識を失った。
*
「あ、目が覚めた?」
和葉は一人の青年に声をかけられた。少し茶色がかった髪やブラウンの瞳が夏樹と似ている気がする。夏樹を優しくしたような感じだった。
和葉は身体を起こす。気がつけば地下牢からフカフカな布団に寝かされている。鎖で傷ついた両手首も、手当をしてあった。
どうやら、この青年に連れてこられたらしい。
服も綺麗に整えられている。
「――桜井さん?」
恐る恐る青年に問いかけてみた。
「ふぅん――第一声にその名前が出るなんてね」
ブラウンの瞳がスッと細められる。
その瞳はどこか、楽しそうな光が宿っていて――。
「――誰ですか?」
「僕は矢野秋。夏樹とは従兄弟で、ここに潜入している警察官だ」
そう言って警察手帳を見せる。まさか、警察関係者だとは思いもしなかった。だとすれば、昴ともつながりや交流があるだろう。
「従兄弟。確かに似ていますね。それと、私を誘拐した理由は何でしょう?」
「知りたい?」
秋がにっこりと笑う。
その笑顔は何を考えているか分からない。
「知りたいです」
「最近、眠れてないでしょ? 少しでも、休んでほしかった。夏樹が言う木本さんにも会ってみたかったしさ。それと、安心して。注射の中身はビタミン剤にすり替えておいたから」
「隠さずに本当の理由を教えてください」
和葉は直球に聞いてみた。
(きっと、裏には何かがあるはずだわ)
あの笑顔――秋の感情が読み取りにくかったからである。
「本当の理由? ボスに一度会わせて、安心させ油断させるためだよ。性格を再確認する意味も込めてね。お陰でボスが夏樹のことをどう思っているか分かったし。悪いけど君を利用させてもらった。それにしても、あのボスを蹴り飛ばすとはかなりのじゃじゃ馬娘だな」
「あの……あれは忘れてください。見なかったことにしてください」
和葉の顔が真っ赤になる。
秋のその様子をモニター室で見ていたという。
「まぁ、自分の身を自分で護れるだけいいか。木本さん。よかったら、うちの組織(チーム)に来ない? 丁度、戦える人を募集中していてさ」
「私が?」
「うん。正義感がありそうだし、いいと思うけど」
「考えさせてください。私のことはいいとして。矢野さん。それより、桜井さんは?」
「気になる?」
「――はい」
秋が使っている秘密の道を歩きながら話をする。
二人の姿を月明かりが照らし出す。
「今、夏樹にあう薬の開発が終わったところだよ。木本さんは夏樹のことが好きなの?」
飲んでいたお茶が気管に入る。
ゴホゴホと咳をする和葉の背中を秋がさすった。
「矢野さん――ストレートすぎです」
「――ごめん」
「本音を言えばまだ、桜井さんのことは怖いです。生きるためとはいえ、人を殺していますよね? でも、逃げてばかりはいけないと分かっています。だから、夏樹のことは「家族」として見ていこうと思います」
「そっか――木本さんみたいな人が、夏樹の恋人でいてくれたらと思ったけれど」
「役に立てなくてごめんなさい」
「別に木本さんが謝る必要はない」
それでも、秋が多少――寂しそうな表情になる。
何か思うことがあるらしい。
血のつながりがある故か――。
従兄弟ならではの勘がひっかかるところがあるのだろう。こういう部分には、意外と敏感らしい。
気がつくことができるらしい。
内心軽そうに見えても、夏樹を心配していることがよく分かる。
大切にしていることが伝わってきた。
「矢野さん?」
「――何でもない」
左に曲がるといつも通学に使っている道に出る。だからこそ、秋はこの通路を案内したのだろう。じゃあ、僕は仕事に戻るからと来た道を戻る秋を見送った。
*
「和葉!」
「父さん」
昴の焦った声に和葉は振り返る。
秋からここにいるという連絡が入ったとのことだった。
「無事でよかった。和葉まで失ったら俺は――」
生きていられないと和葉をきつく抱きしめる。その温かさに生きていることを実感した。和葉は苦しくなり昴の背中をバシバシ叩く。
ようやく、解放された。
「私は大丈夫よ。生きているわ。それに、矢野さんに会ったわ」
「秋君に?」
「矢野さん。桜井さんのことを心配していたわ」
和葉が呟く。
その呟きは夜の闇へと吸い込まれていく。
「秋君はああ見えて優しいからな」
「ねぇ、父さん」
「どうした?」
「私はね。桜井さんがいなくなっても、受け入れようと思うの」
「――和葉?」
「私は桜井さんの意思を尊重したい。ただ、それだけよ」
和葉は昴を見つめる。
「――そうか」
二人の間に沈黙が落ちる。
その沈黙は嫌なものではなかった。
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