泉界のアリア【昔語り】~御子は冥王に淫らに愛される~

佐宗

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第一章 愛証

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 膨大な質量で王子の内部を凌し、引き抜き、また抉る。
 そして欲望と征服感と慈愛のすべてを弩形ゆみなりの尖端に凝縮させて、一息に深く挿入すると、短い吐息とともに極みに達し、王子の中に己の精を注ぎこんだ。

「―――!!!」

 王の精を孔内に浴びたその瞬間―。
 拙い痴態を演じていたはずの王子の瞳が、突如はっと大きく見開かれた。
 今まで淫靡な、もやもやとした翳りの中にあった蒼の瞳孔は、永き眠りから目覚めた獣の最初の眼光のように、くっきりとした光彩を放った。

「ん…ふぅあ―っ……っぁあ……!!」

 ナシェルの口からはか細い悲鳴がとめどなく溢れ出す。
 冥王が躯を小刻みに揺すりながら、一滴たりとも溢すまいとばかりに王子の中に愛の証を注ぎこむ都度、王子は立て続けに切なげな、上ずった叫び声を上げたが、その声色はもはや、今しがたまで上げていたような嬌態の演技ではなく、歓喜の極みに達した者特有の悩ましさが含まれていた。

「あああぁ………はぁ……はぁ……ふぅ……」

 甘く切ない、長く尾を引くような絶鳴を上げて、王子の躯がぐったりと弛緩する。
 彼は、絶頂に達したわけではない。
 ひとりの神の子として、初めて身の内に吐き出された精の飛沫とともに、己のなかに注ぎ込まれた大いなるものの存在を、悟ったのだ。

(ああ……これが………)

 下肢は激痛のあまり感覚が麻痺するほどであったが、それとは真逆に、ナシェルの脳裏にはえもいわれぬ喜悦が訪れていた。
 激情が躯中を駆け巡った。

 これが、父の云う、力を授けるということ。
 神司を分けあうということ!

 それは、生まれて初めて味わう官能であった。
 白い精とともに浴びた絶大な闇神の神司。
 神々は交わりにおいて、互いの神司の影響を受ける。とくに受動者はより大きく、能動者の神司の影響を受けるのだ。同じ属性の高位神に注がれれば、神としての力は否応なく増すということだ。

 ナシェルは今、身をもって行為の意味の全てを知り、父神の己への真の愛と期待とを、痛感したのだ。

 乾ききった土壌に恵みの雨が降り注いでその地を潤すように。
 ぽっかりと空洞だった世界に、初めて大地と闇と光が創られた時のように。
 神司が、躯じゅうに沁みわたってゆく。

 激しいまでの感動が、ナシェルを包んでいた。

 闇神の神司ちからを浴びたナシェルの躯は、いま、熟れた果実のように瑞々しく色づいていた。



 冥王は、正常位で、最奥まで挿入したその姿勢を崩さぬまま、しばらく余韻に浸るように王子の内部を味わっていた。

 王子の全身が上気している。幼い彼が明らかに、自分の神司を浴びて甘い衝撃に包まれているのだと判る。

 王もまた、本当の意味で初めて半身の躯を手に入れたのだという深い感動の中にいた。
 二人はそうして、無言のまましばらく言葉も出ず繋がっていた。



 やがて王はナシェルの脱力しきった躯を抱き上げた。
 最初の精を放ってもまだ王の陰茎は収縮することを知らず、王子の狭い内膜に包まれて再び軽い興奮状態になりつつある。王はここで退くか、なおも苛むか、葛藤していた。

 王子を見れば、四肢は人形のようにぐったりと力なく、だが瞳だけは溢れんばかりの神の力を浴びて炯炯と耀き、虚空を見上げている。
 美しい我が子の放心する様に、色欲が再び萌芽し、王はさらに押し進むことを決意した。

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