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番外編
アムレス河畔にて⑤※
しおりを挟む焚き火のそばで残りの服を脱ぎ、まわりの枝に引っかけて乾かしながら、双神は裸になり寄り添った。池の岸辺は面積的にはとても狭く、周りのしげみがすぐそばまで迫る。服を周囲の木木にひっかけたおかげで、少々の目隠しにはなっている。
「でも、誰かが探しに来そうで怖いんですが……」
ごろんと横になった王に肢体を絡めつつ、まだ気を抜けない様子のナシェルに、
「誰かが近づけば精霊が追い払うであろう」
王は闇の精らを飛ばして周辺を見張るように命じた。
そうして周囲に誰も近づかないようにしてから、王は体をひねり上位になって、敷布代わりのマントの上にナシェルを再び横たえた。水気を含んだ髪が頬や首筋に張り付いて、清輝な美しさとなまめかしさの境を見ているようだ。どこか茫洋とした表情でこちらを見上げてくる、その深い蒼の瞳の奥に、思慕と信頼と僅かなためらいの感情が揺れ動いているのが見てとれた。
劣情を誘うような口づけを首すじや耳元に落とし、露わな腰や胸を撫でると、ナシェルの若々しい裸体がびくんと震え、徐々に反応を示しはじめた。
以前に与えてやった乳首のピアスはずっと外さずにつけているらしく、この日もうっすらとした色付きの蕾に彩を添えている。ピアスには鎖がついていてその先端で、蒼い宝石が清輝な光を放つ。
王はピアスの留め金ごと、ナシェルの乳首を指でつまんで軽く愛撫を与えた。すぐに乳首はピンと立ちあがり色づいて、快感を露わにする。キュッと硬くなった乳蕾を撚りあげるうちナシェルは甘い声を上げはじめ、優美な肢体をのけ反らせた。
「ああっ……」
寂しそうに両手を伸ばし縋りついてくる。首に手を回すことを許してやると、ぎゅっと抱きつかれ、耳元で淫らな呼吸音をたてながら懇願された。
「はぁっ……父上……して、もっと、」
「もっと、どうして欲しい? ちゃんと云わねば、わからぬよ」
潤んだ瞳で見上げてきたナシェルが、唇を震わせる。
「下も、して……?」
「下とは? どこのことかな」
焦らす王に、ナシェルは一瞬むくれたような表情を見せたが、やがて乳首を捏ねていた王の手を取って自分の下腹部へ導いた。
「ココも触ってください……」
「おや、もうこんなに大きくしているの」
「父上だって、すごく大きくなってる……」
ナシェルが幹に触ってきた。王は己の一物とナシェルのそれをまとめて一つの手に収め、ゆっくりと扱きはじめた。笠の張ったふたつの陰茎がこすれ合い、それぞれが先端から蜜をこぼしはじめる。
ぎちぎちに張りつめたものを二つ同時に愛撫してゆくと、ナシェルも応じて細い腰を上下に揺らす。すぐに吐息を上ずらせてしまい、余裕のない表情で兜合わせに応えてくる様が愛らしく、虐めつくしたい欲望と、あまり焦らさずに先に逝かせてやりたいという気持ちが同時に押し寄せる。
王はナシェルの肌に舌を這わせながらつつつと体を下へと滑らせた。乳首、みぞおち、臍へとキスをしながら頭を下げてゆく。ナシェルは無意識に脚を開いて父王の体を腿で挟む。王は、ナシェルの反り返った男根にたどり着くと先走りの沁みだす尖端部に口づけをして、手に包んで扱き上げながら亀頭部を口に含んだ。
「あっ、や、だめ―――……!」
王の口淫にうろたえたナシェルが身を竦ませ、脚を閉じかける。しかし王はナシェルの綺麗な太ももを肩にかつぐようにして身をねじりこみ、唾液を溜めた口中にナシェル自身を深々と呑み込んでいった。
「あっあぁ、ぁ……っ!!」
ナシェルがびくッびくっと震えながら肢体をのけ反らせる。快感がきつすぎて我慢がきかないようだ。頭を押し返すようにして抵抗を見せる。手指を王の髪の間にうずめて無意識に掻き回すような仕草をする。王はしかし頓着せず頭を上下させ、ナシェルの陰茎を舐り続けた。
亀頭に舌の分厚い部分を押し当ててぐねぐねと揺らしたり、尖端の割れ目に舌先をねじ込むようにして小刻みに動かしてやると、ナシェルはもう涙声で啼きあえぎ、腰をふってただただ善がる。王はナシェルの跳ねる腰に手を回してがっしりと抑え込み、身動きを封じて、執拗にそこばかりを責め立てた。
「や――もうっ、ぁあ――――んぅ…っ」
滝のほとりに王子の切羽つまった嬌声が響き渡る。
その声を聞いて、水の中に身を潜めていた水妖族の乙女たちが岸辺に近づいてきた。すぐそばの滝つぼ池の中で、彼女らが聞き耳を立てている気配を感じる。……ナシェルはというと、全身を薔薇色に染め必死で快感に耐えていて気づかない。
水乙女たちはとうとうギョロリとした瞳を水面からのぞかせて、興味深そうに双神のまぐわう姿を見つめはじめた。精霊たちが追い払おうとするが、水の中までは手出しできないでいる。王は水女たちの好きにさせておくことにして、ナシェルへの愛撫に集中した。
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