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第四部 至高の奥園
32甘睡①※
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「……疲れただろう、少し眠るといい」
王が休息を取らせるため貫きを抜き去ろうとすると、ナシェルが王の首に縋り涙声で訴えてくる。
「嫌です、いや……抜いてはだめ、行かないで……! このまま、もっと衝いて……」
「……大丈夫だよ、何処にも行かぬから。だが少し休まねば、そなたの体が持つまい……」
「お願いです、やめないで……! もっと奥に挿れて……。足りない……、の」
歯の根が合わぬと見え、下顎を震わしながら王子が更なる営みを請う。朦朧とした脳が、覚えている被虐の言葉を半ば無意識に口にして王を誘う。
「もっと……躾けて、どうかお慈悲を下さい、我が王」
下肢を疼かせ、王の雁首を咥えた後ろをつらそうに窄ませながら懇願する。
すっかりしおらしくなった王子の泣訴に、己の肉槍に昂ぶりが押し寄せるのを王は自覚する。
「……これ以上はそなたの体をかえって壊してしまいそうだよ。本当に続けていいのだね」
「はい……体が壊れるくらいお躾けさい、死んでもいい、死ぬほど抱いて……」
王は苦笑しナシェルの震える唇を啄んだ。
「そなたを死なせるわけがないよ。それにもう大きくなったそなたを躾けるはずがないではないか。
―――だが、休まずとも良いというなら、このままもっと司を入れてあげる……」
王は彼の体を優しく横たえて覆いかぶさり、交合を続けた。
姿勢を変え向き合うと、ナシェルはようやく王の背に手を回すことができ、安堵して、柔らかい口づけを受けながらひたすらに王の精と神司を蕾の奥に吸い続けた。
疲労困憊で、王の体に縋りつくのがやっとだった。
ただ繋がった坩堝だけは疲れも識らず、いつまでも絶妙な窄まりで王の脈動を咥えている。
受け入れる肉壁が、まるで己のものではないかのように浅ましくうごめき王の灼熱を食むのを感じてナシェルは羞恥を覚えたが、もう自分ではその疼きと眩めきをどうすることもできない。
直腸の奥は何度ほとばしりを受けても充足しきることはなく、さらなる情熱のしるしを得ようと収縮を繰り返して王の肉にまとわりついた。
「ん…、っふ………ぁふ……、あぁ……っ」
舌と舌とを戯れさせながら、冥王はナシェルの奥へ奥へと己の肉塊をのめり込ませ、繰り返し滾々と情熱を注ぎ込んだ。
「………!………っ……」
胸を鞴のように波打たせて王のとどめを何度も浴びる。
ナシェルは、もう絶え入るように喘鳴するのがやっとだ。
冥王は、時には姿勢を変えてナシェルの体を優しくうつ伏せに這わせた。
ナシェルが四肢に力が入らず後背位の姿勢を取れぬので、腹の下にたくさんの大枕を敷いて腰を高く上げさせて神気を穿ち入れた。
……そうして精と神司とを繰り返しナシェルの内部に注ぎ込むにつれ、疲れ切ったはずの彼の肢体は、不思議と生命根源の気を取り戻すかのように満ち耀いてゆくのだった。
神同士の聖なる営みは、やわらかい甘睡と入浴と食事を幾度か挟みながら、何夜も続いた。
王は床寝の病者に付き添うが如くつねにナシェルの傍にあり、世話をして、その間は冥府の全ての王務と死者の審判とが、滞った。
陳情に訪れた各地の魔族どもが口々に王の所在を訊ねあったり、宮殿内の侍官や武官たちが一向に進まぬ公務に眉を顰めあったりする様も、今は些末な余所事であった。
ナシェルは王のそうした懇親なる看護を悦んだが、そんな彼でさえ王を独占し続けるのを申し訳なく思えてくるほどであった。
精霊たちがざわめき、侍官共が廊下で右往左往する気配に耐えかねて、ナシェルは父に一度ならず審判の間へ戻ることを勧めてみた。しかし王は細長い煙管をふかふかやりながら
「どうせ今までとて扉の前で数か月待ちの状態だ。感情の無い死者どもなど、この上さらに数日待たせたところで痛痒なぞ微細も感じぬよ」
とあしらい、煙管を置く。
そして仰向かせたナシェルの脚を、大きく開かせて己の膝の上に抱えあげた。ナシェルがとめるのも聞かずにまた腰を進めてくる。
……まこと、適当極まりない父王であった。
王が休息を取らせるため貫きを抜き去ろうとすると、ナシェルが王の首に縋り涙声で訴えてくる。
「嫌です、いや……抜いてはだめ、行かないで……! このまま、もっと衝いて……」
「……大丈夫だよ、何処にも行かぬから。だが少し休まねば、そなたの体が持つまい……」
「お願いです、やめないで……! もっと奥に挿れて……。足りない……、の」
歯の根が合わぬと見え、下顎を震わしながら王子が更なる営みを請う。朦朧とした脳が、覚えている被虐の言葉を半ば無意識に口にして王を誘う。
「もっと……躾けて、どうかお慈悲を下さい、我が王」
下肢を疼かせ、王の雁首を咥えた後ろをつらそうに窄ませながら懇願する。
すっかりしおらしくなった王子の泣訴に、己の肉槍に昂ぶりが押し寄せるのを王は自覚する。
「……これ以上はそなたの体をかえって壊してしまいそうだよ。本当に続けていいのだね」
「はい……体が壊れるくらいお躾けさい、死んでもいい、死ぬほど抱いて……」
王は苦笑しナシェルの震える唇を啄んだ。
「そなたを死なせるわけがないよ。それにもう大きくなったそなたを躾けるはずがないではないか。
―――だが、休まずとも良いというなら、このままもっと司を入れてあげる……」
王は彼の体を優しく横たえて覆いかぶさり、交合を続けた。
姿勢を変え向き合うと、ナシェルはようやく王の背に手を回すことができ、安堵して、柔らかい口づけを受けながらひたすらに王の精と神司を蕾の奥に吸い続けた。
疲労困憊で、王の体に縋りつくのがやっとだった。
ただ繋がった坩堝だけは疲れも識らず、いつまでも絶妙な窄まりで王の脈動を咥えている。
受け入れる肉壁が、まるで己のものではないかのように浅ましくうごめき王の灼熱を食むのを感じてナシェルは羞恥を覚えたが、もう自分ではその疼きと眩めきをどうすることもできない。
直腸の奥は何度ほとばしりを受けても充足しきることはなく、さらなる情熱のしるしを得ようと収縮を繰り返して王の肉にまとわりついた。
「ん…、っふ………ぁふ……、あぁ……っ」
舌と舌とを戯れさせながら、冥王はナシェルの奥へ奥へと己の肉塊をのめり込ませ、繰り返し滾々と情熱を注ぎ込んだ。
「………!………っ……」
胸を鞴のように波打たせて王のとどめを何度も浴びる。
ナシェルは、もう絶え入るように喘鳴するのがやっとだ。
冥王は、時には姿勢を変えてナシェルの体を優しくうつ伏せに這わせた。
ナシェルが四肢に力が入らず後背位の姿勢を取れぬので、腹の下にたくさんの大枕を敷いて腰を高く上げさせて神気を穿ち入れた。
……そうして精と神司とを繰り返しナシェルの内部に注ぎ込むにつれ、疲れ切ったはずの彼の肢体は、不思議と生命根源の気を取り戻すかのように満ち耀いてゆくのだった。
神同士の聖なる営みは、やわらかい甘睡と入浴と食事を幾度か挟みながら、何夜も続いた。
王は床寝の病者に付き添うが如くつねにナシェルの傍にあり、世話をして、その間は冥府の全ての王務と死者の審判とが、滞った。
陳情に訪れた各地の魔族どもが口々に王の所在を訊ねあったり、宮殿内の侍官や武官たちが一向に進まぬ公務に眉を顰めあったりする様も、今は些末な余所事であった。
ナシェルは王のそうした懇親なる看護を悦んだが、そんな彼でさえ王を独占し続けるのを申し訳なく思えてくるほどであった。
精霊たちがざわめき、侍官共が廊下で右往左往する気配に耐えかねて、ナシェルは父に一度ならず審判の間へ戻ることを勧めてみた。しかし王は細長い煙管をふかふかやりながら
「どうせ今までとて扉の前で数か月待ちの状態だ。感情の無い死者どもなど、この上さらに数日待たせたところで痛痒なぞ微細も感じぬよ」
とあしらい、煙管を置く。
そして仰向かせたナシェルの脚を、大きく開かせて己の膝の上に抱えあげた。ナシェルがとめるのも聞かずにまた腰を進めてくる。
……まこと、適当極まりない父王であった。
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