173 / 262
第四部 至高の奥園
31幾千の夜より甘く④※
しおりを挟む王がやがて運動を始めると、泣き声は尾を引く喘ぎと相俟って一層淫らな音色を醸し出す。
王は労わるように優しく、後ろから数度、突き上げた。
「あ―――……んく―――……ひぅ―――」
快感のあまり皮膚が桃色に染まり、粟立ってゆく。
膝立ちの姿勢のまま受け入れているため、そうされても最奥までには少々至らない。ナシェルは濡れた睫毛を震わせて哀願する。
「ちちうえ……もっと……奥、……おくに入れて――……」
「ふふ、そう焦るな……、そなたは本調子ではないのだから、少しずつ、ゆっくりしよう。
それに余も久々にそなたの中を味わって……ずっとこうして居たいのだよ」
そう云うと王は、腰を回すようにしてナシェルの秘部の内壁を攪拌する。
「ひぁぅ―――、あぅ―――っ……」
気持ちが良すぎて、ナシェルは全身に鳥肌を立てながらぜいぜいと喘鳴する。
「可愛い声だ……もっと聞かせて」
「あん――……っあ――父上…ェ……はあ…っいい……気持ち、いい…ちちうえ……」
髪を振り乱して、善がり狂う。
もっと奥に欲しくて、尻を後ろへ突き出すようにして迎え入れる。だが柱のやや高い位置に両手があるので思うように低い姿勢が取れない。ナシェルはいらいらと腰を揺すり、王の怒張を己の良いところまで引き込もうと中を締め付ける。
王はぎりぎりまで引き抜いてから、やや強く挿し入れる。ゆっくりとした律動を繰り返し、ナシェルを喚かせる。
やがてナシェルは喜悦と疲労のあまり喘ぎ声も出せなくなり、ひたすら律動に合わせはぁはぁと息を上げた。
王子が興奮のあまり過呼吸気味になっていることに気づいて、冥王は背後からの密着を高めて抱きとめ、落ち着かせながらナシェルの頤を摘んで振り向かせ、唇を吸う。
「―――っ、―――!……」
「落ち着いて……。ナシェル……ゆっくり息を吐いて……。こちらを見て」
唇を塞ぐうちにナシェルの呼吸が幾らか元に戻ってきた。
「っぁあア……こわい……っ気持ち、よすぎて、……おかし、く、なっちゃ、う……っ、こわい……父上、」
汗みずくで、そう訴えながらも歯が震えてかちかちと音を立てている。『怖い』という言葉とは裏腹に、ナシェルの内膜は冥王の神司を搾り取ろうと、まるで内側のみが別の獰猛な生物になったかのように締め付ける。
じゅくじゅくと、淫らな音が聴覚を刺激する。
根こそぎ持っていかれそうなほど、下の口が王の肉を悦んで食む。
……無意識にやっているのか。
下半身はそんなにも悦んでいるにもかかわらず、過呼吸気味のナシェルの表情は虚ろで、気を失いかけている。
「ナシェル……大丈夫か? あげるまで起きていなさい」
いちばん良い所なのに失神されては意味がない。
ナシェルはもう瞼を閉ざし首をゆらゆらさせながら、ただただ短い息を吐き、快楽に翻弄されている。
これはもうさすがに限界のようだ。
冥王は半身を少し休ませることが必要だと感じ、もう焦らしたりはせず
「このまま一度、注ぎ込むよ……」
と後ろから声をかけた。打ちつける腰の動きを速めて、最初の精とともに闇の司をナシェルの内部に放った。
「……、ぁあ―――……っ!!」
たっぷりした王の白濁とともに、神司を身の内に授かったナシェルの口から、堪え切れない快美の悲鳴が上がる。
全身が獣のように撓り、妁炎の如く照り輝いたかにも見えた。
最初の精は久々というだけあって、とても濃密であった。
冥王の強烈な神司はナシェルの中に瞬時に沁みわたっていった。
目の前がまだばちばちと爆ぜ、眩んでいる。
言葉にならぬ感悦の中で茫然としていると、おもむろに柱に括りつけられていた両手を解放された。
膝立つ力のないナシェルは、そのまま後ろにぐったりと倒れ込む。
まだ体を繋げたまま、王の胸に受け止められた。
……壮絶な倦怠感が訪れていた。
冥王が、引き出したいその言葉を耳元で囁く。ナシェルの頬が薔薇色に染まる。
彼は力なく腕を持ち上げて背後の王の首筋に廻し、頬を王の胸にすりよせて、喉をふるわせ、とうとう白状した。
「愛しています……我が君……。
私の欲しいすべてのものを与えて下さる御方。
貴方に、私の全てを捧げます……」
二柱の神は繋がり合ったまま寄り添った。
この世に数多ある愛の言葉も、もうそれをおいてほかには不必要であった。
0
お気に入りに追加
647
あなたにおすすめの小説




どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる