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第一部 血族
11堕ちし月神③※
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広い二間続きの部屋の、奥のほうで気配がした。寝台とは反対側の、ソファの辺りだ。
衝立に遮られて入り口からは見えないが、そこで鳥琴を爪弾いていたのだろう。
「なんだ、気分は悪くないのか、起き上がったりして」
話しかけながら、衝立を横切る。
囚われの神は、琴を片手に顔を上げた。相変わらずの白い顔に、笑みが浮かんだことはない。卑劣な誘拐犯に対する、長い長い抵抗の証なのか。
「おい、久しぶりに帰ってきたんだ、何か云うことはねえのか」
「……お帰りなさいませ」
明らかに望んでいなかったと分かる口調に、ヴァニオンはふん……と鼻を鳴らす。
「愛想の良いことで」
皮肉にも、サリエルは表情一つ変えない。それがまた腹立たしく思え、サリエルの隣に腰掛けるなり、その髪を掴んで仰向かせた。
「お高くとまってやがるな。神族ってのはみんなこうなのかな? サリエル……もっと自分の立場をわきまえたほうがいいぜ。俺がもしお前の立場だったら、もっとしおらしくするんだがな……」
「これ以上、どういいなりになれと仰るのです。身も心も全て、貴方に捧げたはず……」
「身も心も……か。身のほうはともかく、心のほうはどうかな。未だに天界のことを思い出しては泣き暮らしているくせに」
反論はない。サリエルの髪から手を離し、代わりに体ごと引き寄せて、その髪に口付けた。サリエルの体が強張る気配が、薄い服ごしに伝わってくる。
「いつも近寄るのは俺のほうだ。お前は服従しているといいながら、決して自分からは膝を折らない……、俺が跪けという時以外は」
サリエルの髪は、もう昔のようなすばらしい金色ではない。神力を失ったのに加え、ヴァニオンとの度重なる交わりが、彼から神らしい容姿を奪ってゆく。今の髪色は銀灰色。しかし根元のほうはだんだんと黒味を帯びており、斑のようになってしまっている。やがては髪全体が黒く変化してしまうのだろう。
最初にそれを鏡に映したとき、彼はあまりにおぞましい己の姿に錯乱し、姿見を倒して気を失ったほどである。この部屋には以後、鏡も水瓶も置かれていない。
「100年以上も昔のこと……、いい加減諦めがつかねえか。お前は一生ここから出られないんだ。天界のことなんか、忘れちまえばすっきりするのに」
何度『忘却の河』の水を飲ませてやろうと思ったことか。三途の河の支流にあたるその水は、死者から生前の記憶を奪うという。……もっとも、彼のような神族に効果があるかは知らぬが。
「お前はいつになったら俺のものになる?今でもまだ天王に未練を残してやがる。俺に抱かれても、頭の中ではレオンとかいうのに抱かれてやがる」
「……」
「その天王様はお前のことなんて、なんとも思っちゃいなかったんだろう。いなくなっても探しになど来やしない。他にもたくさんお前みたいなのを囲ってやがったんだろ。それなのに……」
サリエルはヴァニオンの問いから逃れるように視線を落とした。俯きがちな表情にすら、病的な美しさがある。
「なあ、サリエル……。俺が、憎いか?この世でもっとも……憎いか」
彼の耳元に唇を寄せ、息を吹き込むように、そっと囁く。
一瞬の沈黙。サリエルは、そっと伏せていた眼を上げてヴァニオンを見つめた。喉から、絞り出すような細い声が出た。
「……はい」
その返事を聞くなり、ヴァニオンはサリエルの細い腕を掴んで長椅子に押し倒していた。温和さを保っていた闇色の瞳が、瞬時にして燃え上がったように熱を帯び、サリエルはその漆黒の炎に見つめられ恐ろしさのあまり体を強張らせた。
ヴァニオンはサリエルの躯の上に己の躯を重ねて、逃げられぬよう閉じ込める。
予想した答えではあったが、憤りを堪えることはできなかった。百年におよぶ彼の努力も、サリエルを振り向かせることはできなかったのだ。
「そうか、未だに俺を憎んでいるんだな。それもそうだろうな……、天上界の神だったお前が、こんな所で奴隷のように扱われ、憎しみを抱かぬはずはないか」
ヴァニオンはそのまま顔を下ろし、サリエルの唇を塞いだ。息継ぎする間も与えず、激しく貪る。サリエルがなおざりな抵抗しか見せぬのは、抗えばさらに主人の怒りを煽るだけだと、判っているのか。
サリエルの後ろ髪を掴んでいたヴァニオンの手が離れたかと思うと、その手はサリエルの躯を這い、着ていた部屋着の袷に辿り着いた。腰布を解くのももどかしく、袷から手を滑り込ませる。
「いいだろう。お前がそんなにも頑なに心を閉ざすなら、俺もそれ相応に振舞うだけのこと。お前はこれまでどおり俺に服従するんだ。奴隷として……」
慄き、逃れようとする躯を長椅子の上で強く押さえ込み、絹の衣を裂く。無残に引き裂かれた白い部屋着は、長椅子の下に散った。
サリエルはもう何もかも諦めているのか、少し抗ってみせるだけで、されるがままになっている。だが声だけは上げるまいと、血が出そうなほど唇をかみしめていた。
ヴァニオンはそれを悟ると、ゆっくりと胸に唇を寄せる。
それだけで、サリエルはびくりと身を震わせた。
「どうした、喘いでみせないのか」
ヴァニオンの左手は長椅子の背もたれを掴み、右手はサリエルの両の手首をまとめて、頭上に押さえつけるようにしている。か細いサリエルの手首は、ふたつ合わせてもヴァニオンの手のひらにすっぽりと包まれてしまう。少しでも力を込めれば、簡単に折れてしまいそうだ。
左膝でサリエルの内股を割る。屈みこむようにして胸に朱の刻印を落とす。狭い長椅子がぎしぎしと軋んだ。
少しの声も漏らすまいと頑なに唇をつぐんでいるサリエルが無性に愛らしく、生意気に思え、何としてもその唇から淫らな喘ぎ声を聞き出そうと、愛撫に熱を込めた。
「……ッ」
温かい舌が胸の突起をくすぐる度、サリエルは身をよじり、息を詰める。耐え難い様子で眉を顰めるのも、引き結んだ唇がぶるぶると震える様も、さらにヴァニオンの欲情を掻き立てる。
「無理するな。意地をはっていても気持ちよくなれないぞ」
左の人差し指で胸や腹をそっとなぞりながら、耳元で囁く。吐息が項に当たるだけで、サリエルは辛い表情をした。頭上で自由を奪われている両手を、ぎゅっと握り締める。
「そういう顔をするから、こっちもむきになっちまうんだぜ」
からかうようなヴァニオンの表情とは裏腹に、その瞳の奥に燃え立つのは、嫉妬の黒い炎。
(天王のことなど、思い出せぬようにしてやる)
きつく閉じたサリエルの瞼の裏には、今こうしている間もレオンの姿ばかりが浮かんでいるのか。ヴァニオンとの交わりを、レオンとのそれと思い込むことで、屈辱と苦痛に耐えているのだとしたら。
「……許さねえ。お前の中にしつこく棲みついてやがるレオンも、俺をこんなにしたお前も」
自分がこれほどに醜く狂うのは、すべてお前のせいだといわんばかりに。
同時にこわれるほど強くサリエルを抱きしめた。凶暴に、残酷に、そして愛おしげに……。
散らばるサリエルの部屋着の上に、ヴァニオンの紫紺の部屋着が音もなく重なった。光を覆う闇のように、床に広がる。
やがて静寂を破るように、サリエルの唇から押し殺した喘ぎが漏れ始めた。
長椅子が軋む音と共にそれは高まり、苦しげな涙声に変わってゆく。
獣脂を燃やす燈の匂いが、ヴァニオンの思考を麻痺させる。
サリエルの啜り泣きが、耳に溶ける媚薬のように新たな昂ぶりを誘う。
香油で手早く寛げただけで、前戯もそこそこに、わざと強引にサリエルの体内に侵入した。
「あ……んうっ……や、ぁ、ぁ……!」
耐えていた唇から、とうとう悲鳴に似た喘ぎが漏れはじめる。
白皙の頬を伝い流れ出た涙を、唇で掬い取りながら、ヴァニオンは律動を開始する。押し殺したサリエルの吐息が、徐々に快感を得て淫らな喘鳴になってゆくのを聞きたくて、色んな角度から彼を追いあげ、責め立てた。
のけぞる白い喉元に舌を這わせ、サリエルの萎びた陰茎を握り、後ろを激しく犯しながら同時に前も弄ってやるうちに、サリエルは屈辱に哭きながらも高まり、射精した。
二人の腹の間に流れ出た白露を指に掬い、眼前に見せつけて「嫌がってるわりには沢山出したな、気持ち良かっただろう」等と言葉でもいじめ、反応を窺う。
サリエルは息を乱しながらただただ、泣いていた。
(何の見返りも得られない愛ならいっそ、このまま溺れ死んでもいい)
これほどに愛しても、何度躯をつなげても、心は繋がらないまま立ち止まっている。永遠に実ることのない恋ならいっそ、今ここで苦しい思いを断ち切ってしまえばよい……、二人の命の糸とともに。
肌を重ねるたび何度そう思ったか。だが実行に移せぬのも、すべてこの神ならぬ者への愛しさゆえ。
(どこまでも俺を苦しませる……。)
思いを吐き出すのに、こんな乱暴な方法しか思いつかないとは。自分の愚かさに辟易する。
胸のうちにはいりきらない愛を、切なさを、サリエルのなかに幾度となく吐き出す。
サリエルの躯もまた、入りきらない自分への憎しみで溢れていると知りながら。
薄暗い黄色のともし火がちらちらと揺れながら、溶け合わさって蠢く二人の影を衝立越しに映し出していた。
衝立に遮られて入り口からは見えないが、そこで鳥琴を爪弾いていたのだろう。
「なんだ、気分は悪くないのか、起き上がったりして」
話しかけながら、衝立を横切る。
囚われの神は、琴を片手に顔を上げた。相変わらずの白い顔に、笑みが浮かんだことはない。卑劣な誘拐犯に対する、長い長い抵抗の証なのか。
「おい、久しぶりに帰ってきたんだ、何か云うことはねえのか」
「……お帰りなさいませ」
明らかに望んでいなかったと分かる口調に、ヴァニオンはふん……と鼻を鳴らす。
「愛想の良いことで」
皮肉にも、サリエルは表情一つ変えない。それがまた腹立たしく思え、サリエルの隣に腰掛けるなり、その髪を掴んで仰向かせた。
「お高くとまってやがるな。神族ってのはみんなこうなのかな? サリエル……もっと自分の立場をわきまえたほうがいいぜ。俺がもしお前の立場だったら、もっとしおらしくするんだがな……」
「これ以上、どういいなりになれと仰るのです。身も心も全て、貴方に捧げたはず……」
「身も心も……か。身のほうはともかく、心のほうはどうかな。未だに天界のことを思い出しては泣き暮らしているくせに」
反論はない。サリエルの髪から手を離し、代わりに体ごと引き寄せて、その髪に口付けた。サリエルの体が強張る気配が、薄い服ごしに伝わってくる。
「いつも近寄るのは俺のほうだ。お前は服従しているといいながら、決して自分からは膝を折らない……、俺が跪けという時以外は」
サリエルの髪は、もう昔のようなすばらしい金色ではない。神力を失ったのに加え、ヴァニオンとの度重なる交わりが、彼から神らしい容姿を奪ってゆく。今の髪色は銀灰色。しかし根元のほうはだんだんと黒味を帯びており、斑のようになってしまっている。やがては髪全体が黒く変化してしまうのだろう。
最初にそれを鏡に映したとき、彼はあまりにおぞましい己の姿に錯乱し、姿見を倒して気を失ったほどである。この部屋には以後、鏡も水瓶も置かれていない。
「100年以上も昔のこと……、いい加減諦めがつかねえか。お前は一生ここから出られないんだ。天界のことなんか、忘れちまえばすっきりするのに」
何度『忘却の河』の水を飲ませてやろうと思ったことか。三途の河の支流にあたるその水は、死者から生前の記憶を奪うという。……もっとも、彼のような神族に効果があるかは知らぬが。
「お前はいつになったら俺のものになる?今でもまだ天王に未練を残してやがる。俺に抱かれても、頭の中ではレオンとかいうのに抱かれてやがる」
「……」
「その天王様はお前のことなんて、なんとも思っちゃいなかったんだろう。いなくなっても探しになど来やしない。他にもたくさんお前みたいなのを囲ってやがったんだろ。それなのに……」
サリエルはヴァニオンの問いから逃れるように視線を落とした。俯きがちな表情にすら、病的な美しさがある。
「なあ、サリエル……。俺が、憎いか?この世でもっとも……憎いか」
彼の耳元に唇を寄せ、息を吹き込むように、そっと囁く。
一瞬の沈黙。サリエルは、そっと伏せていた眼を上げてヴァニオンを見つめた。喉から、絞り出すような細い声が出た。
「……はい」
その返事を聞くなり、ヴァニオンはサリエルの細い腕を掴んで長椅子に押し倒していた。温和さを保っていた闇色の瞳が、瞬時にして燃え上がったように熱を帯び、サリエルはその漆黒の炎に見つめられ恐ろしさのあまり体を強張らせた。
ヴァニオンはサリエルの躯の上に己の躯を重ねて、逃げられぬよう閉じ込める。
予想した答えではあったが、憤りを堪えることはできなかった。百年におよぶ彼の努力も、サリエルを振り向かせることはできなかったのだ。
「そうか、未だに俺を憎んでいるんだな。それもそうだろうな……、天上界の神だったお前が、こんな所で奴隷のように扱われ、憎しみを抱かぬはずはないか」
ヴァニオンはそのまま顔を下ろし、サリエルの唇を塞いだ。息継ぎする間も与えず、激しく貪る。サリエルがなおざりな抵抗しか見せぬのは、抗えばさらに主人の怒りを煽るだけだと、判っているのか。
サリエルの後ろ髪を掴んでいたヴァニオンの手が離れたかと思うと、その手はサリエルの躯を這い、着ていた部屋着の袷に辿り着いた。腰布を解くのももどかしく、袷から手を滑り込ませる。
「いいだろう。お前がそんなにも頑なに心を閉ざすなら、俺もそれ相応に振舞うだけのこと。お前はこれまでどおり俺に服従するんだ。奴隷として……」
慄き、逃れようとする躯を長椅子の上で強く押さえ込み、絹の衣を裂く。無残に引き裂かれた白い部屋着は、長椅子の下に散った。
サリエルはもう何もかも諦めているのか、少し抗ってみせるだけで、されるがままになっている。だが声だけは上げるまいと、血が出そうなほど唇をかみしめていた。
ヴァニオンはそれを悟ると、ゆっくりと胸に唇を寄せる。
それだけで、サリエルはびくりと身を震わせた。
「どうした、喘いでみせないのか」
ヴァニオンの左手は長椅子の背もたれを掴み、右手はサリエルの両の手首をまとめて、頭上に押さえつけるようにしている。か細いサリエルの手首は、ふたつ合わせてもヴァニオンの手のひらにすっぽりと包まれてしまう。少しでも力を込めれば、簡単に折れてしまいそうだ。
左膝でサリエルの内股を割る。屈みこむようにして胸に朱の刻印を落とす。狭い長椅子がぎしぎしと軋んだ。
少しの声も漏らすまいと頑なに唇をつぐんでいるサリエルが無性に愛らしく、生意気に思え、何としてもその唇から淫らな喘ぎ声を聞き出そうと、愛撫に熱を込めた。
「……ッ」
温かい舌が胸の突起をくすぐる度、サリエルは身をよじり、息を詰める。耐え難い様子で眉を顰めるのも、引き結んだ唇がぶるぶると震える様も、さらにヴァニオンの欲情を掻き立てる。
「無理するな。意地をはっていても気持ちよくなれないぞ」
左の人差し指で胸や腹をそっとなぞりながら、耳元で囁く。吐息が項に当たるだけで、サリエルは辛い表情をした。頭上で自由を奪われている両手を、ぎゅっと握り締める。
「そういう顔をするから、こっちもむきになっちまうんだぜ」
からかうようなヴァニオンの表情とは裏腹に、その瞳の奥に燃え立つのは、嫉妬の黒い炎。
(天王のことなど、思い出せぬようにしてやる)
きつく閉じたサリエルの瞼の裏には、今こうしている間もレオンの姿ばかりが浮かんでいるのか。ヴァニオンとの交わりを、レオンとのそれと思い込むことで、屈辱と苦痛に耐えているのだとしたら。
「……許さねえ。お前の中にしつこく棲みついてやがるレオンも、俺をこんなにしたお前も」
自分がこれほどに醜く狂うのは、すべてお前のせいだといわんばかりに。
同時にこわれるほど強くサリエルを抱きしめた。凶暴に、残酷に、そして愛おしげに……。
散らばるサリエルの部屋着の上に、ヴァニオンの紫紺の部屋着が音もなく重なった。光を覆う闇のように、床に広がる。
やがて静寂を破るように、サリエルの唇から押し殺した喘ぎが漏れ始めた。
長椅子が軋む音と共にそれは高まり、苦しげな涙声に変わってゆく。
獣脂を燃やす燈の匂いが、ヴァニオンの思考を麻痺させる。
サリエルの啜り泣きが、耳に溶ける媚薬のように新たな昂ぶりを誘う。
香油で手早く寛げただけで、前戯もそこそこに、わざと強引にサリエルの体内に侵入した。
「あ……んうっ……や、ぁ、ぁ……!」
耐えていた唇から、とうとう悲鳴に似た喘ぎが漏れはじめる。
白皙の頬を伝い流れ出た涙を、唇で掬い取りながら、ヴァニオンは律動を開始する。押し殺したサリエルの吐息が、徐々に快感を得て淫らな喘鳴になってゆくのを聞きたくて、色んな角度から彼を追いあげ、責め立てた。
のけぞる白い喉元に舌を這わせ、サリエルの萎びた陰茎を握り、後ろを激しく犯しながら同時に前も弄ってやるうちに、サリエルは屈辱に哭きながらも高まり、射精した。
二人の腹の間に流れ出た白露を指に掬い、眼前に見せつけて「嫌がってるわりには沢山出したな、気持ち良かっただろう」等と言葉でもいじめ、反応を窺う。
サリエルは息を乱しながらただただ、泣いていた。
(何の見返りも得られない愛ならいっそ、このまま溺れ死んでもいい)
これほどに愛しても、何度躯をつなげても、心は繋がらないまま立ち止まっている。永遠に実ることのない恋ならいっそ、今ここで苦しい思いを断ち切ってしまえばよい……、二人の命の糸とともに。
肌を重ねるたび何度そう思ったか。だが実行に移せぬのも、すべてこの神ならぬ者への愛しさゆえ。
(どこまでも俺を苦しませる……。)
思いを吐き出すのに、こんな乱暴な方法しか思いつかないとは。自分の愚かさに辟易する。
胸のうちにはいりきらない愛を、切なさを、サリエルのなかに幾度となく吐き出す。
サリエルの躯もまた、入りきらない自分への憎しみで溢れていると知りながら。
薄暗い黄色のともし火がちらちらと揺れながら、溶け合わさって蠢く二人の影を衝立越しに映し出していた。
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