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第十二章 そして新大陸へ!
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「Ψ(ΘωΘ)ΨΨ(≐ω≐)Ψヾ(≧▽≦)ノ(*゚▽゚)o旦~☆彡」
(※↑顔文字に見えますが召喚呪文です)
もわわわわ~~ん!
魔法陣から黒い光とともに白煙が上がった。
召喚術を唱えたナシェルは肩で息をし、魔法陣の中央を見つめる。
「ま、まぶしい……」
現れた人影は冥界から突然、地上界に召喚されて戸惑いがちに顔を覆っている。陽の光が眩しすぎるようだ。真っ昼間の街道の中央に呼び出したのは申し訳ない。
相手は派手な紫紺のブラウスにボウタイをして、その上から長衣を着こみ貴族らしい裾の絞ったズボンと黒革靴を履いている。深紅のタイピン、紅玉のカフスボタン、指にも5つか6つ指輪をしている。上出来だ。チェーンつきの丸眼鏡も金になりそうだ。強いていうなら銀灰色の長い髪もカツラ用に売りさばくのに良さげだが、さすがに丸坊主にするのは可哀想か…。
魔法陣の中央で尻餅をつき座っているその人物は、白煙がおさまるとやっと目を開け、そこにナシェル王子の姿を発見して歓喜した。
「わお殿下……♡!!? 本物のナシェル殿下!? わ、私は夢でも見ているのでしょうか? 急に目の前がまぶしくなったと思ったら……えっと、この状況は一体……何」
「久しぶりだな、ファルク」
ナシェルは仁王立ちで腕組みし、冥界九公爵のひとりである“毒の公爵”ことファルク・ヴァルトリス公爵を見下ろした。ナルシストで小児性愛者で毒薬の研究家でSMプレイ好きのド変態大貴族である。こういう不慮の事態でもなければ絶対に呼び出したいなどとは思えない相手だ。(ナシェル自身、何度も実害に遭っている)
「あぁ……殿下、お久しぶりでございます、ご機嫌麗しゅう存じます。近ごろはたしか地上界へ旅に出られていたと伺っておりましたが……?」
「そう、今、ここは地上界だ。貴様にちと用事があってな、魔法陣を使って呼び出させてもらった。研究中の白衣姿でなくて良かったぞ……すばらしく豪華な衣装で来てくれたな、褒めてつかわす」
「へ……?」
ふだんは塩対応のナシェル王子にいきなり服装を絶賛され、ファルクはズレた丸眼鏡をかけ直し、居ずまいを正した。
「……殿下がわたくしなどに用を言いつけてくださるとは望外の喜びに存じます。どんなことでも殿下のお役に立てますならば何なりと。前もって言ってくだされば薬なども色々ご用意できましたのに……冥王陛下との夜がとびきり楽しくなるエッチエチなお薬なども続々、新開発しておりましたのですよ♡」
「いや薬など要らん、間に合っている。……大した用件ではないのだ、すぐに済む。ヴァニオン、取りかかってくれ」
合図すると魔法陣の向こう側にいたヴァニオンが素早くファルクに組みついた。
急に腕をとられて羽交い絞めにされ、ファルクは驚愕する。
「ひぇッ!!? 誰かと思ったらヴァニオン君!? なな、何ですか!!」
「ファルク、いいか聞け、生まれてはじめて私に感謝されるチャンスが来たのだぞ」
ナシェルはおごそかに魔法陣のそばまで近づいた。
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