王子の船旅は多難につき

佐宗

文字の大きさ
上 下
21 / 52
第六章 乳兄弟、さらなる事態に頭を抱える、父子は…♡

4※

しおりを挟む
「あぁナシェル、余もだよ、こんなにも愛してる…そなただけを愛している。だがこんなにそばにいてもそなたの心を完全に手に入れることは叶わぬ……こんなもどかしいことがあるものか。そなたはちょっとした旅のつもりかもしれないが、余はいつも、心の準備もできぬままそなたを見失っているのだよ…」

 王はナシェルへの想いのたけを懇々と説きながら再び腰を動かしはじめた。あまり説教に集中しすぎると、硬いものが少々柔らかくなりかけてしまうので仕方ない。
「あっんっはぁん……」
 気持ちがよくて仕方がないナシェルはよけいな反論は避け、快楽を貪ることに集中した。のけ反り、尻を上げて王の切先を奥園へと迎え入れる。
 
 王はナシェルの下半身を浮かせたまま抱えなおし、優しく語り掛けながらも突き上げを速めていく。
「――良いのは、ここ? それとも、ここかな、」
 角度をつけて、内部の色んな方向をつつかれた。返事をしたくても息が上がってしまい、まともに声が出ない。
「ひっ、そこ、あっ……んッ!!」
「ナシェル、頼むから余だけのものでいると誓っておくれ。手を握って」

 言われて、王の腕に無意識に爪を立てていたことに気づく。
 優しくもぎはなされ、今度は腰を落として、寝台の上で掌を重ね合った。
 ナシェルは息を落ち着けながら王の瞳を見上げる。
「いつも、誓って……おります、私は貴方だけの……。遠く離れていても……」
「本当、かな……? そなたは演技がうまくなったよ……」

 ……前後に揺れるたびに王の汗がぽたぽたと胸の上に落ちてくる。
 快感に耐えるようなその表情に、体の奥がきゅんと疼いてしまった。
「父上、キス、して」
 ねだれば、すぐに王の顔が降りてきて唇を塞がれる。
「は、ふぅ…、んっ、」
 息継ぎの合間に互いを呼び合い、舌を絡めて濃厚な口づけに耽った。

 唇を離した王が苦しげに呟く。
「くっ、ナシェル……あまり締めるな……持たないよ……」
「だって、わかんな……気持ち良すぎて」
「く、もう出すよ……」
「ぅん、来て……!」
 
 王が息を止めひときわ強く奥へと突き上げた。びゅるびゅると大量の精液が中に放たれる。ナシェルはひゃ、ぁんと声を上げて一層強く王の手を握り返した。冥王の力がナシェルの全身を包み込む。――普段のナシェルはおくびにも出さないが、実はこの瞬間のために生きていると言っても過言ではない。同属性の上位神から注がれる神司は、受け取る側の心身を高めてくれる。浴びれば浴びるほど力が増す感じがするのだ。

 行為の最中にさえ説教を欠かさない心配性の王には少し辟易してしまうけれど、全身が闇の司と高貴な愛に包まれて、終わってみれば幸福感でいっぱいだった。
 ナシェルはふくふくとした表情で、睦言を囁き交わしながら王の腕の下に体を入れ、満ち足りた眠りに落ちていった……。



(注:朝っぱらです)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜

倉橋 玲
BL
**完結!** スパダリ国王陛下×訳あり不幸体質少年。剣と魔法の世界で繰り広げられる、一風変わった厨二全開王道ファンタジーBL。 金の国の若き刺青師、天ヶ谷鏡哉は、ある事件をきっかけに、グランデル王国の国王陛下に見初められてしまう。愛情に臆病な少年が国王陛下に溺愛される様子と、様々な国家を巻き込んだ世界の存亡に関わる陰謀とをミックスした、本格ファンタジー×BL。 従来のBL小説の枠を越え、ストーリーに重きを置いた新しいBLです。がっつりとしたBLが読みたい方には不向きですが、緻密に練られた(※当社比)ストーリーの中に垣間見えるBL要素がお好きな方には、自信を持ってオススメできます。 宣伝動画を制作いたしました。なかなかの出来ですので、よろしければご覧ください! https://www.youtube.com/watch?v=IYNZQmQJ0bE&feature=youtu.be ※この作品は他サイトでも公開されています。

神竜に丸呑みされたオッサン、生きるために竜肉食べてたらリザードマンになってた

空松蓮司
ファンタジー
A級パーティに荷物持ちとして参加していたオッサン、ダンザはある日パーティのリーダーであるザイロスに囮にされ、神竜に丸呑みされる。 神竜の中は食料も水も何もない。あるのは薄ピンク色の壁……神竜の肉壁だけだ。だからダンザは肉壁から剝ぎ取った神竜の肉で腹を満たし、剥ぎ取る際に噴き出してきた神竜の血で喉を潤した。そうやって神竜の中で過ごすこと189日……彼の体はリザードマンになっていた。 しかもどうやらただのリザードマンではないらしく、その鱗は神竜の鱗、その血液は神竜の血液、その眼は神竜の眼と同等のモノになっていた。ダンザは異形の体に戸惑いつつも、幼き頃から欲していた『強さ』を手に入れたことを喜び、それを正しく使おうと誓った。 さぁ始めよう。ずっと憧れていた英雄譚を。 ……主人公はリザードマンだけどね。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

処理中です...