王子の船旅は多難につき

佐宗

文字の大きさ
上 下
20 / 52
第六章 乳兄弟、さらなる事態に頭を抱える、父子は…♡

3※

しおりを挟む
◇◇◇



 さて、そんなこんなで一夜が明けたのだが。
 冥王とナシェルは船室に鍵をかけカーテンを閉め切り、寝台でひさびさに愛を確かめ合っていた。

「あんっ……は、ああ、」

 前戯でさんざん精を吐かされてナシェルはもうヘトヘトのどろどろになっているのに、王は手加減するどころかここからが本番とばかりナシェルを横抱きにして、後ろに指を入れ掻き回す。
 ナシェルは中のイイところを刺激して欲しくて尻を揺らした。内膜はすぐに王の指の形を思い出し、熱く柔らかく解れていく。少し手荒に前立腺あたりをぐりぐりと愛撫され、ナシェルは枕の端を噛んで声を殺しながら何度めかの空イキをした。

「んんんっ……ッ」

 ぶるぶるっと体を波打たせて峠を迎えたのち、汗みずくでシーツに倒れ伏したナシェルを、王が今度は仰向けにひっくり返した。

「さ、いい感じに弛んだしそろそろ挿れてあげようね。待ちかねただろう」
「えぁ、ふぁ、ちょ……と待……少し、休ま……」
「大丈夫、そなたは動かずともよい。掴まっていなさい」

 休息を申し出ようとするも聞き入れてもらえない。王も極限まで溜まっているのだ。
 汗と精液でぐしょぐしょになった体を強引に開かれた。膝裏を抱えられたかと思うや、太い物が一息に攻め入ってくる。

「あっああっ―――……!」

 目の奥に火花が散るような感覚。
 内臓を抉られるような衝撃に、思わずのけ反り、冥王の腕を掴む。
 王はゆっくりと自身を奥まで推し進めながら耳元へ囁いてくる。

「どうだ……好いだろう?」
「……んっ、ぃい、ですっ」
「旅など切り上げて今すぐ一緒に帰ると言いなさい。冥界に帰って来ればまたもっとたっぷりしてあげる……」
「あっ……はぁん、それは、無理」
「無理? なぜだ。ココはこんなに…痙攣するほど嬉しそうなのに?」
ぐりぐり……
「あ、そんな突いちゃ、だめ、はぁッ……!」
 ナシェルは王の腕にしがみつき息を上げた。

「困った子だ、余の言うことが聞けぬというなら、お利口な返事が聞けるまでまたたっぷりお仕置きするしかないね」
「ああっ、そんな、無理ぃ……!」
「では、どうするのかな?」
 王はぬるぬると中を衝いていた腰の動きを止めてしまう。
「いやっ、やめないで……きもちぃ…の」
「では、一緒に帰るね?」
「それも、無理」
「ナシェル……」
 王は困ったように愁眉した。

 ナシェルはナカにもっと欲しくて気が焦り、腰を揺らしてしまう。
「これ、勝手に動いてはいけないよ。我慢の足りぬ子だ。仕置きの意味すら分かっておらぬ」
 叱責とともに、額に汗で貼りついた髪をかきあげられる。
「うぅ、ごめ、なさ……」
 鼻声ですすり泣くと王は大きくため息をついた。

「ナシェル…余はいつもそなたのことが心配なのだよ。目を離すとすぐにフラフラして、悪い男に引っかかりそうになる」
「そんなことは……我がきみ、私が愛してるのはあなただけです。心配しないで、ちゃんと自分の身は守れますから」
「そうかなぁ……」
 何度繰り返したか分からない会話をここでも繰り返し、ナシェルは王を安心させるために「父上、愛してる」と何度も囁いて王に縋った。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ライバル

宇奈月希月
恋愛
学年で指折りの仲良しカップル、実砂と順司の間を裂くように、次々と現れる転校生たち。 二人に平穏は訪れるのか。学園ドタバタラブコメ。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

執着男に勤務先を特定された上に、なんなら後輩として入社して来られちゃった

パイ生地製作委員会
BL
【登場人物】 陰原 月夜(カゲハラ ツキヤ):受け 社会人として気丈に頑張っているが、恋愛面に関しては後ろ暗い過去を持つ。晴陽とは過去に高校で出会い、恋に落ちて付き合っていた。しかし、晴陽からの度重なる縛り付けが苦しくなり、大学入学を機に逃げ、遠距離を理由に自然消滅で晴陽と別れた。 太陽 晴陽(タイヨウ ハルヒ):攻め 明るく元気な性格で、周囲からの人気が高い。しかしその実、月夜との関係を大切にするあまり、執着してしまう面もある。大学卒業後、月夜と同じ会社に入社した。 【あらすじ】  晴陽と月夜は、高校時代に出会い、互いに深い愛情を育んだ。しかし、海が大学進学のため遠くに引っ越すことになり、二人の間には別れが訪れた。遠距離恋愛は困難を伴い、やがて二人は別れることを決断した。  それから数年後、月夜は大学を卒業し、有名企業に就職した。ある日、偶然の再会があった。晴陽が新入社員として月夜の勤務先を訪れ、再び二人の心は交わる。時間が経ち、お互いが成長し変わったことを認識しながらも、彼らの愛は再燃する。しかし、遠距離恋愛の過去の痛みが未だに彼らの心に影を落としていた。 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl 制作秘話ブログ: https://piedough.fanbox.cc/ メッセージもらえると泣いて喜びます:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

処理中です...