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第四章 冥王、王子をやっと見つける?
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「とにかく、これより先は余がこの部屋を使うゆえ、そなたはこの切符を持って三等客室に降りるが良い」
冥王はつかつかと歩み寄り、三等の乗船券を突き返してきた。
額にべしっ、と貼られた乗船券をしぶしぶ剥がすヴァニオン。
「あ、そうか、まぁそうなりますよね……ここの寝台……寝心地良かったのになぁ」
「文句を抜かすつもりか? ではそなた余に、船底の粗末な板の寝台で寝ろと申すか」
「いえいえそんなつもりで言ったわけじゃ……。あ、そうだ!」
ヴァニオンは唐突にひらめいて、ぽんと手をうつ。
「陛下。どうせ寝台は、殿下とふたりで1つしか使わないんじゃないですか?」
「まあ、それはそうだな」
「だったら俺、隣の寝室使ってもいいんじゃ……」
「……そなた、余とあれとの夜の営みの一部始終を、この薄い壁ごしに聞きたいのか? 毎晩? 航海の間じゅう?」
「……」
『あんっあんっ父上ぇ、こわれちゃうっ、そんなに突いたら、だめぇ……ッ』
『口ではそう云うが、そなたのココはこんなにヒクついておるぞ? 嬉しそうに余を咥え込んで…』
ヴァニオンの妄想の中では、主君親子がプロレス技もかくやというほどの難易度の高い体位で合体しているのであった。実際には情事の様子など目撃したことはないのだが、どうもソフトプレイが想像できない。
『まるで……もっと奥にくれとせがんでいるようだぞ。ククク。いやなら抜いてやるが、……どうだ?』
『ひ、ああああっ、…や、やっぱり、抜いちゃ、らめぇえ、もっと奥ぅ……♡』
妄想のひとり歩きが加速する。
……だめだだめだ。壁板一枚はさんでそんな行為が繰り返された日には、とても目が冴えて寝られそうにない。
「えーっと俺、やっぱ三等客室で静かにぐっすり朝まで熟睡さしてもらいます!」
「うむ。そうするがよい」
などという会話を廊下で交わしていたところ、隣のVIP船室の扉が開いた。
姿を見せた人物を見るなりヴァニオンの目玉はゆうに5,6センチは飛び出た。
出て来たのは当のナシェル殿下と、見知らぬ褐色の肌の金髪イケメンだったのだ。
「わぁあああーー!!?」
(なんでさっそく男連れだし!?)
素っ頓狂な声を挙げたヴァニオンと同時に、ナシェルも冥王を見るなりのけ反り「マズい」とばかりに頬を引き攣らせた。
冥王はつかつかと歩み寄り、三等の乗船券を突き返してきた。
額にべしっ、と貼られた乗船券をしぶしぶ剥がすヴァニオン。
「あ、そうか、まぁそうなりますよね……ここの寝台……寝心地良かったのになぁ」
「文句を抜かすつもりか? ではそなた余に、船底の粗末な板の寝台で寝ろと申すか」
「いえいえそんなつもりで言ったわけじゃ……。あ、そうだ!」
ヴァニオンは唐突にひらめいて、ぽんと手をうつ。
「陛下。どうせ寝台は、殿下とふたりで1つしか使わないんじゃないですか?」
「まあ、それはそうだな」
「だったら俺、隣の寝室使ってもいいんじゃ……」
「……そなた、余とあれとの夜の営みの一部始終を、この薄い壁ごしに聞きたいのか? 毎晩? 航海の間じゅう?」
「……」
『あんっあんっ父上ぇ、こわれちゃうっ、そんなに突いたら、だめぇ……ッ』
『口ではそう云うが、そなたのココはこんなにヒクついておるぞ? 嬉しそうに余を咥え込んで…』
ヴァニオンの妄想の中では、主君親子がプロレス技もかくやというほどの難易度の高い体位で合体しているのであった。実際には情事の様子など目撃したことはないのだが、どうもソフトプレイが想像できない。
『まるで……もっと奥にくれとせがんでいるようだぞ。ククク。いやなら抜いてやるが、……どうだ?』
『ひ、ああああっ、…や、やっぱり、抜いちゃ、らめぇえ、もっと奥ぅ……♡』
妄想のひとり歩きが加速する。
……だめだだめだ。壁板一枚はさんでそんな行為が繰り返された日には、とても目が冴えて寝られそうにない。
「えーっと俺、やっぱ三等客室で静かにぐっすり朝まで熟睡さしてもらいます!」
「うむ。そうするがよい」
などという会話を廊下で交わしていたところ、隣のVIP船室の扉が開いた。
姿を見せた人物を見るなりヴァニオンの目玉はゆうに5,6センチは飛び出た。
出て来たのは当のナシェル殿下と、見知らぬ褐色の肌の金髪イケメンだったのだ。
「わぁあああーー!!?」
(なんでさっそく男連れだし!?)
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