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名称継承編
終劇
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ニチーダの結界が解かれる。
「殿下!」
ロルフが伸びて床にへばりついている僧侶の近くで片手を挙げた。
「ロルフ」
ナギサが苦言を呈す。
ロルフは肩をすくめてセスに目をむけてきた。
「よくやったの」
ロルフに労いの言葉をかけて、勇者の繭を僧侶の近くに投げ捨てた。
「これで、ナギサは魔法使いヘクセ・カルカサールを、ロルフは僧侶イルザ・ピトリスを。変則的ではあるがニチーダが勇者エイキム・フチラヴェークを一対一で討ち取れたことになるの」
セスは蜘蛛を沼から呼び出し、僧侶の首筋を噛ませた。
「四天王としての箔は、十分と言えるのではないか?」
セスの言葉にナギサは目を閉じて深く頭を下げ、ロルフは好戦的な笑みを浮かべた。ニチーダは小さく二度、三度と頷いている。シルヴェンヌは相変わらずな様子でセスに寄り添ってきた。
セスは顔を上げて、玉座の間に続く扉を見た。
「ロルフ、僧侶に勇者の治療と戦士の復活をさせろ。その後、地下牢に繋ぐ。ニチーダは援護に当たってくれ。そもそも、勇者の切れ端を持っているのはそなただしの」
「りょーかい」
「はい」
ロルフとニチーダが返事をして、自分で抱え上げようとするロルフを制し、ニチーダの人形が勇者と僧侶と、沼から引き出したダインスレイヴとエフタハの多用で死んだ戦士を持ち上げた。
二人が離れ始めるのと同時に、セスは玉座の間の扉へと歩を進めた。重い扉を押し開ける。未だに破壊痕の残るこの部屋で、玉座に続く道のみが綺麗になっていた。絨毯も敷かれなおされ、優しくセスの足を受け止める。玉座に着いた血はそのままだ。ひじ掛けに触れると、かさりとした感触があった。破け、所々に血と皺の着いた写真である。笑い方を忘れた男が必死に思い出そうとしているような、そんな歪な笑みを浮かべた父親が、セスの肩に手を置いている写真だ。
「なんと……何と、お呼びすれば?」
ナギサの声が聞こえた。
シルヴェンヌが一歩離れる音が鼓膜に届く。
「…………陛下だ」
セスは写真を片手で折りたたむと、懐にしまった。
「これより、我、セス・サグラーニイが父アンヘル・サグラーニイの後を継いで魔を統べる王となる。無論、名ばかりの王で終わるつもりはない。ナギサ・クノヘ、我が右腕として、一層の忠勤を期待している」
ナギサの目を見て言う。
ナギサが膝をついて、頭を垂れた。
「我らが王、セス・サグラーニイ陛下とシルヴェンヌ・サグラーニイ王妃陛下に、永遠の栄光を」
そしてセスは玉座に腰かけた。
「殿下!」
ロルフが伸びて床にへばりついている僧侶の近くで片手を挙げた。
「ロルフ」
ナギサが苦言を呈す。
ロルフは肩をすくめてセスに目をむけてきた。
「よくやったの」
ロルフに労いの言葉をかけて、勇者の繭を僧侶の近くに投げ捨てた。
「これで、ナギサは魔法使いヘクセ・カルカサールを、ロルフは僧侶イルザ・ピトリスを。変則的ではあるがニチーダが勇者エイキム・フチラヴェークを一対一で討ち取れたことになるの」
セスは蜘蛛を沼から呼び出し、僧侶の首筋を噛ませた。
「四天王としての箔は、十分と言えるのではないか?」
セスの言葉にナギサは目を閉じて深く頭を下げ、ロルフは好戦的な笑みを浮かべた。ニチーダは小さく二度、三度と頷いている。シルヴェンヌは相変わらずな様子でセスに寄り添ってきた。
セスは顔を上げて、玉座の間に続く扉を見た。
「ロルフ、僧侶に勇者の治療と戦士の復活をさせろ。その後、地下牢に繋ぐ。ニチーダは援護に当たってくれ。そもそも、勇者の切れ端を持っているのはそなただしの」
「りょーかい」
「はい」
ロルフとニチーダが返事をして、自分で抱え上げようとするロルフを制し、ニチーダの人形が勇者と僧侶と、沼から引き出したダインスレイヴとエフタハの多用で死んだ戦士を持ち上げた。
二人が離れ始めるのと同時に、セスは玉座の間の扉へと歩を進めた。重い扉を押し開ける。未だに破壊痕の残るこの部屋で、玉座に続く道のみが綺麗になっていた。絨毯も敷かれなおされ、優しくセスの足を受け止める。玉座に着いた血はそのままだ。ひじ掛けに触れると、かさりとした感触があった。破け、所々に血と皺の着いた写真である。笑い方を忘れた男が必死に思い出そうとしているような、そんな歪な笑みを浮かべた父親が、セスの肩に手を置いている写真だ。
「なんと……何と、お呼びすれば?」
ナギサの声が聞こえた。
シルヴェンヌが一歩離れる音が鼓膜に届く。
「…………陛下だ」
セスは写真を片手で折りたたむと、懐にしまった。
「これより、我、セス・サグラーニイが父アンヘル・サグラーニイの後を継いで魔を統べる王となる。無論、名ばかりの王で終わるつもりはない。ナギサ・クノヘ、我が右腕として、一層の忠勤を期待している」
ナギサの目を見て言う。
ナギサが膝をついて、頭を垂れた。
「我らが王、セス・サグラーニイ陛下とシルヴェンヌ・サグラーニイ王妃陛下に、永遠の栄光を」
そしてセスは玉座に腰かけた。
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