トリップ先は少し変わった戦国時代…!?

つばき

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新しい世界について

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おじいちゃんが立ち去った後、霧と呼ばれていたイケメンは少し広めの屋敷に案内してくれた。

田舎のおばあちゃん家の造りに少し似ている気がする。平屋って言えば良いのかな?
……いや、平屋というよりかは、歴史公園とかに保存されてる民家みたいな感じのお家だ。

最初に井戸に行って銀ちゃんの足を洗って、霧さんが貸してくれた手拭いで軽く全身を拭いて、埃を拭き取ってあげてから、客間の様な部屋へ案内された。

「座って待っていて欲しい。今、茶を持ってくる」
「あ、いえ!お構いなく。こちらこそ押しかけちゃってすみません。」

霧さんが差し出してくれた座布団にひとまず座って、彼の帰りを待つ。

「待たせたな。この里で作る茶は美味いんだ。」

そんな事を言いながら差し出された暖かいお茶からは良い香りが漂い、私の鼻をくすぐった。

「いただきます」

慣れない場面になんとなく緊張しながらもお茶を啜ると、芳醇な香りが鼻を抜け、心地良い渋みが心を落ち着かせてくれた。

「…美味しい。」

気が付くと、無意識に言葉が私の口から漏れていた。

「それは良かった」

私の反応を見て、何故か嬉しそうに微笑む霧さん。

優しそうな目で微笑むイケメンとは…なんて目に毒なんだ!!眩し過ぎて目が潰れるっ!!

「落ち着いた様で何よりだ。本題に入るぞ。」
「はい!!」

霧さんに言われ気を引き締める。
今からどんな会話が繰り広げられるのかと思うとドキドキし、更には、変な事を口走って殺されたりしないだろうかと不安になる。
そんな私の心情を汲み取ったのか、銀ちゃんが私の脚に頭を擦り付けて来た。
ありがとうの気持ちを込め軽く撫でてから霧さんに向き合う。

「まず、お前は何処から来た?」

質問を投げ掛けられ、私は思わず考え込んでしまう

霧さんから聞かれた最初の質問は定番のこれ!!!どうしよう!!なんて答えれば良いんだろう…正直に言って疑われたりしないかな…?

「信じて頂ける様な話では無いとは思うのですが…」

ひとまずその場繋ぎに前置きをしてみるけど…

「良い。話してみろ。」

なんと!正直に申せと!
馬鹿にされなきゃ良いけど…ううっ…。

私は少しの沈黙を経て、意を決して答えた。

「…未来から。それも別世界の未来から来ました。」

言っちゃったよ!!!絶っっ対馬鹿にされるよ!!
馬鹿にされる自信しか無いよ!!さっきも馬鹿にしてたくらいだもんね!!
寧ろ怒られるかな?私だって真剣な質問にこんな答え出されたら怒るもん!ひぇ!まだ死にたくない!

私の脳内は暴れているものの、霧さんは至って冷静だった。

「そうか。」

…え?それだけ??何でそんなに冷静で居られるんですかね?
もしや呆れられた感じ…?

余りにも冷静な霧さんに思わず呆気に取られてしまう。

「お前は戦闘経験はあるのか?」
「いえ、無いです。ただ、今日野党やとうに襲われた時、初めて人と戦いました。もしやあの時から…?」
「ああ。見ていた。初めての戦闘で3人を相手にするとは…」

いやいやいやっ!見てたなら助けて下さいよ!!か弱い女の子を見殺しにするなんて!…いや、死んでないから見殺しでは無いのか。てか、だいぶ後つけられてるじゃん!!何それ怖っ!!

「あの、一体いつから…」
「銃声が聞こえてすぐだったな。まさか、この山の中に武器も持たず入ってくる者が居るなんて驚いた。」
「この山って、そんなに危ないんですか?」
「狼やら大蛇やら熊やらが彷徨うろついているからか、里の者以外はまず近寄らない。近寄ったらもう二度と帰れぬからな。」

サアーッと私の顔から血の気が引くのが分かった。

「まぁ、動物達も沢山いるから、稀に獲物目当てで山賊が入ってくる事はあるんだがな。」

私はたまたまその山賊達に襲われたらしい。
そして、たまたま生き残ったものの、霧さんに出会って無ければ、ここに連れて来てもらわなければ動物に襲われ死んでいたかもしれない。
そう思うと、恐怖に身震いしてしまう。

「あの、ここへ連れてきて頂きありがとうございます。迷ってしまっていたので、助かりました。」
「有望な者を見殺しにする訳にもいかないからな。礼には及ばん。」

助けて貰えたのは有難いのだけれど、有望な者…?

「有望な者、ですか…?」

思わず聞き返すと

「ああ。魔獣と契約を交わせる者は滅多に現れない。それに、経験が無いにも関わらずあの身のこなし、鍛えればすぐに戦力になるだろう。」

銀ちゃんと謎の契約をいつの間にか交わし、仲良くなってしまった私は戦闘要員として有望な者と判断されてしまった。
何の訓練受けていない、ただの、女子高生だったのに。









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