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こんにちは、新しい世界
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ふわりと、私を撫でるように風が吹いているのを感じる。そんな感覚に違和感を覚え、私は目を覚ました。
「んんっ……眩しい…」
目を開けると青空と雲の中から太陽が私を見ていた。気怠い身体を何とか起こすと、周りには沢山の木と1匹の動物が居た。
ど、どういう事…?私は山に捨てられたって事?いやでも、売るとか何とか言っていたような……。
私は寝起きの頭をフル回転させ、思考を巡らせた。
すると、そんな私を心配してくれたのか、1匹の動物が私の顔を覗き込み頬をペロリと舐めてくれた。
その愛らしさに思わずモフモフと撫でくり回す。
「心配してくれたの?ありがとう。ふふっ、君は可愛いなぁ」
綺麗な銀色の毛並みをモフモフしながら私は思う。この犬でも猫でも無く、博物館とかでよく見るこの体型の動物ははまさか…
「お、狼!!?」
驚きの余り叫んでしまった。現代の日本にオオカミは居ないはず。つまりここは何処なの!?
いきなり大きな声を出したからか狼は驚いたのか、私からバッと身を離した。
「あっごめんね、ビックリしたよね…」
狼の反応を見て思わず謝ってしまう。ゆっくりと手を差し出してみると、様子を探る様な眼をしながら恐る恐るといった反応で頭を擦り付けてきた。
再び傍に近づいてきてくれた動物を撫でながら周りを見渡してみる。すると、この子以外にも沢山の鳥や小動物などがこちらを見ているのが分かった。
「本当に何処なんだろう…」
考えていても埒が明かない為、ひとまず歩いて人を探すことにした。
まだ日が高いが、暗くなる前に見付けないと、野宿確定となる。
「さて、頑張って歩かなきゃ。君も着いて来てくれるかな?」
伝わるとは思っていないが、1人で彷徨うのも少々寂しい為、狼に話し掛けてみる。
すると、ガルッと小さく返事をしてくれた。私が歩き出すと、斜め後ろを着いてくる為、きっと一緒に来てくれるのだろう。
「ふふっ、ありがとう。心強いなぁ」
礼を告げながら狼の方をチラッと見ると、またもやガルッと小さく鳴いて返事をしてくれた。
「そうだ、折角着いて来てくれるなら、名前があった方が良いな~。何がいいかな…」
歩きながらしばらく頭を悩ませる。
20分くらいは経った頃だろうか、
「銀!!銀はどうかな?」
凝った可愛らしい名前も良いけど、やっぱりシンプルで呼びやすい方が良いと思いこの名前にした。この名前で良いか本人に聞いてみると、尻尾をユラユラと揺らしながら私の足元に擦り寄って、頭を擦り付けてきた。
「ふふっ、これからよろしくね、銀。」
私と銀はひとまず流れる川を目印に山を下った。
川が流れる方向へ歩けば下流にある街かなにかに辿り着けると考えたからだ。
小一時間程歩いた頃、私は以前包丁を持った男と対峙した時に感じた気配を感じ取った。
突然の殺気に慌てて周りを見渡すと草むらからキラリと光る何かを見付けた。
「銀っ!!」
咄嗟に銀の上に被さり、身体を伏せた。
バァンッ…ジュウ…
音に驚き音がした方を見る。私の周りには少し焦げた草と銃弾が落ちていた。音がなる直前謎の光りを放った方へ顔を向けると、時代劇に出てきそうな少しボロボロになった和服を来た男が数人居た。1人は火縄銃を持ち、残り2人は日本刀を腰に携えていた。
「下手くそっ、命中してないじゃねぇか」
「あの女が急に動くからよ…俺だってまだ使い慣れてねぇし…」
そんな会話が聞こえてくる。
隣では銀が顔を強ばらせ、全身の毛を逆立て、低く唸っている。
「一体、この子に何の用ですか?」
身構えながら男達に問い掛けてみる。
「良いぜ、教えてやるよ。狼の皮は高く売れる!色に混じり気のない銀狼は特に、な。」
「下手にその狼庇うなら嬢ちゃんも怪我しちまうぜぇ。けけけっ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら男達は説明してくれた。あの車の時といい、この男達と言い…最悪な視線だ。心底気持ちが悪い。
本当にこの子が狼なら武器を持ってるとは言え、この男達と戦えるのではないか?そう思った私は銀に戦えるか聞いてみる。まぁ、様子を見た限り噛み殺す気満々みたいだけれど。
「はぁ…銀、どうしよっか?」
銀はチラッと私の方を向きガルッと短く鳴いた。
次の瞬間、刀を持った男達に飛びかかっていった。
銀がそっちに行くなら私は火縄銃の男をどうにかしようかな。いくら戦国時代の火縄銃が命中率が低いにしても、近距離で撃たれたら当たってしまうかもしれないし。その前にどうにかしなくっちゃ。
私は銀に銃口を向けている男の方に全力で走り出した。
「んんっ……眩しい…」
目を開けると青空と雲の中から太陽が私を見ていた。気怠い身体を何とか起こすと、周りには沢山の木と1匹の動物が居た。
ど、どういう事…?私は山に捨てられたって事?いやでも、売るとか何とか言っていたような……。
私は寝起きの頭をフル回転させ、思考を巡らせた。
すると、そんな私を心配してくれたのか、1匹の動物が私の顔を覗き込み頬をペロリと舐めてくれた。
その愛らしさに思わずモフモフと撫でくり回す。
「心配してくれたの?ありがとう。ふふっ、君は可愛いなぁ」
綺麗な銀色の毛並みをモフモフしながら私は思う。この犬でも猫でも無く、博物館とかでよく見るこの体型の動物ははまさか…
「お、狼!!?」
驚きの余り叫んでしまった。現代の日本にオオカミは居ないはず。つまりここは何処なの!?
いきなり大きな声を出したからか狼は驚いたのか、私からバッと身を離した。
「あっごめんね、ビックリしたよね…」
狼の反応を見て思わず謝ってしまう。ゆっくりと手を差し出してみると、様子を探る様な眼をしながら恐る恐るといった反応で頭を擦り付けてきた。
再び傍に近づいてきてくれた動物を撫でながら周りを見渡してみる。すると、この子以外にも沢山の鳥や小動物などがこちらを見ているのが分かった。
「本当に何処なんだろう…」
考えていても埒が明かない為、ひとまず歩いて人を探すことにした。
まだ日が高いが、暗くなる前に見付けないと、野宿確定となる。
「さて、頑張って歩かなきゃ。君も着いて来てくれるかな?」
伝わるとは思っていないが、1人で彷徨うのも少々寂しい為、狼に話し掛けてみる。
すると、ガルッと小さく返事をしてくれた。私が歩き出すと、斜め後ろを着いてくる為、きっと一緒に来てくれるのだろう。
「ふふっ、ありがとう。心強いなぁ」
礼を告げながら狼の方をチラッと見ると、またもやガルッと小さく鳴いて返事をしてくれた。
「そうだ、折角着いて来てくれるなら、名前があった方が良いな~。何がいいかな…」
歩きながらしばらく頭を悩ませる。
20分くらいは経った頃だろうか、
「銀!!銀はどうかな?」
凝った可愛らしい名前も良いけど、やっぱりシンプルで呼びやすい方が良いと思いこの名前にした。この名前で良いか本人に聞いてみると、尻尾をユラユラと揺らしながら私の足元に擦り寄って、頭を擦り付けてきた。
「ふふっ、これからよろしくね、銀。」
私と銀はひとまず流れる川を目印に山を下った。
川が流れる方向へ歩けば下流にある街かなにかに辿り着けると考えたからだ。
小一時間程歩いた頃、私は以前包丁を持った男と対峙した時に感じた気配を感じ取った。
突然の殺気に慌てて周りを見渡すと草むらからキラリと光る何かを見付けた。
「銀っ!!」
咄嗟に銀の上に被さり、身体を伏せた。
バァンッ…ジュウ…
音に驚き音がした方を見る。私の周りには少し焦げた草と銃弾が落ちていた。音がなる直前謎の光りを放った方へ顔を向けると、時代劇に出てきそうな少しボロボロになった和服を来た男が数人居た。1人は火縄銃を持ち、残り2人は日本刀を腰に携えていた。
「下手くそっ、命中してないじゃねぇか」
「あの女が急に動くからよ…俺だってまだ使い慣れてねぇし…」
そんな会話が聞こえてくる。
隣では銀が顔を強ばらせ、全身の毛を逆立て、低く唸っている。
「一体、この子に何の用ですか?」
身構えながら男達に問い掛けてみる。
「良いぜ、教えてやるよ。狼の皮は高く売れる!色に混じり気のない銀狼は特に、な。」
「下手にその狼庇うなら嬢ちゃんも怪我しちまうぜぇ。けけけっ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら男達は説明してくれた。あの車の時といい、この男達と言い…最悪な視線だ。心底気持ちが悪い。
本当にこの子が狼なら武器を持ってるとは言え、この男達と戦えるのではないか?そう思った私は銀に戦えるか聞いてみる。まぁ、様子を見た限り噛み殺す気満々みたいだけれど。
「はぁ…銀、どうしよっか?」
銀はチラッと私の方を向きガルッと短く鳴いた。
次の瞬間、刀を持った男達に飛びかかっていった。
銀がそっちに行くなら私は火縄銃の男をどうにかしようかな。いくら戦国時代の火縄銃が命中率が低いにしても、近距離で撃たれたら当たってしまうかもしれないし。その前にどうにかしなくっちゃ。
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