3 / 7
こんにちは、新しい世界
しおりを挟む
ふわりと、私を撫でるように風が吹いているのを感じる。そんな感覚に違和感を覚え、私は目を覚ました。
「んんっ……眩しい…」
目を開けると青空と雲の中から太陽が私を見ていた。気怠い身体を何とか起こすと、周りには沢山の木と1匹の動物が居た。
ど、どういう事…?私は山に捨てられたって事?いやでも、売るとか何とか言っていたような……。
私は寝起きの頭をフル回転させ、思考を巡らせた。
すると、そんな私を心配してくれたのか、1匹の動物が私の顔を覗き込み頬をペロリと舐めてくれた。
その愛らしさに思わずモフモフと撫でくり回す。
「心配してくれたの?ありがとう。ふふっ、君は可愛いなぁ」
綺麗な銀色の毛並みをモフモフしながら私は思う。この犬でも猫でも無く、博物館とかでよく見るこの体型の動物ははまさか…
「お、狼!!?」
驚きの余り叫んでしまった。現代の日本にオオカミは居ないはず。つまりここは何処なの!?
いきなり大きな声を出したからか狼は驚いたのか、私からバッと身を離した。
「あっごめんね、ビックリしたよね…」
狼の反応を見て思わず謝ってしまう。ゆっくりと手を差し出してみると、様子を探る様な眼をしながら恐る恐るといった反応で頭を擦り付けてきた。
再び傍に近づいてきてくれた動物を撫でながら周りを見渡してみる。すると、この子以外にも沢山の鳥や小動物などがこちらを見ているのが分かった。
「本当に何処なんだろう…」
考えていても埒が明かない為、ひとまず歩いて人を探すことにした。
まだ日が高いが、暗くなる前に見付けないと、野宿確定となる。
「さて、頑張って歩かなきゃ。君も着いて来てくれるかな?」
伝わるとは思っていないが、1人で彷徨うのも少々寂しい為、狼に話し掛けてみる。
すると、ガルッと小さく返事をしてくれた。私が歩き出すと、斜め後ろを着いてくる為、きっと一緒に来てくれるのだろう。
「ふふっ、ありがとう。心強いなぁ」
礼を告げながら狼の方をチラッと見ると、またもやガルッと小さく鳴いて返事をしてくれた。
「そうだ、折角着いて来てくれるなら、名前があった方が良いな~。何がいいかな…」
歩きながらしばらく頭を悩ませる。
20分くらいは経った頃だろうか、
「銀!!銀はどうかな?」
凝った可愛らしい名前も良いけど、やっぱりシンプルで呼びやすい方が良いと思いこの名前にした。この名前で良いか本人に聞いてみると、尻尾をユラユラと揺らしながら私の足元に擦り寄って、頭を擦り付けてきた。
「ふふっ、これからよろしくね、銀。」
私と銀はひとまず流れる川を目印に山を下った。
川が流れる方向へ歩けば下流にある街かなにかに辿り着けると考えたからだ。
小一時間程歩いた頃、私は以前包丁を持った男と対峙した時に感じた気配を感じ取った。
突然の殺気に慌てて周りを見渡すと草むらからキラリと光る何かを見付けた。
「銀っ!!」
咄嗟に銀の上に被さり、身体を伏せた。
バァンッ…ジュウ…
音に驚き音がした方を見る。私の周りには少し焦げた草と銃弾が落ちていた。音がなる直前謎の光りを放った方へ顔を向けると、時代劇に出てきそうな少しボロボロになった和服を来た男が数人居た。1人は火縄銃を持ち、残り2人は日本刀を腰に携えていた。
「下手くそっ、命中してないじゃねぇか」
「あの女が急に動くからよ…俺だってまだ使い慣れてねぇし…」
そんな会話が聞こえてくる。
隣では銀が顔を強ばらせ、全身の毛を逆立て、低く唸っている。
「一体、この子に何の用ですか?」
身構えながら男達に問い掛けてみる。
「良いぜ、教えてやるよ。狼の皮は高く売れる!色に混じり気のない銀狼は特に、な。」
「下手にその狼庇うなら嬢ちゃんも怪我しちまうぜぇ。けけけっ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら男達は説明してくれた。あの車の時といい、この男達と言い…最悪な視線だ。心底気持ちが悪い。
本当にこの子が狼なら武器を持ってるとは言え、この男達と戦えるのではないか?そう思った私は銀に戦えるか聞いてみる。まぁ、様子を見た限り噛み殺す気満々みたいだけれど。
「はぁ…銀、どうしよっか?」
銀はチラッと私の方を向きガルッと短く鳴いた。
次の瞬間、刀を持った男達に飛びかかっていった。
銀がそっちに行くなら私は火縄銃の男をどうにかしようかな。いくら戦国時代の火縄銃が命中率が低いにしても、近距離で撃たれたら当たってしまうかもしれないし。その前にどうにかしなくっちゃ。
私は銀に銃口を向けている男の方に全力で走り出した。
「んんっ……眩しい…」
目を開けると青空と雲の中から太陽が私を見ていた。気怠い身体を何とか起こすと、周りには沢山の木と1匹の動物が居た。
ど、どういう事…?私は山に捨てられたって事?いやでも、売るとか何とか言っていたような……。
私は寝起きの頭をフル回転させ、思考を巡らせた。
すると、そんな私を心配してくれたのか、1匹の動物が私の顔を覗き込み頬をペロリと舐めてくれた。
その愛らしさに思わずモフモフと撫でくり回す。
「心配してくれたの?ありがとう。ふふっ、君は可愛いなぁ」
綺麗な銀色の毛並みをモフモフしながら私は思う。この犬でも猫でも無く、博物館とかでよく見るこの体型の動物ははまさか…
「お、狼!!?」
驚きの余り叫んでしまった。現代の日本にオオカミは居ないはず。つまりここは何処なの!?
いきなり大きな声を出したからか狼は驚いたのか、私からバッと身を離した。
「あっごめんね、ビックリしたよね…」
狼の反応を見て思わず謝ってしまう。ゆっくりと手を差し出してみると、様子を探る様な眼をしながら恐る恐るといった反応で頭を擦り付けてきた。
再び傍に近づいてきてくれた動物を撫でながら周りを見渡してみる。すると、この子以外にも沢山の鳥や小動物などがこちらを見ているのが分かった。
「本当に何処なんだろう…」
考えていても埒が明かない為、ひとまず歩いて人を探すことにした。
まだ日が高いが、暗くなる前に見付けないと、野宿確定となる。
「さて、頑張って歩かなきゃ。君も着いて来てくれるかな?」
伝わるとは思っていないが、1人で彷徨うのも少々寂しい為、狼に話し掛けてみる。
すると、ガルッと小さく返事をしてくれた。私が歩き出すと、斜め後ろを着いてくる為、きっと一緒に来てくれるのだろう。
「ふふっ、ありがとう。心強いなぁ」
礼を告げながら狼の方をチラッと見ると、またもやガルッと小さく鳴いて返事をしてくれた。
「そうだ、折角着いて来てくれるなら、名前があった方が良いな~。何がいいかな…」
歩きながらしばらく頭を悩ませる。
20分くらいは経った頃だろうか、
「銀!!銀はどうかな?」
凝った可愛らしい名前も良いけど、やっぱりシンプルで呼びやすい方が良いと思いこの名前にした。この名前で良いか本人に聞いてみると、尻尾をユラユラと揺らしながら私の足元に擦り寄って、頭を擦り付けてきた。
「ふふっ、これからよろしくね、銀。」
私と銀はひとまず流れる川を目印に山を下った。
川が流れる方向へ歩けば下流にある街かなにかに辿り着けると考えたからだ。
小一時間程歩いた頃、私は以前包丁を持った男と対峙した時に感じた気配を感じ取った。
突然の殺気に慌てて周りを見渡すと草むらからキラリと光る何かを見付けた。
「銀っ!!」
咄嗟に銀の上に被さり、身体を伏せた。
バァンッ…ジュウ…
音に驚き音がした方を見る。私の周りには少し焦げた草と銃弾が落ちていた。音がなる直前謎の光りを放った方へ顔を向けると、時代劇に出てきそうな少しボロボロになった和服を来た男が数人居た。1人は火縄銃を持ち、残り2人は日本刀を腰に携えていた。
「下手くそっ、命中してないじゃねぇか」
「あの女が急に動くからよ…俺だってまだ使い慣れてねぇし…」
そんな会話が聞こえてくる。
隣では銀が顔を強ばらせ、全身の毛を逆立て、低く唸っている。
「一体、この子に何の用ですか?」
身構えながら男達に問い掛けてみる。
「良いぜ、教えてやるよ。狼の皮は高く売れる!色に混じり気のない銀狼は特に、な。」
「下手にその狼庇うなら嬢ちゃんも怪我しちまうぜぇ。けけけっ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら男達は説明してくれた。あの車の時といい、この男達と言い…最悪な視線だ。心底気持ちが悪い。
本当にこの子が狼なら武器を持ってるとは言え、この男達と戦えるのではないか?そう思った私は銀に戦えるか聞いてみる。まぁ、様子を見た限り噛み殺す気満々みたいだけれど。
「はぁ…銀、どうしよっか?」
銀はチラッと私の方を向きガルッと短く鳴いた。
次の瞬間、刀を持った男達に飛びかかっていった。
銀がそっちに行くなら私は火縄銃の男をどうにかしようかな。いくら戦国時代の火縄銃が命中率が低いにしても、近距離で撃たれたら当たってしまうかもしれないし。その前にどうにかしなくっちゃ。
私は銀に銃口を向けている男の方に全力で走り出した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる