崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター

タイガスの英雄譚?

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「あー、その話知って……」
「その話オラがバッチリ解説するッス!」
 ドシン!
「うぎゃ!」
 シャットを踏み潰してニンフォをタックルで吹き飛ばし、ベネットが鼻息荒くナガレに詰め寄った。
「うわ!」
「おっと、すまんッス、シャット。つい熱が入っちまったッス」
「んもー、気をつけてよベネットー! でも、ホントに力持ちだねー」
「そんで、ギルドが存続ってのはどう言うことだにゃ。ニャアはお前と付き合いそこそこだけど、いまだによく知らないにゃあ」
「誰か私に構ってぇ!」
 足元で悲鳴を上げるニンフォを無視して、ベネットはまるで自分のことのように胸を張った。
「それもバッチシ教えるッス」
「じゃあ頼むよ。オレもよそのギルドからどう思われてるのか気になるし」
「もちろんッス! そう、オラがナガレさんの活躍を知ったのは、たった二ヶ月と十七日前のこと……」
「なるべく手短にお願いねー」
「オラとメイトリクスは、タイガスのお祭りに来ていたッス。何もかもが輝いていて、道ゆく人々も幸せそうな顔だったッス。愛する妻とたくさん料理を食べて、武器を見て、オラは幸せだったッス」
 そう言って、大袈裟なまでに天を仰いで絶望するベネット。
「だが突如、その幸せは危機に晒されたッス! 謎のドラゴンが出現し、続いてスカルドラゴンまで現れて、街は大パニックッス。オラたちも戦いたかったけど、お祭りを楽しんでいて武器も防具も持っていなかったッス。それにメイトリクスを一人にするわけにはいかず、オラも逃げ出したッス」
「ちょちょちょ! も、もしかして私ずっとこのまま⁉︎ いやぁーん! 放置プレイなんてキライ! みんなに足蹴にされてほっとかれるのはいやー!」
「だが! 人混みを掻き分け、焦る気持ちとは裏腹にゆっくりしか進めない……そんな時、上から突然の轟音が響いたッス。つられて空を見上げたオラは、我が目を疑ったッス!」
「え、何が起こったの?」
「とぼけないでほしいッス、ナガレさん! オラはこの目で見たッス。雄叫びを上げながら妙ちきりんなドラゴンに飛び乗って、その首を引き裂かんとするあなたの姿を!」
「…………」
 おそらく、ナガレは雄叫びを上げていたのではない。パニックを起こして悲鳴を上げていただけだ。
「ああ! まさに神話的、英雄譚とはこのことッス。あなたはスカルドラゴンをあの一瞬で、手懐けて追従させ、変なドラゴンを攻撃させた。あの危険度Z級の、人が挑むことすらおこがましい伝説の龍と、協力関係を結んだッス! あの一瞬で!」
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