崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター

特訓、そして……?

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 一応二人とも、ちゃんと装備を着ている。それに顔などの急所は、ちゃんと避けている。
 ……それでも人間相手に鉄球を振り回し、氷の魔法をブチ込んでいる。その姿は、平和な特訓とはとても言えなかった。

 それから少し離れたところで、ナガレとジョーが柵にもたれて話していた。
「へへ、みんな信じてるよ。やっぱし良いアイデアだったろ?」
「……こんな嘘っぱちで騙されるとはな」
 そう、ジョーが棒術を使えるなんて真っ赤なウソ。こう言って、バンドにジョーへ化けて貰えば、他のみんなに心配されることはない。
「……だが、果たしてアイツは来るだろうか」
「ああ。きっとこの会話もどこかで聞いてるだろ」
「……気配は感じない。だが、奴のことなら必ず聞いているだろう。不気味だな」

「ああ。……これから頑張るか」
「……フッ。アズラとやらの修行にうつつを抜かして、腕が鈍るようなことは、絶対に無いようにな」
「へっ、分かってるよ!」
 

~☆~☆~☆~☆~☆~


 そうして、数日が過ぎた。
 また景色は夕暮れである。
 そんな中、高台広場にてナガレが今日もアズラを生み出す特訓をしていた。
「……心を一つにするんだ。他のことは考えるな」
「……力になりたいが、俺はアズラを知らない。がんばれ、ナガレ」
「むぐぐ…………おう!」
 ……二人のジョーに見守られながら。もちろん片方は、変身したバンドである。だが、正直ナガレにもどっちがどっちかあまり分かっていない。
「くっ、難しいな……」
 毎日特訓しているが、流石に数日で身につくような技では無い。青い光も出てこない……。
「……仕方がない、今日はあと一回にしよう。やってみろ」
「え? マジで? まだ三十分しかやってない……」
「……出来ないまま煮詰めても、時間の無駄だ。そうだな……コツは、決意を固めるんだ。イビル教団を絶対に倒す……そう一心に唱えろ。イビル教団への絶対的な感情を、力に変える」
「わ、分かった!」
 全く芽が出ないナガレ。しかし意外にも、バンドは見切りをつけたりしなかった。ジョーから見てもナガレはかなり苦戦しているが、バンドは親切に根気強く教え続ける。

「……そうだ、一心に考え、想像しろ。お前が奴らの運命に終止符を打つ、その瞬間を……」
「……ッ!」
 どんな想像をしたのだろう。……ナガレの目に、一瞬凄まじい殺気が迸った。二人のジョーも、そのプレッシャーに目を見張る。
(……! ナガレが……あのナガレが、こんな身震いするような殺気を……⁉︎)
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