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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター
それでも特訓…!
しおりを挟む「……でも、オレ、やった方がいいと思う」
「ナガレ……⁉︎」
目を見開くジョー。あんなに怪しい奴の言うことを、真に受けるというのか。
「ジョーの言いたいことも分かる。確かにバンドは一体何者なのか、オレたちは知らない。でもさ……アイツは言ったんだ。イビル教団との戦いで、アズラが必ず役に立つって」
「……だが、それが本当だとは……」
ジョーは最後まで言えなかった。彼の目を見たナガレの眼差しは、真剣そのものだったからだ。
「オレは、どんなに困っているでも、笑って手を差し伸べて助けてあげられる……そんな冒険者になりたい。今のイビル教団は、悪魔そのもの。……やっつければ、きっとたくさんの人が助かるはずだ」
「…………」
「でも、オレはまだ弱い。ジョロウ、タオティエ、ハピネ、フランコ……アイツら一人にだって、オレたちが束になっても勝てないと思う」
そう言って、ナガレははにかむように笑った。
「……だからさ、藁にも縋っていたいんだ。それにバンドは、嘘を言ってないような気がする」
「…………」
ジョーは何も言わない。観念して、ナガレの話を口を挟まずに聞いている。
「それに、もしバンドが悪い奴だったら、一緒に戦ってくれるだろ? 勝てる気しないけど」
「……フッ、そうだな。……ならば俺も、変に口を挟んだりしないことにする。……だが、次からは俺も同席させてもらうぞ」
「あぁ! バンドは邪魔さえしなければ、危害は加えない……的なことを言ってたしな。せっかくだし、勝手にさせてもらうか!」
「……ああ、良いだろう」
そこまで言って、ジョーは「しかし……」と腕を組んで考え込んだ。
「……仲間たちにはどう伝えるんだ。アズラは特訓ついでに習得できるようなものではなさそうだが。そうなると、しばらく特訓を休むことになるぞ」
「げっ、そ、そーいやそうだな……」
ナガレも思わず眉を顰めた。
いつも率先して特訓に打ち込むナガレがいきなり来なくなったら、仲間たちは心配するだろう。最初は「そんな日もある」と言うかもしれないが、それが何日も続けば原因を突き止めにかかるはず。そんな時、ナガレが怪しい鎧の男と特訓をしているのを見たら……ほぼ間違いなく止めにかかる。
……そしてバッファローには、血の雨が降ることになるだろう。
「……まさか、はっきり話すつもりじゃないだろうな」
「うーん…………」
ナガレも考え込んで……。
そして、手をポンと叩く。
「あっ、これならイケるかも!」
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