崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

文字の大きさ
上 下
850 / 966
第二十六話 荒野に叫ぶロックスター

それでも特訓…!

しおりを挟む

「……でも、オレ、やった方がいいと思う」
「ナガレ……⁉︎」 
 目を見開くジョー。あんなに怪しい奴の言うことを、に受けるというのか。
「ジョーの言いたいことも分かる。確かにバンドは一体何者なのか、オレたちは知らない。でもさ……アイツは言ったんだ。イビル教団との戦いで、アズラが必ず役に立つって」
「……だが、それが本当だとは……」
 ジョーは最後まで言えなかった。彼の目を見たナガレの眼差しは、真剣そのものだったからだ。
「オレは、どんなに困っているでも、笑って手を差し伸べて助けてあげられる……そんな冒険者になりたい。今のイビル教団は、悪魔そのもの。……やっつければ、きっとたくさんの人が助かるはずだ」
「…………」
「でも、オレはまだ弱い。ジョロウ、タオティエ、ハピネ、フランコ……アイツら一人にだって、オレたちが束になっても勝てないと思う」
 そう言って、ナガレははにかむように笑った。
「……だからさ、わらにもすがっていたいんだ。それにバンドは、嘘を言ってないような気がする」
「…………」
 ジョーは何も言わない。観念して、ナガレの話を口を挟まずに聞いている。
「それに、もしバンドが悪い奴だったら、一緒に戦ってくれるだろ? 勝てる気しないけど」
「……フッ、そうだな。……ならば俺も、変に口を挟んだりしないことにする。……だが、次からは俺も同席させてもらうぞ」
「あぁ! バンドは邪魔さえしなければ、危害は加えない……的なことを言ってたしな。せっかくだし、勝手にさせてもらうか!」
「……ああ、良いだろう」
 そこまで言って、ジョーは「しかし……」と腕を組んで考え込んだ。

「……仲間たちにはどう伝えるんだ。アズラは特訓ついでに習得できるようなものではなさそうだが。そうなると、しばらく特訓を休むことになるぞ」
「げっ、そ、そーいやそうだな……」
 ナガレも思わず眉を顰めた。
 いつも率先して特訓に打ち込むナガレがいきなり来なくなったら、仲間たちは心配するだろう。最初は「そんな日もある」と言うかもしれないが、それが何日も続けば原因を突き止めにかかるはず。そんな時、ナガレが怪しい鎧の男と特訓をしているのを見たら……ほぼ間違いなく止めにかかる。
 ……そしてバッファローには、血の雨が降ることになるだろう。
「……まさか、はっきり話すつもりじゃないだろうな」
「うーん…………」
 ナガレも考え込んで……。

 そして、手をポンと叩く。
「あっ、これならイケるかも!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話

Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」 「よっしゃー!! ありがとうございます!!」 婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。 果たして国王との賭けの内容とは――

要石の巫女と不屈と呼ばれた凡人

イチ力ハチ力
ファンタジー
女神が姿を消し、瘴気による侵食が進む『詰んでいる世界』に、五人の高校生が召喚された。  そして五人の中で唯一勝手に付いてきた富東 矢那(フトウ ヤナ)は、他の四人と異なり“勇者”では無かった。  『魔王』を倒すべく喚ばれ、魔力量も桁外れ、伝説級のスキルを既に取得している他の四人の『召喚されし勇者』達に対し、矢那の召還時の魔力量は凡人並。スキルも“言語/文字理解”を除いてはただ一つ、『不撓不屈』のみ。  『召喚を要求した者』は、数奇な運命と自身の持つ宿命に導かれながら、世界の命運を賭けた戦いに、身を投じていくことになる。  絶望の色に染まる『巫女』と、絶望が大嫌いな『凡人』が出会う時、神に挑みし『不屈』の物語が幕を開ける。  脳筋や変態扱いされても、姫がポンコツになっても、ヒロイン達が野獣と化したとしても! この男は決して倒れる事は無い! 顔で嗤って心で泣いて、世界を救う真の英雄譚が始まる!     熱い魂の王道ファンタジーここに誕生!

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...