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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター
『アズラ』
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「え、そうなの?」
「……俺はアズラを使うことができない。やり方は知っている。実際に行う事もできる。それを使って、闇や呪いを祓う事もできる」
(じゃあ、バッチリ使えるじゃんか!)
「……だが、アズラは死んだ。技を使うたびに、彼女のことを思い出す。……できれば、使いたくない」
そう言って、ナガレを見つめるバンド。
「……一度、了承した。ならば是が非でも、この技を覚えてもらう。ナガレ・ウエスト。俺が言うようにやってみろ」
それから数十分後。
「ふぐぐ~っ、んぐぐぐぐーーっ……!」
ナガレは先ほどのバンドのように、マルチスタッフを体の前で構えている。そして目を閉じて眉を顰め、なぜか必死で唸っている。
が、青いオーラが出てくることはない。うんともすんとも言わないとは、まさにこのことだ。
「……アズラは、一心に思い続けることがコツと言える。雑念の欲張りが多い人間が、ただ一つの目標、決意のために、心を無にする。その瞬間、アズラは目覚める」
「そ、そんなこと言ったって……」
一つに思い続けるのは難しい。『○○について考えないと!』と、行動もしないで、しかもそのこと一つだけを全力で考えていると、すぐに別の考えが出てくる。お腹が空いたとか、頑張らなきゃとか、難しいとか……。
「……心を一つにするんだ。お前が何をなすべきか、それを考えろ」
「そう言われてもさぁ……ふんぐぐぐぐ……!」
再び力を込めても、何の反応もない。
その後一時間ほど特訓していたが、まったく手ごたえが無かった。もう空は真っ暗で、ヨビカリ草の光だけが周囲を照らしている。
「ダメだ、光どころか、汗も涙も出ないよ……」
「……初日だからできなくても仕方がない。だが、せめて少しは進歩してほしかったが」
「アンタがやらせたんだろっ!」
ナガレが怒って振り向いたが……。
「あ、あれ……?」
なんと気づけば、バンドの姿が消えていた。
黒い鎧で見えないだけかと周囲を見渡しても、どこにも姿が見えない。
「お、おーいバンド! どこだー⁉︎」
「……ここだ」
「おお! 急に消えたからビックリした……って、ジョー?」
その時突然、ナガレのそばにジョーが現れる。いつも通り黒いマスクを付けて、夜闇に紛れる黒いボディアーマーを着ている。
「なんだ、いつのまにいたんだ? 気づかなかったよ。バンドどこ行ったか知らない?」
だがジョーはそれを無視して、高台広場の柵に向かって話しかける。声までちゃんとジョーだ。
「……特訓は終わりだ。俺が気づいて、それを泳がせていたのが分からないか。観念して出てこい」
「……俺はアズラを使うことができない。やり方は知っている。実際に行う事もできる。それを使って、闇や呪いを祓う事もできる」
(じゃあ、バッチリ使えるじゃんか!)
「……だが、アズラは死んだ。技を使うたびに、彼女のことを思い出す。……できれば、使いたくない」
そう言って、ナガレを見つめるバンド。
「……一度、了承した。ならば是が非でも、この技を覚えてもらう。ナガレ・ウエスト。俺が言うようにやってみろ」
それから数十分後。
「ふぐぐ~っ、んぐぐぐぐーーっ……!」
ナガレは先ほどのバンドのように、マルチスタッフを体の前で構えている。そして目を閉じて眉を顰め、なぜか必死で唸っている。
が、青いオーラが出てくることはない。うんともすんとも言わないとは、まさにこのことだ。
「……アズラは、一心に思い続けることがコツと言える。雑念の欲張りが多い人間が、ただ一つの目標、決意のために、心を無にする。その瞬間、アズラは目覚める」
「そ、そんなこと言ったって……」
一つに思い続けるのは難しい。『○○について考えないと!』と、行動もしないで、しかもそのこと一つだけを全力で考えていると、すぐに別の考えが出てくる。お腹が空いたとか、頑張らなきゃとか、難しいとか……。
「……心を一つにするんだ。お前が何をなすべきか、それを考えろ」
「そう言われてもさぁ……ふんぐぐぐぐ……!」
再び力を込めても、何の反応もない。
その後一時間ほど特訓していたが、まったく手ごたえが無かった。もう空は真っ暗で、ヨビカリ草の光だけが周囲を照らしている。
「ダメだ、光どころか、汗も涙も出ないよ……」
「……初日だからできなくても仕方がない。だが、せめて少しは進歩してほしかったが」
「アンタがやらせたんだろっ!」
ナガレが怒って振り向いたが……。
「あ、あれ……?」
なんと気づけば、バンドの姿が消えていた。
黒い鎧で見えないだけかと周囲を見渡しても、どこにも姿が見えない。
「お、おーいバンド! どこだー⁉︎」
「……ここだ」
「おお! 急に消えたからビックリした……って、ジョー?」
その時突然、ナガレのそばにジョーが現れる。いつも通り黒いマスクを付けて、夜闇に紛れる黒いボディアーマーを着ている。
「なんだ、いつのまにいたんだ? 気づかなかったよ。バンドどこ行ったか知らない?」
だがジョーはそれを無視して、高台広場の柵に向かって話しかける。声までちゃんとジョーだ。
「……特訓は終わりだ。俺が気づいて、それを泳がせていたのが分からないか。観念して出てこい」
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