崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター

バンドの元へ

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 タッタッタッ……と軽快な足取りで、ナガレは外へ去っていった。
「~~…………」
 小さく呻きながら、頭を抑えるオギンさん。脳天には大きなタンコブが出来ていた。
「ふふふ……ちょっとオイタが過ぎましたわねぇ。揶揄うにしても、引き際をわきまえないとダメですよぉ」
 クレイさんは、相変わらずお上品に笑っている。

 ……咄嗟に抜いてしまったを、背中に隠して。


~☆~☆~☆~☆~☆~


 さて、夕暮れの街を歩きながら高台広場へ行くナガレ。
「……あれ? ナガレ君~!」
「おう! ケガは良くなったのかい」
「はい! もうぜ~んぜん元気になりました。今度クエスト行きましょう! いっばいあるんですから!」
 前方からヒズマもタネツが歩いてきて、気さくに挨拶してきた。近くにはサニーとセンチアの姿もある。みんなかなり汗をかいていて、荒い息を吐いていた。
「ふぅっ……こんにちは、ナガレさん。特訓は厳しいですが、いいものですね」
「……ところでナガレっち、今どき特訓? あーしらもう終わりんちょだけど。フロっちとケンガっちも帰っちゃったし」
「ああ。いや、分かんないけど。ちょっとバンドと出会う約束があるんだ。高台広場でね」
「えぇ?」
 すると四人は、互いに顔を見合わせた。

「私たち、ずっとその高台広場で特訓してたけど~……」
「誰もいなかったぜ? アリッサちゃんやルック君も、早々に帰っちゃってるし」 
「え、そうなの?」
 ナガレも目を丸くする。確かに直接バンドに呼ばれたのだが……。
「もしかしたら、我々が降りてくるのを待っていて、今登っているのかもしれません」
「でも、わざわざそんなダリィことする? 『あ、わたしぃ、待ち合わせしてるんですぅ。私に構わず続けてください~』って感じの方が自然じゃね?」
「バンドはそんなこと言わないでしょ……でもそうだなぁ」
 まさか騙されてるなんてことはないだろうが……とにかくタネツたちと別れ、一人で向かうナガレ。長ーーい階段を、軽く視線を下げて小走りで登る。長距離走のフォームだ。
「ふうふうっ……走って登るのは大変だなぁ。……思えば、こうして階段を登っていると結構な頻度で事件が起こるんだよな」
 飛ぶ斬撃が飛んできた時もあれば、自分が吹っ飛んだ事もあった。だが今回は流石に……と最上段まで登ったナガレであったが。

「…………来たか」
「どっひゃあっ⁉︎」
 なんと目の前数センチに、見上げるようなバンドの長身と黒鎧が! ナガレは思い切りのけぞり……。
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