崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

アルカナショップの歴史

「へ、へぇ～。すいません、全然思い出せませんでした……」
「いやあ、気にすることはありません。こうして再登場まで二十二話もありますから……」
　ペコリと頭を下げたナガレ。ルーカス町長は穏やかに笑って許してくれた。
「娘と息子がいつもお世話になっております。ドジな娘と気の強い息子ですけど、良いところもたくさんありますから、これからもよろしくお願いしますわね」
「はっはい！」
　そう返事したところで、ナガレは気になったことを聞いてみた。

「あ、あの……ルーカスさんは町長として長いんですか？」
「おや？　そうだな。私が町長になったのは大体二十年ほど前だ。それまでは町役場で働いていてね」
「す、すげー……」
　町長歴二十年とは、かなりのものである。とても偉大な人物だ。
「ま、まぁバッファローの奴らってさ、あんまし政治とかに興味ないから……」
　ルックが弁明したが、それでも二十年はすごい。だがナガレが気になったのはそこではなく……。
「それじゃあアルカナショップは一体なんなんです？　まさかルックが起業……？」
「バカタレ、俺いくつなんだよ。成人もしてねえぞ」
「まぁ、そりゃそうか」
　その問いに答えたのも、やはりルーカス町長だった。
「ああ、あれば私の父親の商売でね。つまり、アリッサとルックの祖父母のものだ。数年前に病気で亡くなりました。だから取り壊して、アリッサとルックは別のところへ引越ししようと思ったんだが……」
　そこまで言って、ルックに目を向ける。彼はなんだか得意げだ。
「このルック、なかなかおじいちゃんっ子だったんです。祖父の商売を引き継ぎたいというものですから、私もそのままにしておいたんです」
　なるほど、ルックは祖父の店を引き継いだ……ということだ。
「最初は私も手伝っていたんですけどね。それがどんどん勉強して、ついには商売にかけては両親以上になってしまって……ははは。トンビがタカを産むとは言ったものですね」
　謙虚なジョークを交えて笑うルーカス町長とアリーナ夫人。

「……はーい、料理お持ちしました！」
　ナガレの後ろから声がした。元気で明るい女の子の声……と、ナガレは驚いて振り向く。ヴァレリーの声じゃない。三回に一回罵ってくるヴァレリーが、こんな明るく元気なヒロインボイスなんて出すわけがない。

「オムライスでーす！　ごゆっくりお召し上がりくださーい！」
　そこにはエプロンをつけた女の子がいた。手に乗せたトレーの上には、ほかほかの湯気を立てているオムライスが乗ってあった。