崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

撤収

「……俺が、逃がすと思うか」
「ぐふっ……ば、バンド。お、お前のことは司祭様に報告させてもらう」
「……フン」
　そんなことを言われても、鼻で笑うバンド。
「……そうするんだな。次はそのふざけた司祭様とやらも連れて来い。俺としても、まとめて八つ裂きにしてくれる」
「ば、バンド！　こ、この礼はきっとしてやるぞ。お、覚えていろ！」

　ゴォォォォッ！

　そう言った瞬間、タオティエの体が暗い影に覆われる。そしてカゲロウのように飛び上がり、すさまじい速さで音もなく消えてしまった。


「……逃げられたか。追跡は無理だろう」
　バンドはそう言って武器をしまう。そしてナガレへ向かってゆっくりと歩いて来た。
「あ、ありがとう。助けてくれて。でも、なんでここに？」
「……悪の香りがした」
「へ？　……ぐぇっ!?」
　突然バンドはナガレの胸ぐらをつかみ上げる。理由が分からず困惑するナガレ……。
　しかしバンドはそのまま別方向で歩いていく。もう片方の手で、スカルクリーチャーの頭蓋骨に手を置いた。
「え！　い、いや、ムリだ！　いくらバンドでも、そんな大きいの運べるわけが……」

　シュンッ……！

　だがその瞬間、二人がその場から消えた。


「うわっ何!?　……え？」
　そして瞬きする間に、景色が変わっていた。褐色の荒野が一瞬にして消え、代わりに現れたのはバッファローの街のゲート……。
「えっえぇー!?　瞬間移動!?　ど、どういうこと～!?」
「……」
　だが次の瞬間、バンドは乱暴にナガレの体を放り投げた。道端に尻もちをつくナガレ。
「いでぇっ⁉　おいっ何するんだ……あれっ？」
　気が付くと、バンドの姿はどこにもなかった。キョロキョロしていると……！
「……え!?　ナガレさン？」
　突然口がバックリ裂けた怪物の女が現れた！　……が、よく見たらフシカミだった。
「うわぁ!?　な、ナガレさん！　大丈夫ですか!?」
　その後ろから慌ててモンテが走ってくる。ボロボロのナガレを見て心底驚いたようだ。
「こらっフシカミ！　何をしたんだ」
「いやいや。私、何もしてないヨ。ナガレさんがここで倒れてたんダ」
「あ、あの、ちょっと……回復薬を飲ませてくれたら大丈夫。病院には自分で行けるからさぁ」
「もしそうなら大変だ、早く病院へ！」
「い、いや、回復薬を」
「分かっタ。私が運ぶネ」
　そう言うや否やフシカミは、華奢な腕なのに軽々ナガレを持ち上げた。
「あの、回復薬を飲ませてくれれば自分で……」
「走っていくヨ。揺れに気を付けてネ」
「聞けって！」