崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十五話 リベンジ! スカルクリーチャー

カニバリズム、再び

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「ちょーっ! お、おぉーい! 誰かー! 誰かいないのー⁉︎」
 力を振り絞って、叫び助けを呼ぶ。しかしその声に応える者はいない。荒野の風が虚しく吹くだけだ。
「ぐ……ま、まずいな。おぉーーい! 助けてぇ~!」

 スタスタ……スタスタ……。

「……んっ?」
 地面に寝転んでいたおかげで分かった。誰かの足音が聞こえる。こちらへ向かって歩いて来るようだ。だが、ナガレの真後ろから歩いてきているらしく、周囲を見回しても姿が見えない。
「あぁ、助かった。おぉーい! オレは怪しいもんじゃないよ」
 スタスタスタ……。
「悪いんだけどさぁ。オレのポーチに回復薬が入ってるから、それを飲ませてくんないー?」
 近付いているのは分かるが、何も反応してくれない。ナガレも少し怖くなってきた。
「あー……も、もしかしてタチの悪い感じ? そ、それじゃあさ。オレを助けてくれたら後でお金あげるよ。十万ダラーくらいでどう?」
「…………」
 足音が頭のそばで止まった。見上げると誰かがナガレを見ている……が、今度は太陽の逆光でよく見えない。黒いシルエットで、見えるのは服装くらいだ。
 高級感あふれる真っ青な。そしてクールなセンターパートの髪型は、どこかで見たような……。


「……これはこれは。声を聞きつけて来てみれば、思わぬ収穫があったな」
「ッ⁉︎」
 ナガレはギクリと硬直した。彼の目の前にいるのは、またも因縁の存在。……数ヶ月前、イビル教団のアジトへ突撃した際にいた幹部の一人だ。あのジョーと五角に渡り合ったイケメンの拳法使い……その名はタオティエ!
「忘れたとは言わせない。ナガレ・ウエストがこんなところで、しかも死にかけているとは」
「な……なぜお前が、ここに……⁉︎」
「フッフッフ……我らが司祭様を脅かす存在が、こうもボロボロの姿で私の前に現れるとは。棚からぼたもち、カモがネギを背負って来るとは言ったものだ」
 イケメンな顔を綻ばせ、アイドルみたいなスマイルを向けて来るタオティエ。これがうら若き乙女なら目をハートにして喜んだだろうが、彼にとっては宿敵中の宿敵だ。
(う、ウソだろ……! よりにもよって、なんでコイツなんだよ……!)
「フッ、なんで私がここにいるのか。それが気になっているようだな」
 ガシッ!
「ぐうっ!」
 軽量とはいえ鎧を着ているナガレを、タオティエは胸ぐらを掴んで片手で持ち上げた。
「実は偶然も偶然。私は司祭様の命を受け、バッファローの町を偵察に行くところだった」
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