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第二十五話 リベンジ! スカルクリーチャー
工事の真相
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「フフフ……ディズ・イツマム公爵様から話を聞かせてもらった。冒険者ギルドの立て直しに、ひとまずは成功したようだな」
「おめでとう……ございます」
「うむ。しっかりと賞賛ができて偉いぞグレッグ」
息子の頭をポンポンと撫でてから、ハーバードはグッと胸を張った。隣にいるシャルロットの視線は、相変わらずクールで冷たい。
「それでこのギルドは、ディズ・イツマム公爵様の所有物になった」
(ねえねえナガレ君。なんでこの人は毎回『ディズ・イツマム公爵様』って全部言うの? ディズ様とか公爵様でいいと思うんだけど)
(それは公爵と領主では、立場が違いすぎるからだよ。お金持ちの社会では、略称は『失礼』『舐められている』と受け取られやすいんだ)
(へぇ~、そうなのか。めんどくせえなぁ)
頭を掻くルック。その間にもハーバードはまだ喋っている。
「……と言う経緯があって、このギルドを直してもらうことにした。自分から自発的に、ディズ・イツマム公爵様の所有物を改善したとあれば、きっとお喜びになるだろう! そうすれば、私もいつか出世コースに……」
「…………」
「父上…………」
うっかり本音を漏らしてしまい、本人は気づかないまま息子と妹に冷たい目を向けられている。
「……ま、まぁ、ありがとうございます。歓迎できるようなところは、こんな狭い町にはございません」
貴族ワードで「早く帰れ!」とオブラートに包んで伝えるナガレ。
「強いて言うなら牧場くらいしか……ですがこれは庶民の娯楽ですし、ハーバード様のお気に召すとは」
「えっ、牧場⁉︎」
だがこのワードに、なんとグレッグが食いついた!
「叔母様! 父上! 牧場に行ってみたいです。ナガレ様、どのような動物がいるのですか!」
「え? えっと、まずドンピッグだろ、ミルキウシ、ホーンズゴート、あと牧羊犬のスラガンイヌが何頭か……」
「すごいです、ありがとうございます! 父上、行きましょうよ牧場!」
どうやらグレッグ君は動物が好きらしい。ハーバードはそれを見て、満足げに頷いた。
「いいぞグレッグ、もちろんだとも! お前はワガママを言わない性格で、助かる半分不安でもあったのだ。ブラッドリー一族を継ぐ者として、どんどんワガママを言ってしまえ!」
そうして二人で歩いていく。……するとシャルロット嬢がつかつか歩み寄って来た。
「……ナガレ様。ドルーシバの面々が、あなたによろしく伝えてほしいと。それとケンガ・アタカン様にも」
「……そっか。元気そうでしたか?」
「おめでとう……ございます」
「うむ。しっかりと賞賛ができて偉いぞグレッグ」
息子の頭をポンポンと撫でてから、ハーバードはグッと胸を張った。隣にいるシャルロットの視線は、相変わらずクールで冷たい。
「それでこのギルドは、ディズ・イツマム公爵様の所有物になった」
(ねえねえナガレ君。なんでこの人は毎回『ディズ・イツマム公爵様』って全部言うの? ディズ様とか公爵様でいいと思うんだけど)
(それは公爵と領主では、立場が違いすぎるからだよ。お金持ちの社会では、略称は『失礼』『舐められている』と受け取られやすいんだ)
(へぇ~、そうなのか。めんどくせえなぁ)
頭を掻くルック。その間にもハーバードはまだ喋っている。
「……と言う経緯があって、このギルドを直してもらうことにした。自分から自発的に、ディズ・イツマム公爵様の所有物を改善したとあれば、きっとお喜びになるだろう! そうすれば、私もいつか出世コースに……」
「…………」
「父上…………」
うっかり本音を漏らしてしまい、本人は気づかないまま息子と妹に冷たい目を向けられている。
「……ま、まぁ、ありがとうございます。歓迎できるようなところは、こんな狭い町にはございません」
貴族ワードで「早く帰れ!」とオブラートに包んで伝えるナガレ。
「強いて言うなら牧場くらいしか……ですがこれは庶民の娯楽ですし、ハーバード様のお気に召すとは」
「えっ、牧場⁉︎」
だがこのワードに、なんとグレッグが食いついた!
「叔母様! 父上! 牧場に行ってみたいです。ナガレ様、どのような動物がいるのですか!」
「え? えっと、まずドンピッグだろ、ミルキウシ、ホーンズゴート、あと牧羊犬のスラガンイヌが何頭か……」
「すごいです、ありがとうございます! 父上、行きましょうよ牧場!」
どうやらグレッグ君は動物が好きらしい。ハーバードはそれを見て、満足げに頷いた。
「いいぞグレッグ、もちろんだとも! お前はワガママを言わない性格で、助かる半分不安でもあったのだ。ブラッドリー一族を継ぐ者として、どんどんワガママを言ってしまえ!」
そうして二人で歩いていく。……するとシャルロット嬢がつかつか歩み寄って来た。
「……ナガレ様。ドルーシバの面々が、あなたによろしく伝えてほしいと。それとケンガ・アタカン様にも」
「……そっか。元気そうでしたか?」
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