崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

工事監督ヤングさん

「そうなのか。これからしばらくよろしくな、パン粉さん」
「よろしくね、パン粉さん」
「そろそろツッコんでいいかい？　あたしはパン粉じゃなくて、ヤング！　掠りもしてないよっ」
「へへへ、すいません。人の名前覚えるのちょっと苦手で……」　
「まぁいいよ。面白かったし！　あははははっ！　相変わらずユニークだねぇ」
　豪快に笑う彼女はヤングさん。去年キンテツ村の復興工事をしていた、建設系ギルドから派遣された会社の現場監督である。(第十話)
「お、あの時の冒険者だ」
「オッス！　あのクールなエルフは一緒じゃないのか？」
「バカ、冒険者の仲間でも、ずっと一緒にいる訳ないでしょ」
「それもそうだ、ガハハ……！」
　よく見れば見覚えのある顔もある。ナガレたちも手伝ったから覚えていたようだ。ひと時とはいえ、同じ鎌の飯を食った仲である。
「みんな、久しぶり。バッファローまで来てくれたんだ」
「まぁね。アタシら仕事で色々やってっけどさ、この前新しく依頼が来て。なんのこっちゃと見て見たら、バッファローとあるじゃないか」
　そう言ってから、ナガレをじっと眺めるヤンさん。
「うーん、感慨深いねえ。ギルド復興のために頑張ってるって言ってたナガレが、こんな立派に……」
「いや、まだ二回しか会ったことないでしょ。初めて会ってからまだ半年くらいだし」
「アタシにゃ息子もダンナもいないけど、子供の旅立ちってのはこんな感じなのかねぇ」
「オレを自分のいいように当てはめて妄想するのやめてぇ⁉︎」
「うんうん、しみじみしちゃうねえ。こうして立派なギルドに立て直したなんて……」
「あ、そっか。ギルドを立て直してくれるんだね」
「どんな感じなのか教えてくれよ、おばちゃん！」
「いいよ坊や、ちょいと待ってな。……よし、これだね」
　ヤングさんはベルトの工具入れポーチから、丸めた紙を出す。それをパッと広げてルックたちに見せてくれた。
「へぇ～、これが完成予想図かぁ」
「結構いい感じだね」
「なかなかイカすじゃねーの！」
　エンピツだけで描かれていたが、絵がうまくてよく分かった。屋根はちゃんとした瓦で整備され、壁は頑丈な木で二重に補強してある。特徴的なウェスタンドアもそのままで、その外見はまるでオシャレなサロンみたいだ。
「ここのマスターさんに聞いたよ。昔はこんな感じの外観だったらしいねえ。いいじゃないか、工事の匠の血が騒ぐってもんだよ」
　「ニヒヒ……」と不敵に笑って、指をポキポキ慣らすヤングさん。