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第二十三話 希望と絶望の復活
馬車に二人で
しおりを挟む「はぁはぁ……やーっと追いつきました……」
「お、ナガレ! サキミ嬢に出会えたのか」
「ね、ねぇ。あーしら、アレに乗るの?」
みんながゼェゼェ息を切らせている中、センチアがちょっと引き気味の顔で六台くらい並んだ馬車を指差した。
いち早くメロサとディズが乗り込んだのはシンプルな木製の黒い馬車。そしてナガレとサキミが話しているのは、白い馬車。
……残る四つは、悪趣味なほどギラギラと黄金に輝いている。意味分からないレベルで、大小さまざまな宝石が余すところなくデコられていた。
「も、文句言うなよ。せ、せっかく準備してくれてるんだから。一台にたった二人で乗れるぜ」
「そ、そうね~。気にしないわ~」
「アンタらも大概じゃん!」
「ほらほら~、乗ってくれて構わなくってよ~」
メロサに急かされて、おっかなびっくり乗り込む一同。
「そいじゃヒズマ、久々に相乗りすっか。お前のセレブさがあれば、この輝きを中和できるかもしれねえ」
「バカにしてるでしょ。まぁいいけど~」
「んじゃフロっち、一緒に乗る?」
「いやー、私は……」
「そんじゃサニーっち、一緒に乗ろっか。エルフの話聞かせてよ」
「は、はぁ。別に構いませんが……」
「フッ、俺様と一緒に乗りたい奴はいないのか? 素晴らしい冒険譚を聞かせてやるぞ」
「はよ一人でえーから乗れ!」
「ねぇサキミ、良かったらなんだけとさ……」
「は、はい」
ちょっぴりドギマギしながら見つめるサキミ。彼女からは絶対に、そんな積極的なことはできない。お願いだから早く言って、貴方の口から……。
「えっと、オレも乗っていい?」
「……! い、いいですよ!」
「ホント? ありがとー!」
メチャクチャ嬉しそうなナガレ。サキミも心のドキドキを必死に隠し、穏やかな笑みを崩さない。
「それじゃ、お邪魔しまーす! ……とは言っても、サキミだけだけどね」
と言う訳で、扉を開いて乗り込むナガレ。向かい側の席に座り「にへへー」と笑う。
「ねぇ、隣に座ってもいーか?」
……なんて言葉は、意気地無しのナガレには言えなかった。
「あの、私の隣にきてください……」
……なんて言葉は、引っ込み思案のサキミには言えなかった。
……が!
ガタッ……ずるずるっ!
「あっ⁉︎」
「どわ⁉︎」
突然上に気配を感じて、サキミのそばに飛び込むナガレ。その直後、ナガレが座っていた席に真っ黒な何かが落っこちた!
「え、なに、なに⁉︎」
勢いでナガレはサキミの隣の席に尻餅をつく。その正体は……黒ずくめの格好をした、サキミの護衛忍者オギンさんだった。
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