崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十三話 希望と絶望の復活

城中ランナウェイ

　ダッ！　と駆け出してしまった。お上品な貴族らしからぬ軽快な動きだ。
「……？　あ、ちょっと、お待ちください！　せめて見送らせてください！　それが私の任務ですからー！」
　急いでガレオンも後を追う。騎士たちはキョトンとしてから、またドンッ！　と足を踏み鳴らし挨拶をした。

「サキミ……どどどどうしよう？　えっとまずはナチュラルに挨拶だな。『久しぶり！　馬車で帰るってメロサさんから……』いや、キモいな。それじゃあ『フッ……君の姿を見て、うっかり声をかけちゃった。良ければオレも一緒にどう？　話し相手くらいは……』うーん、わざとらしいか」
　そんなことを一人口に出しながら……獲物を見つけたライオンのようなスピードで、ナガレは走っていく。その後を追いかけるジョー、またその後をヒィヒィ言いながら走るフローレンスたち。
「ま、待ってくださいよ～」
「俺様を置いていくなぁ～」
　……と、なんと後ろからディズとメロサに追い抜かれた。
「あはははは……！」「オホホホホ……！」
　笑いながらすごいスピードで走っていく。冒険者が負けるほどの速さだ。
「お待ちください！　くそっ、なんて速さだ」
　……とかいいながら、同じくとんでもない速さで突っ走るガレオン。大柄な体なのに関わらず、凄まじいスピードで風を切る。
　ドドドドドッ！
「うわぁー⁉︎」
　任務に忠実なガレオンは脇目も振らず走り、冒険者たちを蹴散らしていった。
「あだっ！　あーしら轢かれたよ⁉︎」
「というかこれでも追いつけないアイツら何もんだよ！」


～☆～☆～☆～☆～☆～
　

　その頃、サキミは一人で馬車に乗っていた。城門から少し離れた道路に停まっていて、窓の向こうには高く分厚い城壁が広がっている。
(遅いですね……)
　目の前に広がる巨城を見上げながら、一人考え込むサキミ。ディズとメロサは『もしかしたら知り合いを乗せるかも』とか言って、城へ入っていってしまった。
(……早くバッファローへ行きたい。ナガレさんに……会いたい。今何をしているのかな……)
　ナガレへ思いを馳せるサキミ。彼にとって素晴らしいニュースを、彼女は知っている。それを伝える役目を、兄弟姉妹から任された。早く伝えたい。彼の喜ぶ顔が、早く見たい……。
　ダッダッダッダッダッ……。

(……？　お城の方が、何だか騒がしいな)
　すごい足音が聞こえた気がして、サキミは城門をじっと見ていた。すると分厚い門の横にある扉がパタン！　と開き……。
　そこから出てきた人物と、バッチリ目があった。