崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十三話 希望と絶望の復活

恩赦?

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「はっ、恐れ入ります」
「よし、イビル教団の事を正確に伝えた上に、面白い話まで教えてくれた。褒美に何かくれてやろう」
「なんと、ありがたき幸せにございます陛下。……では僭越ながらサニー・ワカセラ、ぜひお慈悲を乞いたい事がございます」
 そう言うと……サニーはバッと体勢を降ろす。ナガレたちの足元で、深々と土下座した。
「サニー? そこまで何か頼みたい事があるのかぁ……?」
 キョトンとするナガレ。ジョーは腕を組み待機という、お手並み拝見状態だ。
「よし、申してみよ」

「はっ。私サニー・ワカセラは処罰されるべき存在です。私はイビル教団に所属していた危険な人物であり、捕まっても文句は言えません。……あくどい事もたくさんやって来ました。クエストも出ていないモンスターを何頭も討伐し、それを教団へ提供し悪の手先としました」
「え⁉︎」「……⁉︎」
 驚くナガレとジョー。彼の罪に驚いたのではない。それを白状し始めたことにビックリしたのだ。
「それがどうかしたか。確かにお前は遅かれ早かれ、何かしらの処罰を与えねばならないと考えていた」
「陛下、本当ですか。忘れていませんでしたか」
「……ガレオン。口を挟むな」
 あのカイリス王が一瞬『テヘッ☆』とウィンクしたのを、ナガレとジョーは見逃さなかった。お茶目でカワイイ!

 そしてサニーはキッと顔を上げ、声をかぎりに懇願した。


「ですが、その処罰を今一度待っていただきたい。このサニー・ワカセラを二年、いや一年だけでも免除して頂きたい!」

「「えーっ⁉︎」」
 冒険者たちは一斉に顔を見合わせた。ジョーはすぐさまサニーへ駆け寄ろうとして、ナガレが慌てて肩を掴む。
「……ほう? その理由、もちろん説明してくれような。金でも名誉でも、はたまた罪の免除でもなく、そんな事を願うとは」
 すーっと目を細めるカイリス王。
「はい。その理由は他ならぬ、バッファロー冒険者ギルドが関係しております」
「「「!!!」」」
 ナガレたちはハッとした。サニーは一体、何を考えているのか?

「バッファロー冒険者ギルド支部は、資金難にメンバー不足、そして異変の脅威によって解散の危機に陥っております。ですがメンバーは八人集まり、陛下にイビル教団の存在をお伝えして、イツマム家による資金援助により解決いたしました」
「ふむ、そうか。では、どうしてなおさらそのような要求を……」
「ですが私がここで欠ければ、メンバーは七人となり足りなくなってしまう。……それに『仲間たち』の行く末を牢獄より眺めるなど、私には耐えられません! せめてギルドが安定するであろう二年、待っていただきたい!」
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