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第二十三話 希望と絶望の復活
キング・カイリス
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「王族の兄上は気立の良い姉と私を城に匿い、祝儀を上げ結婚して、姉は王妃に、私は王族となった」
だが、ここでカイリス王は残念そうに首を振る。
「……だが、ニンゲンの寿命は我々よりはるかに短い。兄上は亡くなり、姉上はショックで病気にかかり後を追うように他界した。二十年前、同時六十歳だった私が王となったのだ」
(ってことは、陛下はもう八十歳なのか! エルフってすげーなぁ……)
女性扱いされたのは引っかかるが、さすがに国王陛下相手では怒れなかった。レンといいカイリス王といい、エルフというのは歳をとるのが遅いようで羨ましい。
(……そういやマスターって何歳だっけ。……あれ?)
カイリス王の肉体年齢は、多分レンと同じくらいだろう。……でも、レンは確かもっと歳食ってたような……?
「……それで、なんの話だったかな」
カイリス王はそばに控えているガレオンに目配せした。
「陛下、イビル教団についてでございます」
「おお、そうであった」
……と、カイリス王は「よいしょっと」とか言って玉座から降り立ち上がる。カワイイ! そして金ピカの杖を取り出してナガレへ向けた。
「冒険者よ! 立つがいい」
「「「は、はいっ!」」」
反射的にピーン! と背筋を伸ばし、一斉に立ち上がったナガレたち。いつもクールなあのジョーまでが緊張した顔をしていた。
「よしよし、楽にしてよい。それでは……そなたらはイビル教団のアジトを見つけ乗り込んだようだな」
カイリス王の声が低くなった。
「……だが、王家の記録としては、およそ十年前にイビル教団は潰えたはず。とある勇敢な戦士たちが戦ったことにより、邪神の力を経た者を打ち破り解散になったはずだ。それが復活したとなれば一大事……」
ここまでいってギロリと冒険者たちを睨め付ける。ガレオンも腕を組んで仁王立ちになった。
「だが、そなたたちが嘘を言って国を混乱させようとしている可能性もある。だからここへ呼び寄せた。……お前たちの前にいるのは、大陸の王カイリス・アレシオス・ロードバッツだ」
ドンッ!
「ひぇぇ!」「きゃあ!」「どわ!」
冷たくカイリス王が言い放つと、整列していた騎士たちが一斉に足を踏み鳴らした。一人一人が踏んだだけでも、それが百人もいるとすごい音になる。冒険者たちは震え上がった。
「……その上で、これから質問をしよう。欺いてみるがいい。……この私を、欺けるのならば」
「め、滅相もございません! 陛下を騙すだなど、少しも思っておりません!」
だが、ここでカイリス王は残念そうに首を振る。
「……だが、ニンゲンの寿命は我々よりはるかに短い。兄上は亡くなり、姉上はショックで病気にかかり後を追うように他界した。二十年前、同時六十歳だった私が王となったのだ」
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(……そういやマスターって何歳だっけ。……あれ?)
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「「「は、はいっ!」」」
反射的にピーン! と背筋を伸ばし、一斉に立ち上がったナガレたち。いつもクールなあのジョーまでが緊張した顔をしていた。
「よしよし、楽にしてよい。それでは……そなたらはイビル教団のアジトを見つけ乗り込んだようだな」
カイリス王の声が低くなった。
「……だが、王家の記録としては、およそ十年前にイビル教団は潰えたはず。とある勇敢な戦士たちが戦ったことにより、邪神の力を経た者を打ち破り解散になったはずだ。それが復活したとなれば一大事……」
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「だが、そなたたちが嘘を言って国を混乱させようとしている可能性もある。だからここへ呼び寄せた。……お前たちの前にいるのは、大陸の王カイリス・アレシオス・ロードバッツだ」
ドンッ!
「ひぇぇ!」「きゃあ!」「どわ!」
冷たくカイリス王が言い放つと、整列していた騎士たちが一斉に足を踏み鳴らした。一人一人が踏んだだけでも、それが百人もいるとすごい音になる。冒険者たちは震え上がった。
「……その上で、これから質問をしよう。欺いてみるがいい。……この私を、欺けるのならば」
「め、滅相もございません! 陛下を騙すだなど、少しも思っておりません!」
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