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第二十三話 希望と絶望の復活
ロイヤルガード?
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だが兜男は一層ビシッと姿勢を正した。ベスト越しでも分厚い筋肉が強調される。
「私はガレオン。国王陛下にお仕えする執事の一人です」
「へぇ、ガレオンさん」
ただの執事にしてはかなり大きい。するとジョーがナガレに耳打ちした。
「……彼、体のあちこちに武器を隠している。靴には短剣、ベストの裏に鞭、他にもいろいろありそうだ」
「んなこと言わんでいい」
「それじゃー、その兜は?」
センチアの不躾な問いにも、ガレオンさんは全く動じない。
「この兜は、私が見習い時代から被っている、父上から譲り受けた大切なものです。そしてこの傷は、騎士団隊長の頃に唯一ついた傷であり、自分を戒めるため、そして友との思い出を忘れぬために兜を被っているのです」
そう言ってガレオンさんは頷いた。
「ご心配なく。任務に支障をきたすことはありません」
「えー、じゃあその思い出について詳しく……」
「はいはい質問タイムは以上っ! このドジギャルはほっといてガレオンさん、話の続きをお願いします」
フローレンスがセンチアの口をさっと塞いで取り直した。ガレオンさんは顔を上げる。
「はい。それではこの扉の向こうに、国王陛下がお待ちです。改めて、くれぐれも失礼のないようにお願いいたします」
そう言って、両手を使ってギギギ……と扉を開く。ガチで地面を削る音を立てて、ゆっくりと開かれていった。
そして完全に開くと、一緒にいたたくさんの騎士が先に入っていく。そしてナガレたちを見送るように、道の脇へ並んだ。
ドンッ!
一斉に右向け右・左向け左して、一切の乱れなく片足を踏み締める。シンクロした動きはどこか人間離れして見える…….。
「は、入っていいのかな」
「いーから行ってこい!」
先頭をナガレ、その後をジョーとサニー、その後には縮こまった冒険者たちが続く。そうしてナガレたちは王の間へ侵入した。
そこは長方形の部屋で、高い天井やピカピカの窓ガラスがあった。汚れひとつない大理石の床に、レッドカーペットが一本道を作っている。壁には芸術的な絵画や民族的な旗がかかっていた。
そして正面に、赤いクッションと金ピカの装飾という、いかにもな玉座がある。
そこに座っていたのは……。
(……ん?)(へ?)(えー……?)
心中で「ん?」という疑問の感情を呈する冒険者たち。
なぜならそこに座っていたのは……。
「…………」
ルックやターショと同い年であろう、とても若い少年だったからだ。
「……なんだと?」
「ちょおい!」
思わず口に出してしまい、慌ててナガレに頭を押さえつけられるジョー。
「私はガレオン。国王陛下にお仕えする執事の一人です」
「へぇ、ガレオンさん」
ただの執事にしてはかなり大きい。するとジョーがナガレに耳打ちした。
「……彼、体のあちこちに武器を隠している。靴には短剣、ベストの裏に鞭、他にもいろいろありそうだ」
「んなこと言わんでいい」
「それじゃー、その兜は?」
センチアの不躾な問いにも、ガレオンさんは全く動じない。
「この兜は、私が見習い時代から被っている、父上から譲り受けた大切なものです。そしてこの傷は、騎士団隊長の頃に唯一ついた傷であり、自分を戒めるため、そして友との思い出を忘れぬために兜を被っているのです」
そう言ってガレオンさんは頷いた。
「ご心配なく。任務に支障をきたすことはありません」
「えー、じゃあその思い出について詳しく……」
「はいはい質問タイムは以上っ! このドジギャルはほっといてガレオンさん、話の続きをお願いします」
フローレンスがセンチアの口をさっと塞いで取り直した。ガレオンさんは顔を上げる。
「はい。それではこの扉の向こうに、国王陛下がお待ちです。改めて、くれぐれも失礼のないようにお願いいたします」
そう言って、両手を使ってギギギ……と扉を開く。ガチで地面を削る音を立てて、ゆっくりと開かれていった。
そして完全に開くと、一緒にいたたくさんの騎士が先に入っていく。そしてナガレたちを見送るように、道の脇へ並んだ。
ドンッ!
一斉に右向け右・左向け左して、一切の乱れなく片足を踏み締める。シンクロした動きはどこか人間離れして見える…….。
「は、入っていいのかな」
「いーから行ってこい!」
先頭をナガレ、その後をジョーとサニー、その後には縮こまった冒険者たちが続く。そうしてナガレたちは王の間へ侵入した。
そこは長方形の部屋で、高い天井やピカピカの窓ガラスがあった。汚れひとつない大理石の床に、レッドカーペットが一本道を作っている。壁には芸術的な絵画や民族的な旗がかかっていた。
そして正面に、赤いクッションと金ピカの装飾という、いかにもな玉座がある。
そこに座っていたのは……。
(……ん?)(へ?)(えー……?)
心中で「ん?」という疑問の感情を呈する冒険者たち。
なぜならそこに座っていたのは……。
「…………」
ルックやターショと同い年であろう、とても若い少年だったからだ。
「……なんだと?」
「ちょおい!」
思わず口に出してしまい、慌ててナガレに頭を押さえつけられるジョー。
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