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第二十二話 闇照らす黄金の太陽

故郷

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「……そうか」
 ジョーはすーっと息を吸う。森の空気はどこか美味しく感じる。
「……実は考えを整理しに来てな。本当にそれだけだ。俺の仲間がまだ頑張っているし、油を売っている訳にはいかない。こうして来ていることでさえワガママなんだ」
「なんだそうか……残念だが、お前が決めたのなら仕方がない」
「ゆっくりしていってね! ……いや、すぐ帰っちゃう人にこんなこと言うのもなんだけど」
「フッ、そうさせてもらおう。……そうそう。俺は名前を変えたんだ。次に会うことがあれば……ジャックではなく、ジョーと呼んでくれ」
 そう言ってジョーはどんどん進んでいく。その後ろ姿を見送る二人は顔を見合わせた。
「じ、ジョーか」
「安直というかわかりやすいというか……」


 いつも通り、村は静かだ。時々狩人や兵士、農家の方々とすれ違う。みんな「あれ? アイツどこかで……」という感じの視線を向けてくるが、その正体までは分からないようだ。
「……オレも変わったのかな」
 本人には、そうは思えないが……。そんなことを考えながら歩いていると、ついに目的の場所についた。

(着いた、ここだ。……綺麗な花畑だな)
 そこは、ジョーの姉の墓だった。家はすでに取り壊されていて、資材は余す所なく、大切に村で使われている。
 空いたスペースは広く、そこにはグレーの墓石だけがポツンと立っていた。その周囲にはタンポポやチューリップなど、シンプルな花がたくさん植えられている。
 墓石は木漏れ日に照らされて、何処となく光って見えた。
「……良かったな、姉さん。綺麗に飾りつけてもらってさ」
 ジョーは側で膝をついて、墓石を優しく撫でる。舞い散る木の葉が彼の頭に乗っても、気にならないくらい感傷に浸っていた。
「……悪いけどさ。姉さん、俺は……俺はまだ、そっちに行きたくはない」
 誰が聞いている訳でもないのに、一人でポツポツと語り出すジョー。その声音は優しく、どこか弱々しかった。
「……俺には、たくさん仲間が出来た。友達だって出来た。その仲間たちのピンチを放って、みすみす死んじゃいられない。…………」
 いや、こんなことを報告しに来たのではない。今日は、空の彼方にいる姉や家族に、決意を表明したかったのだ。

「……姉さん。それに、父さんと母さんも。……俺、決めたことが一つあるんだ」
 そう言って空を見上げる。緑の葉っぱが鮮やかに生い茂る中、木漏れ日が白い光線となって、優しく周囲を照らしてくれる。
「……俺は……」
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