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第二十二話 闇照らす黄金の太陽
その頃、赤き戦士は……
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それから一日後。
ナガレたちと別れたジョーは一人、森の中を歩いていた。ヒステリーを起こすアリッサのことなどつゆ知らず、のどかなものである。
ここはスラガン地方の隣にある大森林ポーツ地方。褐色の大地を抜けるとそこは大森林と、まるで別世界に入り込んだようだ。
無数の木々が生い茂り、もし上空から観察しても緑一色にしか見えないだろう。
スラガン地方はそこまで広くないが、ポーツ地方はその数倍大きい。端から端まで行こうとすれば、馬でも数日はかかるほどだ。
そんな森林を、ジョーはたった一人で歩いていく。周囲は薄暗く、しかし木漏れ日が白い光を投下して、恐ろしくも美しい。
(……まさか、またこの道を通ることになろうとは。……大体一年ぶりくらいか)
彼が向かうのは……そう、一年前バッファローへ行きガラガラマムシと戦う前にいた集落。ジョー……いや、ジャック・ハルバードの故郷。姉と最後に暮らした場所だ。
(……見えてきた。村は変わらないな)
風が吹き、ざわざわと樹木が揺れる。緑の木の葉が舞い散り、小動物が足元をかけていく。
(……懐かしいな。ここが俺の故郷……そう、そうなんだ)
目前には、たくさんのツリーハウスがある小さな集落があった。見張りをしていた、弓を構えた二人の戦士がジョーを見つけて身構える。
「そこな旅人、止まれ!」
「何者だ! ゆっくり近づいて来い。妙なことをすれば、即座に矢を放つぞ!」
この警戒心も相変わらずだ。兵士たちは身軽な革鎧で、森林に紛れる迷彩を施している。弓も小ぶりで、射程は短いが小回りが効き持ち運びやすく、森林での戦闘に適したものだ。
「…………」
ジョーは黙ってゆっくり歩みを進める。次第に兵士たちは目を凝らし……そして「あーっ!」と弓をおろして駆け寄ってきた。
「ジャック! ジャックじゃないか!」
「久しぶりね! 元気だった? バッファローって町はどんな感じなの?」
「……ハンパ。シオネ。久しいな」
二人はジョーに近寄って「あれ?」と首を傾げる。
「……ジャック。なんか雰囲気変わった?」
「ホントだ。なんか表情明るくなった気がする」
ジャックジャックと昔の呼び名で言われても、あまり実感が湧かない。散々ジョーと言われてきたので、他人の話のように感じてしまう。
「……すまないが、今日は立ち話をしに来たんじゃない。ちょっと野暮用があって帰って来たんだ。すぐに戻る」
「えぇ~?」
「ゆっくりしていけよ。はるばるスラガン地方から何日もかけて来たんだろう?」
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