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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

切断の後

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 ジョーはダガーを一振りして、残留していた赤黒いオーラを振り払う。鮮血が出ないまま倒れるキメラドラゴンへ背を向けた。
「……なんだ、もう終わっちゃったのか」
「正直、私たちの出番ありませんでしたね」
「ああ、全くだ! 俺様の新技を出したかったんだが」
 ナガレは気が抜けてしまい、マルチスタッフを杖のようにしてもたれた。フローレンスも背中のベルトに武器をしまい、ケンガは腕に纏った氷を解除する。
「とっておきの技ってホントにあるんですかえぇ~?」
「フン、てめえで試してやってもいいんだぜ。病院送りになっても知らねえがな」
「なにおぅ、減らず口を!」
 いつも通りバチバチし始めるフローレンスとケンガ。もう戦いが終わって、みんな気を抜いている。……ジョーが強すぎたかもしれないが、流石に早々と終わりすぎた。

「……ナガレ。ここはもういい。死体のことは警備兵に任せて俺たちはスカルドラゴンの所へ行こう」
 そう言ってダガーを納めるジョー。
「ああ、そうだな」
 ナガレも頷いて踵を返そうとして…………。


 グラッ……。

「……ッ! ジョー、危ない!」
「……なにっ⁉︎」
 
「~~~~!」
 ゴゴゴゴゴ……ドガァン!
 
「くっ!」 
 ガキィン!
 咄嗟にナガレがジョーを押し退けてガードした。素早く受け身を取ってジョーが振り返ると、なんとスカルドラゴンが前足で引っ掻いて来た所だった……頭部がパックリ切断されたままで!
「ぐわぁっ!」
 たとえ短い前足だろうと、そのパワーはモンスター級。勢いを殺せずぶっ飛ばされたナガレ。
「ひぃっ⁉︎」
「どどどっどど、どうなっていやがる⁉︎」
 ヤケに真っ黒な首の断面から、紫の血を吹き出す首無しキメラドラゴン。フローレンスの表情が真っ青になり、ケンガは腰が抜けてへたり込んだ。
「く、首がないのにモンスターが生きているだと! そんなことがあり得るのか……!」
「はぁはぁっ……く、首はあそこじゃなかったのかもしれない」
 立ち上がったナガレはマルチスタッフを構える。ジョーも動揺しながらダガーを構えた。
「…………!」
 キメラドラゴンは長い首を回して、地面に転がる生首の側へ行く。ワニのような頭部に紫の血がダラダラ垂れていく……。

 コォォォッ!

「え!」「な!」「嘘っ⁉︎」

 その瞬間、生首の目がギンッ! と開く。そしてエスパーのようにふわりと浮かび上がって、首にカチリと戻ってしまった。
「…………な、なにぃっ⁉︎」
 初めてジョーが狼狽した様子を見せた。必殺技であるネックスラッシュが通用しなかったのは時々あるが、まともにヒットしたにも関わらず復活したとは!
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